「ミス・ポター」は2006年公開の映画。
絵本「ピーター・ラビット」シリーズの作者であるビアトリクス・ポターの半生を描いている。
あらすじ
20世紀初頭のロンドン、 ビアトリクス・ポターは出版社を探し歩いていた。
自身が生み出したキャラクター、ピーターラビットの絵本を採用してくれるところを見つけるためだった。
最終的に契約に至ったのは、ウォーン兄弟の経営する会社。
長年の夢が叶うと喜ぶビアトリクスだが、兄弟には別の理由があった。
以前から仕事に参加したがっていた末の弟に任せること。
成功するなら儲けものだし、仮に失敗しても母の面倒を見させる口実になる。
逆境からのスタートではあったが、共に家族に認めさせたい二人は、はりきって仕事に乗り出すのだった。
予告編動画
Miss Potter (2006) - trailer - YouTube
ピーターは友達
画家を目指していた父を持つビアトリクスは、幼い頃からスケッチブックを持ち歩いていた。
動物たちの絵を描き、物語を作るのが好きだった。
大人になってからも、結婚はしないと決めていた彼女にとって、友達と呼べるのは自分が描いた動物たちだけ。
彼らと会話をしながら、まるで彼ら自身が動き出すかのように物語を紡いでいく。
リアルな描写でやるとちょっとあぶない人みたいだけど、アニメーションを使って動物たちは描いた側から命を吹き込まれる。
この演出も、彼女の心理状態によって思うようには動いてくれないという部分でうまくつかわれていた。
一つ一つのキャラクターが、生きていて、それが愛情を持って描かれていく。
"Tale of peter rabbit 12" by ビアトリクス・ポター (1866-1943) - The Tale of Peter Rabbit. Licensed under public domain.
新たな恋と自立
ビアトリクスは20歳になる前、想いを寄せていた人が結婚したという知らせを聞いてから自分が結婚することは無いと思っていた。
生家は裕福な家庭でもあり、女性が自立して働くという考え方が無いに等しい時代でもあった。
30代になっていた彼女は家に引きこもって絵ばかり描いていたが、出版を機に自信を取り戻していく。
レネー・ゼルウィガーの演じるビアトリクスの表情に注目。
前半のコミュ障気味のはにかんだような硬い笑顔から、人気作家になるにしたがって、堂々とした大人の女性になっていき、そして新たな恋が生まれる。
本作ではピーターラビットの出版からベストセラー作家になるまでの苦労といった点は特に描かれない。
むしろ順調すぎるくらい順調に進む。
それよりも理解者を得たビアトリクスの作品を生み出していく喜びとか、新しい生き方を体現する彼女と上流志向の保守的な両親との対比が中心になってくる。
あと守役のミス・ウィギンがいいキャラしてる。
ピーターラビットの故郷、湖水地方
イングランドの北西部、スコットランドの境にある景勝地、湖水地方がピーターラビットの舞台。
ここは、ポター家が夏を過ごすために訪れていた思い出の地。
成功したビアトリクスは家を出て、ここのニア・ソーリーという小さな村に住むようになる。
土地開発のため周囲の農地が売りに出されるが、そのたびに土地を買い上げ、所有地は4000エーカーにもなったという。(東京ドーム347個分!)
土地はそのまま国に寄付され、今でも当時のままの自然の姿が残されている。
あとがき
観た後にピーターラビットを読みたくなる。
うちにも最初の話だけあるんだけど、全部で24冊出ているとか。
詳細を知りたい方は公式サイトへどうぞ。
原題:Miss Potter
監督:クリス・ヌーナン
出演:レネー・ゼルウィガー
ユアン・マクレガー
エミリー・ワトソン

- 作者:ビアトリクス・ポター,Beatrix Potter,いしいももこ
- 出版社/メーカー:福音館書店
- 発売日: 2002/10/01
- メディア:単行本
- 購入: 1人 クリック: 35回
- この商品を含むブログ (65件) を見る