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「とんがり帽子のアトリエ」13話(白浜鴎)魔墨に隠された秘密

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「とんがり帽子のアトリエ」(白浜鴎)13話より、ココの魔墨に異変が?

「とんがり帽子のアトリエ」は白浜鴎による漫画作品。

月刊モーニング・ツーで連載中。

13話は、魔墨の異変を調べるため、カルンの魔材屋へ向かうキーフリーとココ。

 

前回はこちら。 

カルンの魔材屋へ

大規模な砂塵化を引き起こしたココの魔法の原因が、彼女の魔墨(インク)にあると見たキーフリーは、カルンの魔材屋「星の剣」を訪れた。

以前、「つばあり帽」を追ったココたちが別の空間に飛ばされた際に、魔墨の瓶に細工をされた可能性が高い。

「とんがり帽子のアトリエ」(白浜鴎)13話より、魔材屋の店休日
(「とんがり帽子のアトリエ」13話より) 

店の前にたどり着くと、ドアが消えていた。

どうやら店休日は入り口を隠しているらしい。

 

その後、通りかかった店の少年タータに開けてもらい何とか中に入れることになった。 

前回来たときはゆっくりできず、ココの杖や魔材を揃えることができなかったので、改めて選ぶ機会でもある。

「とんがり帽子のアトリエ」(白浜鴎)13話より、魔染めの染料棚と銀彩症の少年
(「とんがり帽子のアトリエ」13話より) 

彼女が案内された棚にはたくさんの瓶が並んでいた。

魔墨に特殊な混ぜ物をすることによって効果を高める事ができるらしい。

持続時間を長くしたり、魔法陣を目立たなくしたり、水に強くしたり、用途に応じてそれぞれの染料を混ぜるようだ。

タータは年齢はココともそう変わらないが、魔材の知識もあり製作もしている一人前の職人である。

以前、店主のノルノアが店内の魔材は二人で作ったものだと言っていたことがある。

ココからすれば魔材に囲まれて住めるタータを羨ましく感じるが、彼からすれば逆であるのかもしれない。

「とんがり帽子のアトリエ」(白浜鴎)13話より、魔墨の瓶に驚くノルノア
(「とんがり帽子のアトリエ」13話より) 

一方、キーフリーから魔墨の瓶を渡されたノルノアはずいぶんと驚いていた。

つばあり帽の使った魔法陣を調べている彼は、それを同じ魔墨であると断定する。

やはりあの時に何かあったのだ。

つばあり帽につながる危険な代物であり、手掛かりになるもの。

「とんがり帽子のアトリエ」(白浜鴎)13話より、磨墨を秘密にしようとするキーフリー
(「とんがり帽子のアトリエ」13話より) 

これを、魔警団に渡すことをキーフリーは拒否するのだった。

個人的な因縁が彼にはある。

大講堂や魔警団とも距離を置き、つばあり帽に強い執着を示すキーフリーに、昔何があったのか。

隠れている右目にも関わることなのだろうか。

「とんがり帽子のアトリエ」(白浜鴎)13話より、ココの新しい魔材
(「とんがり帽子のアトリエ」13話より) 

携帯もできる杖(ペン)と魔墨のセットを贈られたココ。 

ようやく自分にあった道具と出会えたか。

次回以降のキーフリーの動向に注目である。 

あとがき 

8月23日に待望の2巻が発売されるが、通常版とミニ画集付きの特装版の二種類がある。

Amazonの予約分でも何度も品切れになっているので、紙で欲しいなら早めに押さえておくべし。

Kindle版ではどちらも対応している。 

とんがり帽子のアトリエ 特装版 2巻 (モーニングコミックス)

 

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「ゆるキャン△」4巻(あfろ)今度はみんなで合同キャンプ

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「ゆるキャン△」(あfろ)4巻 (まんがタイムKRコミックス)

「ゆるキャン△」はあfろによる漫画作品。

まんがタイムきららフォワードで2015年より連載を開始した。

なでしこたち野外活動サークル(野クル)の計画していたクリスマスキャンプの日が近づいている。

今回は、リンや斉藤も交えての合同キャンプである。 

アニメ化決定! 人気沸騰キャンプコミック第4巻! どんどんキャンプに夢中になっていくなでしこ、 一人じゃないキャンプも楽しみはじめたリン。 今度はみんなでキャンプに行くことに…!

(ゆるキャン△│漫画の殿堂・芳文社より)

前回はこちら。 

クリスマスキャンプ計画

冬休みに入り、もうすぐクリスマスがやってくる。

この日、野クルメンバーはキャンプを予定していた。

今回は部員の他に、初キャンプとなる斉藤恵那とソロキャンパー志摩リンも参加することになっている。

念願の合同キャンプだ。

 

斉藤は野クルの体験入隊扱いらしい。

「ゆるキャン△」(あfろ)4巻より、斉藤の野クル体験入隊
(「ゆるキャン△」4巻より) 

大垣の小芝居にも付き合ってくれている。

なでしことあおいの見守る表情がいいね。

彼女はもともとリンの友人なので、もし入部しなかったとしても時々はどちらかのキャンプに参加する事もあるだろう。

 

そして、野クルにもう一人のメンバーができた。

顧問のグビ姉こと鳥羽先生。

「ゆるキャン△」(あfろ)4巻より、ココアにラム酒
(「ゆるキャン△」4巻より) 

以前、リンとなでしこが四尾連湖でキャンプをした時に出会った二人組の姉の方である。

お酒にはあまり強そうには見えないが、酔ってからが長いタイプ。

それでも彼女はとてもおいしそうに飲む。

ココアとラム酒の組み合わせは試してみたい。

みんなでのキャンプ

この日はみんな楽しみにしていたようで、自然に集合時間よりもだいぶ早く集まってしまうくらいだった。

彼女たちの住む所からもわりと近い富士宮のとあるキャンプ場で、かなりの広さがある。

 

斎藤家の愛犬ちくわも登場した。

寒さに弱いのでうさぎバージョンで日帰りとはなったが、なでしことも相性は良さそうだ。

「ゆるキャン△」(あfろ)4巻より、ちくわとたわむれるなでしこ
(「ゆるキャン△」4巻より) 

