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「メイジーの瞳」は2013年公開(日本では2014年)の映画。
1897年に発表されたヘンリー・ジェイムズ*1の小説「メイジーの知ったこと」を現代のニューヨークに置き換え、家族のありかた、子供への愛情の必要性を問う。
あらすじ
ニューヨークに住むメイジーは6歳の女の子。
両親は多忙で身の回りの世話はベビーシッターのマーゴが担当している。
父は仕事の電話が頻繁にかかってきて、出張も多い美術商。
母はロックミュージシャンで、レコーディングやツアーで家を空けることが多い。
すれ違いから喧嘩ばかりしていて、ついには離婚することに。
お互いに再婚した両親の家を、交代で行き来するメイジーは再婚相手の大人たちとも仲良くなるのだが。
離婚した両親の家を10日ごとに行き来することになったNYに住む6歳のメイジー(オナタ・アプリール)。ベビーシッターだったマーゴ(ジョアンナ・バンダーハム)が、父の新居にいることに戸惑うが、元々仲良しだった彼女にすぐに打ち解ける。母が再婚した心優しいリンカーン(アレキサンダー・スカルスガルド)も、メイジーの大切な友だちになった。
自分のことに忙しい両親は、次第にそれぞれのパートナーにメイジーの世話を押し付け、彼らの気まぐれに我慢の限界を超えたマーゴとリンカーンは家を出て行く。
母はツアーに向かい、メイジーは独り夜の街に置き去りにされてしまうのだが──。 (公式サイトより)
身勝手な親、子供への愛情
原作は19世紀末の作品で、映画化されるにあたって一番の変更点は母親の職業だろう。
ロックミュージシャン。
この脚本家はミュージシャンにどんなイメージを持っているのか、ともやもやする部分でもあるが。
大人になりきれない母親。
子供の前でも平気で暴言を吐き、「あなたの父親はだめな奴よ」と言い、再婚相手も子供の世話をさせるために選んだと思わせる言動。
新しい夫のリンカーンが子どもと仲良くしようとする姿勢を見せると、「子供に取り入らないで」とヒステリックに言い放つ。
再婚前の家には教育上よろしくない人々が出入りしていた。
だめな大人。
でも子供のことは愛している。
その一点だけはきちんと母親の顔だった。
この辺のバランスがジュリアン・ムーアはうまかった。
一方、父親はこの母親に比べればインパクトは薄い。
常識的な大人ではあるが、家庭的ではない。
再婚後はマーゴが家にいるのをいいことに出張ばかり。
片時も電話を離さないのに、帰宅の連絡もせず、新しい妻を気遣うマメさもない。
家にいるときはいい父親だが、再婚後は家にいる時間がほとんどない。
優しい大人たちとメイジーの瞳
大人たちの間をたらい回しにされるメイジーだったが、周りの大人たちはみな優しかった。
その点が救いだ。
同様のテーマを持つ「クレイマー、クレイマー」が父親中心に描かれるのに対して、こちらは子供の立場から見た大人たちを描いている。
メイジーに必要なのは、メイジーを一番に考えてくれる愛情を持った存在だ。
「I wanna go home.」
空気を読んで弱音を吐かないメイジーが唯一口にする言葉が泣ける。
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あとがき
メイジー役のオナタ・アプリールのかわいいこと。
最近子役の活躍する映画に弱い。年かな。
あとジュリアン・ムーア。母親の下手すると嫌な部分だけが目立ちそうな役なのにそうならない。
それぞれの事情と弱さを持つ、誰もがそうなりえる大人の姿。
メイジーには彼らのいい部分も悪い部分も見えている。
空気を読んでわがままも言わない子供はかなしいよね。
だから無邪気に笑っている姿にほっとする。
原題:What Maisie Knew
監督:スコット・マクギー、デヴィッド・シーゲル
原作:ヘンリー・ジェイムズ「メイジーの知ったこと」
出演:オナタ・アプリール(メイジー)
ジュリアン・ムーア(母:スザンナ)
スティーヴ・クーガン(父:ビール)
ジョアンナ・ヴァンダーハム(ベビーシッター:マーゴ)
アレクサンダー・スカルスガルド(バーテンダー:リンカーン)
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