
「ハヴ・ア・グレイト・サンデー」(Have a Great Sunday)はオノ・ナツメによる漫画作品。
月刊モーニング・ツーで2016年より連載を開始した。
創刊10周年記念として公開された読み切り作品「スカイスクレイパー ブルース」で、謹慎中の警官とともに奇妙な一日を体験する日本人記者のその後を描いた物語。
小説家・楽々居輪治(ささいりんじ)。長くニューヨークで暮らしていたが、ある事情で単身、東京に戻ってきた。きままな独り暮らしのはずが、日本に暮らす息子のマックスと娘婿のヤスは、輪治を慕って毎週末は入り浸り。男三人は、いつも「最高の休日」を夢見る。
(「講談社コミックプラス」より)
デビュー前の楽々居輪治
カフェで新聞を読んでいた楽々居輪治(ささい りんじ)の前に、見覚えのある顔の人物が現れた。
NYPD(ニューヨーク市警)のキース・シニーズ巡査。
彼は前の週に起きた事件での行動により謹慎中である。
メディアは彼のことを「人種差別主義者」と書き立てていた。

ここ数年増えてきた日本人同様に世間の「嫌われ者」である。
そんな二人の出会いから物語は始まる。
小説はまだ、書いていない。
楽々居家の日常
父の死をきっかけに、数十年振りに日本での生活を始めた輪治には、二人の子供がいる。
長男のマックスは、輪治のことが大好きだ。

彼の性格が分かるエピソードはこれかな。
父の仕事部屋は立入禁止だったが、子供の頃からどうにかして中に入ろうと突撃を繰り返してきた。
それは子供が手を離れた現在でも変わらない。
ここ最近の彼の楽しみは、妹レイチェルの婿であるヤスと毎週末に楽々居家を訪れ、最高の休日を模索することである。

小説家である輪治も、この日は休みにしているらしい。
まさか日曜になるたびに押しかけてくるとは思っていなかったようだが、それでも毎回付き合ってくれる。
みんなで料理を作ってみたり、ホームシアターを揃えてみたり、カレー屋巡りを計画してみたり。
一つ一つは特別なことではないのだが、三人が揃うことで普段やらなかったことにも挑戦しやすくなってくる。

そして彼らの取り留めのない会話がまた楽しいのだ。
休みの日にいつの間にか集まって、今日は何して遊ぼうかと相談し合うワクワク感は、いくつになっても変わらない。
世代や文化を超えて童心に帰れる時間だ。
日曜日が来るたびに繰り返されるそれは、しかし一つとして同じ日はない。
今回はどんな一日になるだろうか、と見守りたくなってくる。

楽々居家の縁側も快適そうだ。
あとがき
1話数ページでほぼ2話ずつ掲載されている。
毎月楽しみにはしていたけど、1冊に纏まった上で読む方が面白く感じた。
本作は単体で読んでも問題ないが、過去作「COPPERS[カッパーズ]」のスピンオフ的な立ち位置の作品でもあるので、合わせて読むのもいいかも知れない。
キースをモデルに初めての小説を書いた輪治は作家となり、今でも友人関係にあるらしい。
巻末に若き日の読み切り分、20話での再会のエピソードも収録されている。