表紙の絵は、フリスビーをするなでしことちくわの後頭部だが、他グループの子供たちも一緒に遊ぶ姿が見られる。

周囲を巻き込んで仲良くなってしまう彼女の親しみやすさはここでも顕在。

彼女の存在なくしてこの合同キャンプは実現しなかっただろう。

そんな特別な日のキャンプごはんに選ばれたのは、すき焼き。

「ゆるキャン△」(あfろ)4巻より、クリスマスキャンプのメインはすき焼き
(「ゆるキャン△」4巻より) 

それも、あおいが懸賞で当てたA5ランク最高級の肉を贅沢に使ったすき焼きである。

これぜったいおいしいやつ。

真冬の野外でみんなで鍋を囲む晩ごはんは格別だろうね。

料理に合うお酒もあれば最高なところ。

 

「ゆるキャン△」(あfろ)4巻より、みんなで朝日を見る
(「ゆるキャン△」4巻より) 

全員で朝日を見ながらの朝ごはん。

なでしこの発案からずっとこのために動いてた感があるので一つの区切りでもある。

思ったよりきれいな終わり方で最終回みたいな雰囲気だけど、次巻からどうなるのかな。

年内に5巻が出るかどうか。

 

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「とんがり帽子のアトリエ」2巻(白浜鴎)仕組まれた罠、ドラゴンとの対決

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「とんがり帽子のアトリエ」(白浜鴎)2巻 (プレミアムKC モーニング)

「とんがり帽子のアトリエ」は白浜鴎による漫画作品。

月刊モーニング・ツー2016年9月号から連載を開始した。

あこがれだった魔法使いの弟子になった少女ココは、魔法道具を買いに訪れた町で事件に巻き込まれる。

2巻は6話から11話までを収録。 

「魔法使いになれるのは、魔法使いとして生まれた人間だけ」という絶対の掟があるなかで、魔法使い・キーフリーの弟子になることを認められた「ふつうの人」のココ。彼女の「杖」を買うために、ココと、キーフリーの3人の弟子たちは魔法使いの街・カルンを訪れる。しかし、そこで奇妙な「仮面の魔法使い」によって、彼女たちは不思議な空間に招かれてしまう。そして、そこには巨鱗竜(ドラゴン)が――!!

(「講談社コミックプラス」より)

 

前回はこちら。 

見知らぬ町とドラゴンの脅威

アトリエから一番近い魔法使いの町カルンに訪れたキーフリーと弟子たち。

魔材屋「星の剣」で道具を選んでいたココの前に現れたのは、幼い頃に見覚えのある仮面の人物だった。

母親を救う手掛かりを求めて後を追うココとテティアたちは、いつの間にか知らない場所に転送されてしまう。

そこに待っていたのは巨大なドラゴン。

漫画「とんがり帽子のアトリエ」(白浜鴎)6話より、ドラゴンに遭遇するココたち
(「とんがり帽子のアトリエ」6話より) 

人体に影響を及ぼす魔法は禁止されたものであり、つまりは仕組まれた罠だった。

窮地に立たされたココたちは生き残りを賭けドラゴンと対決することになる。

この頃の彼女たちはまだお互いに信頼関係を築けていないのだが、強大な相手を前に纏まっていく過程が見所。

禁止魔法を使うつばあり帽の存在が少しずつ明らかになっていく。

そしてなによりドラゴンが存在する世界だということが示された。

この異空間だからこそなのかは謎ではあるが。

 

「とんがり帽子のアトリエ」6話(白浜鴎)見知らぬ町とドラゴンの脅威

ドラゴンを攻略する方法

ドラゴンと対決とは言っても、いったいどうやったらいいのか。

アガットの炎の魔法で少し怯む様子はあったが、ダメージまでは与えられない。

力づくではだめなのだ。

そこで彼女たちの考えた作戦がユニークだった。 

漫画「とんがり帽子のアトリエ」(白浜鴎)7話より、ドラゴンをダメにするクッション
(「とんがり帽子のアトリエ」7話より)

テティアが開発中の雲の魔法を応用した、「ドラゴンをダメにするクッション」。

アイデアを元に魔法陣を組み立てていく様子も描かれる。

キーフリー曰く、発想は杖さばきと並んで魔法の要になるものだという。

アガットがツンデレ要素を見せ始めた回でもある。

 

「とんがり帽子のアトリエ」7話(白浜鴎)ドラゴンを攻略する方法

生活の中の魔法

その後のココ。

前回の事件で、実際に魔法を使う場面では見ているしかなかった彼女は悩んでいた。

自分だけが遅れていることが気になってしょうがない。

この世界では、魔法使いの家に生まれ、幼い頃から魔法に接してきた者が修業を重ねて魔法使いになるのである。 

それを考えると、彼女には経験が圧倒的に足りない。 

漫画「とんがり帽子のアトリエ」(白浜鴎)8話より、まずは慣れることが大事
(「とんがり帽子のアトリエ」8話より) 

師匠のキーフリーは、生活の中に魔法を取り入れていくアドバイスをする。

具体的にやっていたのは、料理の際の火加減。

炎の大きさや浮力をその都度コントロールしていく必要がある上に、おいしいものを食べたければ上手くなるしかない。

そしてキーフリーにも意外な過去が。

 

「とんがり帽子のアトリエ」8話(白浜鴎)生活の中の魔法

もうひとりの魔法使い

アトリエでの生活にも慣れてきたココだったが、まさかまだ会ったことのない住人がいるとは思わなかった。

「とんがり帽子のアトリエ」(白浜鴎)9話より、オルーギオは見張りの眼
(「とんがり帽子のアトリエ」9話より)

郊外型のアトリエでは、問題が起きた時に対処できるように「見張りの眼」が滞在することになっているという。

ここでは彼、オルーギオがその役目を担っている。

キーフリーとは付き合いが長く、苦労人のようだ。

普段は魔法器製作で部屋にこもっていて、しばらく出てこないことも珍しくないらしい。

ココからすれば第一印象がちょっと悪かったものの、うまくやっていけそうである。

こう見えてロマンチックなところもあったりする。

 

「とんがり帽子のアトリエ」9話(白浜鴎)もうひとりの魔法使い

アガットの焦り

キーフリーの四人の弟子の中でも、アガットは特に勉強熱心である。

よく一人で部屋にこもって作業に没頭している姿も見られる。 

その分他人にも厳しくて、ココが弟子入りしたばかりの頃に当たりがきつかったりしていた。

未熟であることを許せないのか、早く一人前の魔法使いになることを焦っているように見える。

そんな彼女を師匠は心配している。 

「とんがり帽子のアトリエ」(白浜鴎)10話より、アガットのトラウマ
(「とんがり帽子のアトリエ」10話より)

アガットの子供時代が垣間見られるエピソード。

周囲の期待と現実に苦しんでいたようだ。 

そのため、実力を認めさせたいという気持ちは強い。 

 

大雨の日、近くの川の橋が崩れアトリエに救助要請が来た。

実務に関わりたいアガットは同行を申し出るのだが… 

ココと関わることで少しづつ彼女も変わっていくだろう。

 

「とんがり帽子のアトリエ」10話(白浜鴎)アガットの焦り

「とんがり帽子のアトリエ」11話(白浜鴎)ココとアガットの救助作戦

 

以下のリンクより作者のインタビューも読める。

書店員の100%が面白いと回答!『とんがり帽子のアトリエ』誕生秘話|今日のおすすめ|講談社コミックプラス

あとがき 

2巻は通常版と特装版の2種類あるんだけど、どちらもKindleで対応している。

特装版は30ページほどのイラストと初期設定の入ったミニ画集付き。

 

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「こうふく画報」(長田佳奈)こうふくはいつも目の前に

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「こうふく画報」(長田佳奈) (主任がゆく!スペシャル)

「こうふく画報」は長田佳奈(おさだ かな)による漫画作品。

とある時代のとある町に暮らす人々のささやかな生活を切り取った掌編のオムニバスである。

1話8ページで番外編も含め全13話。

少し昔、大正時代の日本。
特別ではない「いつものごはんやおやつ」とともに
・神経質すぎる和菓子職人に振り回されるお手伝いの少女。
・風変わりな仮面を被る古書店の主人と、クラスになじめない転校生の少女。
・顔も知らない他人同士だった男女の新婚生活。
などなど、市井の人々の幸せな日常を描いたノスタルジックコミック!

(こうふく画報 - 株式会社ぶんか社より)

ストーリーは読み切りだが、登場人物が近所同士であったり、ゆるく繋がっている。

おかしなふたり

和菓子屋で働くかの子は、店の主人の有平(あるへい)に手を焼いている。

彼は神経質なほどの几帳面な性格で、整然としていないものが気になって仕方がないようだ。

問題なのはそれが仕事に支障を来たしていること。

店に並ぶ商品はいつも品薄で、時間通りに開店すると常連に珍しがられる有り様だ。

「こうふく画報」(長田佳奈)より、有平とかの子
(「こうふく画報」より)

味は美味しいと評判でも経営は火の車で、店の将来が心配になってくる。

しっかりしたおかみさんでもいるといいのだが。

かの子は無表情なキャラである。

言葉も素っ気ない。

それらがこのひとコマに集約されている。

悩みの箱

本作で無表情なキャラはもう一人登場する。

彼の名は茂。

料理教室に通う妻が弁当作りを張り切りだした。

それまで作っていたお手伝いの喜多に代わり、毎日彼女が用意する。

「こうふく画報」(長田佳奈)より、豆大福が好物
(「こうふく画報」より)

しかし茂と息子の進にとっては悩みの種だった。

彼の無表情は妻を傷つけないように配慮されたものなのかもしれないし、妻は夫の微妙な変化を見抜く目を持っている。

平和的に解決する方法とは。

彼のセリフ「料理をするために費やされる時間は作る人の寿命の一部だ」の部分がいい。

思えば思わるる

雪乃と清春は結婚して半月ほどになる。

お見合いと一回のデートで決めたため、お互いに知らないことも多い。

夫は物静かな性格のようで、それがまた時間のかかる原因にもなっているかもしれない。

「こうふく画報」(長田佳奈)より、夕飯はコロッケ
(「こうふく画報」より)

ある日、夫がおみやげにコロッケを買ってきた。

彼女が家事をしながら口ずさむコロッケの唄を聞き、もしかしたら好物なのではないかと思ったという。

このコロッケの唄は実在するもので、大正時代に喜劇「ドッチャダンネ」及び歌劇「カフェーの夜」の劇中歌であったもの。

おそらくは彼女にとってたった一度のデートの思い出の曲。

彼のことを考えている時に無意識に出ているものかもしれない。

 

当時のコロッケは高級なおかずなので、彼女に食べさせたくて奮発したのだろう。

ちょっとした勘違いではあるが、お互いに相手を思っているからこそのエピソードである。

そして "これからゆっくり「夫婦」になる"の言葉で締める。

あとがき 

こういった、短いけれどあたたかくなる話が詰まっている。

各話に後日談的なおまけページがついていてそれがまたいい。

もっと読みたいが単巻なのが残念。

 

作者のデビュー作「2KZ」はkindle Unlimitedでも配信されている。

こちらもおすすめだが、本作は化けたなという印象。

今後は作者買いで。

 

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「愚かな天使は悪魔と踊る」3巻(アズマサワヨシ)美人上司登場、天使と悪魔のバトル再び

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「愚かな天使は悪魔と踊る」(アズマサワヨシ)3巻 (電撃コミックスNEXT)

「愚かな天使は悪魔と踊る」はアズマサワヨシによる漫画作品。

電撃マオウで連載中。

魔界の士気を上げるためアイドル候補を探しに人間界に訪れた阿久津。

3巻では彼の上司が視察にやってくる。 

 

美人上司リズの教えにより、女性のオトしかたを学んだ阿久津。リリーとの戦いは一線を画し――!? お互いがお互いを堕としあう、ハラグロラブコメ第3巻! リリー攻略への戦略を立てた阿久津は、今までにないカッコよさでリリーの心を攻めていく。そんな阿久津に、リリーはとある感情を持ちはじめ――!?

(愚かな天使は悪魔と踊る 3 | 電撃コミックWEBより)

 

前回はこちら。

魔界の助っ人

なかなか進まない計画に、魔界から助っ人がやって来た。

魔界における阿久津の直属の上司、リズ部長である。

彼に届け物をするついでに状況を見に来たのであった。 

「愚かな天使は悪魔と踊る」(アズマサワヨシ)3巻より、上司リズが養護教諭に
(「愚かな天使は悪魔と踊る」3巻より)

リズは阿久津の通う学校に養護教諭として潜入し、独自に調査を開始する。

こちらに滞在できる数日の間に、少しでも候補を見つけておきたいところ。

若干趣味が入っている気はするが、阿久津にはできない方面からのアプローチとして有効かもしれない。

ただこの学校内で探すのであれば、天音以上の人材を見つけるのは難しいだろう。

 

前回で天音にリードを奪われた感がある阿久津なので、彼の強化を目指すのが現実的な展開である。

天使と悪魔のバトル再び

ということで、3巻ではリズに鍛えられた阿久津と天音のバトルが見所。

今度の阿久津はいつもとはちょっと違う。

「愚かな天使は悪魔と踊る」(アズマサワヨシ)3巻より、ラブコメマウントに持ち込む天音
(「愚かな天使は悪魔と踊る」3巻より)

天音の必殺の「ラブコメマウント」を仕掛けられた阿久津であったが、見事にかわしてみせるのだ。

読者的にもそこ避けちゃダメだろという場面にも関わらずカウンターに持ち込む阿久津も只者ではない。 

今回は本気だ。

「愚かな天使は悪魔と踊る」(アズマサワヨシ)3巻より、天音の攻撃をかわす阿久津
(「愚かな天使は悪魔と踊る」3巻より)

……誰? 

 

さすがの天音も、このままでは勝てないと感じたようだ。

だが、彼女は屈するわけにはいかない。

天使として、また自身の野望のためにも悪魔に負けることは許されない。

 

「愚かな天使は悪魔と踊る」(アズマサワヨシ)3巻より、男子の心を握りつぶす方法
(「愚かな天使は悪魔と踊る」3巻より)

そんな彼女の助っ人はこの人、棚橋夕香。

男子の心を一瞬で握りつぶせる方法という恐ろしい質問にも、心当たりが無くもなさそう。

助言に従って自宅で手料理を振る舞うことにした天音。

このあと何が起こるのか。

「愚かな天使は悪魔と踊る」(アズマサワヨシ)3巻より、阿久津と天音に何が
(「愚かな天使は悪魔と踊る」3巻より)

スタンド的存在の二匹、べディグリーチャムとワンダフルジョーも思わず見守ってしまうほど。

 

天音は悪魔たちのアイドルになれるのか?

彼女が定時報告を義務付けられている事柄は何なのか。

その内容と野望次第では両者が組むのも悪くはないかもしれないね。

4巻あたりで垣間見られるといいんだけど。 

あとがき 

今回は登場人物が絞られた巻になったが、出番のなかったキャラのサービスショットがカバー下に掲載されている。 

 

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「映画大好きポンポさん」(杉谷庄吾【人間プラモ】)創作への情熱と楽しさが詰まった幸せな作品

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「映画大好きポンポさん」(杉谷庄吾【人間プラモ】) (MFC ジーンピクシブシリーズ)

「映画大好きポンポさん」は杉谷庄吾【人間プラモ】による漫画作品。

pixivで発表されたweb漫画であったが、SNSで評判を呼び今回の書籍化となった。

帯によると、アニメ化も進行中とのこと。

ポンポさんは敏腕映画プロデューサー。映画の都ニャリウッドで日夜映画製作に明け暮れていた。ある日アシスタントの“映画の虫”ジーンはポンポさんから突然「この脚本は君に撮ってもらうから」と監督に指名され!? 

ポンポさんは映画プロデューサー

ニャリウッドにある映画会社、ペーターゼンフィルムに所属する若きプロデューサーのポンポさん。

彼女は伝説の映画人、J・D・ペーターゼンを祖父に持ち、映画作りに必要な才能を全て持ち合わせている銀幕の申し子であった。  

「映画大好きポンポさん」(杉谷庄吾【人間プラモ】より、ポンポさんが来ったぞー
(「映画大好きポンポさん」より)

本名はジョエル・ダヴィドヴィッチ・ポンポネット。

今日も新作映画にかかりきりのポンポさんは、事務所に泊まりがけで作業をしている。

コネも資金も才能も持ち合わせている彼女ではあるが、B級おバカ映画を作っている時が一番生き生きしているようだ。

「映画大好きポンポさん」(杉谷庄吾【人間プラモ】より、ポンポさんはB級映画好き
(「映画大好きポンポさん」より)

どんなくだらない内容でも、彼女にかかればちゃんと面白い作品に仕上がってくる。

「泣かせ映画で感動させるより、おバカ映画で感動させる方がかっこいいでしょ?」とは彼女の談。

女優が魅力的で、適度な長さで、気軽に楽しめる娯楽映画を好むのは幼少時代の経験によるものらしい。

多忙な両親の代わりに祖父のもとで育った彼女は、日々一緒に映画を鑑賞し、その間じっと座っていることを求められたという。

そのため、長尺の映画は苦手としている。

「映画大好きポンポさん」(杉谷庄吾【人間プラモ】より、ポンポさんの映画論
(「映画大好きポンポさん」より)

「2時間以上の集中を観客に求めるのは現代の娯楽としてやさしくないわ。

製作者はシーンとセリフをしっかり取捨選択して出来る限り簡潔に作品を通して伝えたいメッセージを表現すべきよ。」

ポンポさんのこの部分の考え方には共感できる。

映画は90分くらいで、長くても2時間以内にすっきり収めて欲しい。 

ここでの製作アシスタント、ジーンの反応もポイントである。

彼は映画だけを人生の楽しみとして生きていた。

学生時代も周囲に馴染めず家で映画ばかりを観る日々を送っていたが、将来は映画監督を目指しペーターゼンフィルムに飛び込んだのだ。

「映画大好きポンポさん」(杉谷庄吾【人間プラモ】より、ジーンが監督に抜擢される
(「映画大好きポンポさん」より)

本作は彼や新人女優のナタリーがポンポさんに見出され、映画の道を歩み始める物語でもある。 

「1分でも多く映画を観ていたいから上映時間が長いと嬉しいです」と言っていた映画バカのジーンが、予告編を任されたことをきっかけに編集の魅力にはまっていく。

鑑賞中も仕事中も常にメモを取り続ける几帳面な彼には、地道な作業は向いているのかもしれない。

ただこの時点では彼にとって映画は自分が楽しむためのものであった。

やがてポンポさんの脚本による新作の監督へと抜擢された彼がどう変わっていくのかが見所。

彼はポンポさんが一番撮りたいと思っていたシーンを見抜く目を持っている。

あとは自信を持つ事や、作品を通して何を伝えたいか、誰に伝えたいかを意識出来るかどうかが課題なのだが。

「映画大好きポンポさん」(杉谷庄吾【人間プラモ】より、リリーを演じるナタリー
(「映画大好きポンポさん」より)

女優を魅力的に撮ることは成功したようだ。

好きなものを真っ直ぐに追いかけること、本作はそれを真っ直ぐに描いている。

そして最後のセリフに選んだ言葉がまたいいんだよね。

 

単行本化でエピソードの合間にコラムが追加されていて、各キャラクターの好きな映画が掘り下げられているが、それぞれのタイトルを選んだ理由が興味深い。 

 

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「あいどるスマッシュ!」1巻(TNSK)、強い(かわいい)は正義!世紀末救世主(アイドル)伝説

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「あいどるスマッシュ!」(TNSK)1巻 (サイコミ)

「あいどるスマッシュ!」はTNSKによる漫画作品。

web漫画サイトサイコミで2016年より連載を開始した。

時はアイドル世紀末―――。 文明は衰退し、アイドル同士の紛争が絶えることはなかった。全てのアイドルたちの目的は唯一つ。300年に一度「武道館」にて開かれるという『アイドルスマッシュ』で勝利を収めること!! 見事アイドルの頂点を極めし者には、かつて世界を支配していた伝説のアイドルの遺産が与えられるという―――。

(あいどるスマッシュ!|サイコミより)

アイドルの時代

遥か未来、荒廃した世界では、力を持つ者がコミュニティを支配する。

この時代、ヒエラルキーの頂点に立っていたのはアイドルと呼ばれる存在である。 

「あいどるスマッシュ!」(TNSK)1巻より、世紀末の脅威アイドル
(「あいどるスマッシュ!」より)

暴力、裏切り、略奪、殺人、洗脳、非道の限りを尽くす彼女たちは鬼や悪魔にも例えられ人々に恐れられていた。

彼女たちの歌には人を惹き付ける力があり、その虜(ファン)になった者の応援は彼女たちの力の元になる。

そんなアイドルに対抗する術があるとすれば、同じアイドルの中から生まれてくるのを待つしかないのかもしれない。

 

ルナプロダクションの新人アイドルのつくねは、山での修行を終え外界に出てきたばかりの女の子。

首都ゴリアテを目指してやって来たが、入場制限が厳しく、中へ入れずにいた。

「あいどるスマッシュ!」(TNSK)1巻より、つくねとすずめ
(「あいどるスマッシュ!」より)

城壁の外では、同じような境遇の女の子すずめと行動を共にすることになる。

すずめは戦闘民族ツインテール族出身の新人アイドルで、一族の掟を破った者を捜しに来ているという。

キャリアが浅いからか単に個人差なのかは不明だが、二人は普段の姿はかなり地味である。

戦闘時だけ変身するタイプ。

この辺は性格の問題なのかな。

「あいどるスマッシュ!」(TNSK)1巻より、一緒に温めあって寝ましょう
(「あいどるスマッシュ!」より)

すずめにとっては里から出て初めて出来た友だちだったようだ。

この初々しさがかわいい。 

目指すは武道館

アイドルたちが拳(マイク)をもって頂点を目指しバトル(ライブ)を繰り広げる物語。

折しも、300年毎に武道館で開かれる「アイドルスマッシュ」の時期が近づいていた。

この荒んだ世界を変えるには、そこで勝利し伝説のアイドルの遺産を手に入れる必要があるだろう。

とりあえず、ゴリアテ城内に入らなければ始まらない。

「あいどるスマッシュ!」(TNSK)1巻より、つくねの必殺技クレッセントムーン
(「あいどるスマッシュ!」より)

アイドルが城内に入るためには、公認アイドル「Beasts !」の新人オーディションを兼ねた地下ライブで優勝するのが唯一の方法という。

つくねとしずくは、この地下ライブトーナメントに出場することになる。

長い長い道のりの始まりである。

「あいどるスマッシュ!」(TNSK)1巻より、地下ライブのスタッフに欠員
(「あいどるスマッシュ!」より)

各話に付くおまけページでメインを張るアイドル記者。

彼女も城内へ入るために司会として参加するが、スタッフをやるのも命懸けなようだ。

 

その頃ゴリアテ城内では、アイドルスマッシュ出場権を賭けた総殲挙が行われようとしていた。

そこで得られるのはたった1つの椅子。

つくねたちはそこまでたどり着くことができるのか?

あとがき

1巻が出たばかりではあるが、来月には2巻が登場。

連載は31話まで進んでいるので、立て続けに出る可能性もある。 

 

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「RWBY(ルビー)Volume 5」PV第3弾、“Black”編 -Blake Character Short- 公開

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「RWBY(ルビー)Volume 5」予告第3弾、“Black”編 -Blake Character Short- サムネ

RWBY(ルビー)はモンティ・オウム氏とROOSTER TEETHによるアニメシリーズ。

2017年9月5日未明、新シーズン「RWBY(ルビー)Volume 5」 の新PVが公開された。

今回は第3弾、Break編(-Blake Character Short-)である。

 

前回はこちら。 

ブレイクとイリア

RWBY Volume 5 Blake Character Short - Premieres Oct 14 - YouTube

 

Volume 4の8話の少し後のエピソード。

メナジェリーにあるベラドンナ邸の庭に忍び込んでいたスパイから奪った端末で、アダム・トーラスによるミストラル襲撃の情報を得たブレイクたち。

島内にいるホワイトファング関係者らしき者を追っている。

 

イリア(Ilia Amitola)はブレイクのかつての仲間だったカメレオンのファウヌス。

ホワイトファングに入る前はアトラス大陸に住んでいたようだ。

ブレイクの回想の中で、イリアが人間を憎む理由と組織に入った動機が語られる。

>RWBY Volume 5 Blake Character Shortより、ブレイクと対峙するイリア

今後アダムとホワイトファングと対決することになるブレイクにとって、やりづらい戦いが続くだろう。

Volume 4の劇場公開決定 

Volume 5公開直前に、Volume 4吹替版の劇場公開も決定した。

これでTVシリーズから知った人も入りやすくなると思う。

RWBY VOLUME 4<日本語吹替版>ティザーCM - YouTube

 

次のシーズンであるVolume 5の公開日は現地時間で2017年10月14日。

会員が日本時間15日1:00から、一般公開が22日1:00からと予想される。

 

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「さよなら私のクラマー」16話(新川直司)私達には夢がある

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「さよなら私のクラマー」(新川直司)16話より、安達太良アリスと天馬夕の出会い

「さよなら私のクラマー」は新川直司による漫画作品。

16話は、決勝トーナメント蕨青南vs.浦和邦成の試合が決着する。

 

前回はこちら。 

アリスと天馬

安達太良アリス、通称アダ。

浦和邦成の中でも異様な存在感を放つ選手がついに動き出した。

彼女はただのアニメオタクではない。

幼い頃のアリスは、魔法少女に憧れる夢見る少女だったという。

内気な性格と言動の怪しさからか、あだ名は「死神」や「リビングデッド」。

引きこもりがちだった彼女を心配した両親のすすめでスポーツを始めることになる。

「さよなら私のクラマー」(新川直司)16話より、とんだ曲者だな
(「さよなら私のクラマー」16話より) 

その頃に出会ったのが天馬夕だった。

アリスは天使ちゃんと呼んでいたが、アニメの登場人物になぞらえているなら、この子は悪魔の翼を持っている。

興味深いのは彼女がいつも持ち歩いている飴は魔法のステッキがモチーフであったということなのだが、そのうち描かれるのかな。

「さよなら私のクラマー」(新川直司)16話より、監督に催促する天馬
(「さよなら私のクラマー」16話より) 

エセイタリア野郎こと後藤田監督は隠しておきたかったようだが、ここにきて、ついに浦和邦成が本来の姿を見せるのだった。

全国、または久乃木学園との対戦で見せるはずだったであろうシステムを引き出したのは、蕨青南が想像以上によく戦ったということでもある。

試合終了

相手は県予選八連覇中の強豪校。

一時は大金星かと思わせるところまで追い詰めたものの、終わってみれば順当な結果であった。

伊達に日本一を目標にしてはいない。

「さよなら私のクラマー」(新川直司)16話より、安達太良アリスの本領
(「さよなら私のクラマー」16話より) 

その原動力となり得るのがこのアリスというわけかな。

後藤田監督が突然変異という言葉を用いるくらいの運動能力をもつ選手。

長い付き合いの天馬は彼女を活かすのがうまいのだろう。

一度フリーになったアリスを、誰も止められない。

「さよなら私のクラマー」(新川直司)16話より、浦和邦成の2点目
(「さよなら私のクラマー」16話より) 

テクニックなら井藤や恩田の方が上だろうけど、身体能力のみで翻弄する姿は、その不気味な動きと相まっておそろしさを感じさせる。

今年の浦和は守備のチームじゃないぞと。

久乃木のDFは彼女を止められるのかな。

 

監督にここまで言わせる才能。

日本サッカーの可能性ときた。 

「さよなら私のクラマー」(新川直司)16話より、安達太良こそ日本サッカーの可能性
(「さよなら私のクラマー」16話より) 

もし味方なら心強い限りなので代表戦とか見てみたいね。

 

次回からはトレーニング編かな?

男子サッカー部との練習がそろそろ描かれるんじゃないかと。

タケやテツと対決する恩田が見られるかも。

あとがき 

来月10月17日には4巻が発売される。

今回は早いね。

「さよなら私のクラマー 4巻」

 

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「将来的に死んでくれ」2巻(長門知大)ド直球少女が恋の駆け引きに挑戦してみた

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「将来的に死んでくれ」(長門知大)2巻 (週刊少年マガジンコミックス)

「将来的に死んでくれ」は長門知大(ながと ちひろ)による漫画作品。

別冊少年マガジンで連載中。

今回の帯の言葉は、「貴方のことが大好きなので、おっぱいを触らせてください。」

刑部小槙と菱川 俊、二人は共に女子高生。自分に向けられた俊の真っ直ぐすぎる愛を拒むでも受け入れるでもなく、ただただ流す小槙。そんな彼女の心、溶かしてみせましょう恋の駆け引き(と、たまに財力)で! いつだって、そこにあるのは小槙ちゃんへの愛!!

(講談社コミックプラスより)

前回はこちら。 

 

同級生の刑部小慎(おさかべ こまき)のことが大好きな菱川俊(ひしかわ しゅん)。

小慎のことを振り向かせようと、日々アピールしているのだが、未だ成功はしていない。

気持ちが先走りすぎて、お金を積んでまで成就させようとしていた菱川も、少しずつ成長しているはずだ。

それでも、何度断られようと諦めないそのハイテンションな言動が彼女の魅力である。

「将来的に死んでくれ」(長門知大)2巻より、間接キスだー
(「将来的に死んでくれ」2巻より) 

恋の駆け引きなどという言葉は無縁のはずであった。

ペットボトルの間接キスに動揺したり、草むしりで男女ペアを組むことに駄々をこねたり、小慎の部屋を見たがったり。

裏表なく欲望にまっすぐで、ある意味ピュアなタイプ(自称)のキャラである。

「将来的に死んでくれ」(長門知大)2巻より、草むしりの組分けに不満
(「将来的に死んでくれ」2巻より) 

ところが、今回は何を血迷ったか駆け引きをしようとする菱川を見ることができる。

うまくいく気がしないよね。

小慎には直球じゃないと通用しないんじゃないかと思われる。

「将来的に死んでくれ」(長門知大)2巻より、なんて食べ方するの
(「将来的に死んでくれ」2巻より) 

そんな菱川も一つ、確かに進歩した点がある。

褒めることを覚えたことだ。

相手に好意を伝えられると同時に、喜んでもらえる可能性も大きい。

適度な範囲であればだが。

調子づいた菱川は、いつでもどこでもうっとしいくらいに褒めまくる。

「将来的に死んでくれ」(長門知大)2巻より、褒めることを覚えた菱川
(「将来的に死んでくれ」2巻より) 

融通の利かないところもうざかわいい。

そんな彼女の頑張りに、今回は小慎から最上級のご褒美も飛び出した。

この貴重な笑顔を見れたことで菱川の努力も報われたのではないだろうか。

「将来的に死んでくれ」(長門知大)2巻より、小慎の笑顔
(「将来的に死んでくれ」2巻より) 

今月号の別冊少年マガジン(2017年10月号)では、一挙2話掲載で続きも読めるようになっている。

出不精の小慎を休日デートに連れ出すことに成功した菱川であったが…

 

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「空電ノイズの姫君」12話(冬目景)夜祈子がバンド練習に

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「空電ノイズの姫君」(冬目景)12話より、夜祈子にバンドのことを報告

「空電ノイズの姫君」は冬目景による漫画作品。

月刊バーズで連載中。

12話は、夜祈子が磨音のバンド練習を見学する。

 

前回はこちら。 

夜祈子にサポート依頼

父拓海から、夜祈子を知人に紹介したいと切り出された磨音。

後輩のバンドが、イベントでコーラスのサポートを探しているという。

「空電ノイズの姫君」(冬目景)12話より、夜祈子を推薦したい拓海
(「空電ノイズの姫君」12話より) 

結成20周年ライブとのことで、コアなファンや業界関係者の目に留まる可能性もなくはない。

拓海の新バンドの話ではなかったし一時的なものだけど、いいきっかけになりそうだ。

夜祈子も拓海に認められていることを知れば喜ぶだろう。

 

問題は彼女にどう伝えるのかということ。

夜祈子は歌うことは好きだが、自身で音楽活動をしているわけではない素人だ。

慣れないうちに大勢の前に出ることに抵抗があるかもしれない。

物怖じしない性格で大丈夫だろうが、磨音としては心配である。

「空電ノイズの姫君」(冬目景)12話より、夜祈子をバンド練習に誘う磨音
(「空電ノイズの姫君」12話より) 

磨音はバンドの練習に夜祈子を誘ってみる。

そもそもギターを弾けることも話していなかったくらいなので、ちょっとしたサプライズだ。

特に隠しているつもりはないらしいのだが、わざわざ言うことでもないと思っていたようである。

親の影響で楽器を始めていたとしても不思議のない環境で話題になっていないのは意外なところ。

バンド練習を見学

「空電ノイズの姫君」(冬目景)12話より、磨音の演奏を聴いた夜祈子
(「空電ノイズの姫君」12話より) 

拓海のかつてのバンド、The Amber Jackのファンである夜祈子によると、磨音の弾き方は父そっくりらしい。

唯一教わった相手だからというだけでなく、技術の高さもそうなのだろう。

拓海の若い頃よりも上手いはずである。

「空電ノイズの姫君」(冬目景)12話より、アルタゴの演奏を聴いた夜祈子
(「空電ノイズの姫君」12話より) 

一方、他の二人の演奏を聴いた夜祈子。

磨音に興奮した直後なのに思わず真顔になってしまう。 

これは口で言われるよりつらい反応。

初めてスタジオに入った興味津々の女の子にこんな表情をさせてしまうなんて、どんだけ下手なのか。

「空電ノイズの姫君」(冬目景)12話より、夜祈子の感想
(「空電ノイズの姫君」12話より) 

曲そのものに対する評価は悪くないようなのだが、それも夜祈子が歌うことで良さが分かるという有様。

ここにきて、磨音も気づいてしまうのだったが夜祈子を誘うわけにはいかないのだ。

オリジナルメンバーで認めさせなければ意味がないという考えと矛盾してしまう。

父の忠告にもあった問題に直面しようとしているのだけど、実際に経験して失敗してみてはじめて気付くことかもしれない。

 

人気のあった中心メンバーのチアキの急逝で、ファンにも常連だったライブハウスにも見放されたバンド。

作者はこのアルタゴというバンドをどうしたいのか。

目前に迫ったオーディションで現実を知って、新バンドとして再出発とか?

そこに夜祈子を加入させたとしてもリズム隊を入れ替えられないなら浮上も無理そうだ。

このだめな男子たちを見守りたいかというとそんな気にはなれないしね。

 

個人的には、作者がインタビューで答えていたようにバンドものとして描こうとしているわけではないという点に期待している部分がある。

毎月少しずつ読むより単行本でまとめて読んだ方がいいのかもしれない。

でも定期的にモヤモヤするのも楽しんでいる証拠なのかな?

続きは気になるしな。

 

サポートの件を夜祈子に話しやすくなったという点では意義のある練習だった。

これを機に磨音が夜祈子と組みたいと思ったのなら今後が楽しみになってくる。

アルタゴとは別件でならだけど。 

 

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「猫の手はかりない!」(紺野キタ)老紳士と女装男子のシェアハウス生活

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「猫の手はかりない!」(紺野キタ)1巻 (バーズコミックス スピカコレクション)

「猫の手はかりない!」は紺野キタによる漫画作品。 

デンシバーズで2016年まで連載されていた。2巻完結。

女装男子の小篠景虎は、父親と衝突の末、親類の徳さんが運営するシェアハウスに、住み込みで働くことに。なんとそこは、高齢の男性ばかりが共同生活を営む「紳士の隠れ処」だった!

(猫の手はかりない!| 幻冬舎コミックスより)

シェアハウスと女装男子

老紳士ばかりの住むシェアハウスに、新しい入居者がやってきた。

父親と反りが合わないため、母方の親類の営むこの家で住み込みのハウスキーパーの仕事をするためである。

住人は気心の知れた昔なじみ同士での暮らしだが、いざという時に若い者がいるのは心強いらしい。

枯れかけた男所帯に、華やかさが加わった。

「猫の手はかりない!」(紺野キタ)1巻より、しのちゃんは小篠景虎
(「猫の手はかりない!」1巻より)

しのちゃんこと小篠景虎は、調理師専門学校に通っていたこともある男の子、というより男の娘である。 

一見、女の子かと思わせる外見だが勇ましい名前の持ち主。

かわいいもの好きで、女装は期間限定の趣味として楽しんでいる。

服飾学校に通うガールフレンドのマコちゃんの協力で、仕事に合わせメイド服も用意してきていた。

「猫の手はかりない!」(紺野キタ)1巻より、マコちゃんの乗車拒否
(「猫の手はかりない!」1巻より)

ここは紳士の隠れ処

住人は家主の徳さんを筆頭に、事情で独り身であったり家族と離れていたりしているところを、この春から集まって賑やかに暮らし始めたところ。

 

本作はこの奇妙な組み合わせの面子が家族となっていく数ヶ月の日々を描いている。

血が繋がっているからこそうまくいかないこともある。

他人として遠すぎない、気の置けない者同士の適度な距離感で相手を尊重しつつ暮らしていくのもいいかもしれない。

作中のセリフにもあるが、お爺ちゃんたちの男子校みたいなノリなのだ。

そこにしのちゃんが加わったことで若い世代との交流も生まれてくる。

ちなみに、しのちゃんの呼び名は定着せず、ここでは「ねこ虎」と呼ばれている。

「猫の手はかりない!」(紺野キタ)1巻より、紳士の隠れ処兼執事カフェ
(「猫の手はかりない!」1巻より)

客人を招く時は、執事カフェごっこでお出迎え。

むしろこれがメインとも言えるのだが、女性客達には人気である。

健康に問題を抱えているメンバーもいるし、あとどのくらい続けられるかは分からない。

でも孫に囲まれてのんびりした老後もいいかもしれないが、こんな遊び心のあるちょっと元気な余生も悪くないんじゃないかな。

「猫の手はかりない!」(紺野キタ)2巻より、家出少年の更生
(「猫の手はかりない!」2巻より)

やんちゃな家出少年も常連客になった。

最初は元気だけが取り柄だったねこ虎も、じいさんたちの為に健康に配慮した料理を覚えたり、送り迎えできるように車の免許を取ったり、相手を気遣う優しさを見せるようになる。 

「猫の手はかりない!」(紺野キタ)2巻より、しのちゃんのおかえり
(「猫の手はかりない!」2巻より)

こんな全力のおかえりを言われたい。

 

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「アインシュタインの怪物」1巻(宮永龍)ケモミミの魔女とアンデッドになった青年の冒険物語

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「アインシュタインの怪物」(宮永龍)1巻 (デジタル版Gファンタジーコミックス)

「アインシュタインの怪物」は宮永龍による漫画作品。

月刊Gファンタジーで2015年7月号より連載を開始した。 

町外れに一人で住んでいるアインシュタインという少年は変だ。歳も取らないし子供のくせに薬学に詳しすぎる。「きっと魔女に違いない」。そんな噂が絶えない人物のもとに足しげく通う漁師の青年レルー。彼の身に襲い掛かる恐ろしい現実とは…!? 忌まわしくも愛おしいゴシックファンタジー。

(アインシュタインの怪物 -月刊Gファンタジーより)

丘の上の少年と漁師の青年

レルーは海沿いの街で父と住み込みの漁師コンセイユと三人で暮らしていた。

小さな町だが、平和で居心地が良さそうな土地である。

丘の上には薬学に詳しい少年アインシュタインが住んでいて、レルーもよく父の薬を作ってもらっている。

「アインシュタインの怪物」(宮永龍)1巻より、丘の上の博士の家
(「アインシュタインの怪物」1巻より)

住み始めた頃から年をとっていないのではないかと噂にもなっている不思議な人物だが、頻繁に通うレルーとは割りと気が合うようである。


最近、この町で人々を悩ませているのは、シーズンにも関わらず不漁が続いていること。

このままの状況が続くと生活が立ち行かなくなってしまうという。

意気盛んなレルーは、危険で避けられている漁場へ向かおうとするのだったが…

「アインシュタインの怪物」(宮永龍)1巻より、危険水域へ出る決意
(「アインシュタインの怪物」1巻より)

このことが彼らの運命を大きく変えることになる。


多くの船乗りたちの命を奪ってきた危険水域に踏み込んだレルーたちも例外ではなかった。

嵐とサメの襲撃に会いながらも浜にたどり着こうとしていたレルーは、死の間際にアインシュタインに救われる。

彼にはどうしても死にたくない理由があった。

「アインシュタインの怪物」(宮永龍)1巻より、どんな生でもか
(「アインシュタインの怪物」1巻より)

たとえそれがどんな生であっても。

ケモミミ魔女と生まれ変わったレルー

これは魔女として生まれたアインシュタインと、人造人間として生まれ変わったレルーの二人が居場所を見つけるまでの物語かもしれない。

生にこだわったレルーに与えられたのは、皮肉にも、欲しかったものを全て失ったあとに残った生である。

そしてフランケンシュタインという新しい名前。

これからの生活は過酷なものになる可能性が高いだろう。

「アインシュタインの怪物」(宮永龍)1巻より、博士は博士だ
(「アインシュタインの怪物」1巻より)

一方、アインシュタインは魔女として数百年は生きてきたが、人目を避けながら暮らす生活に飽きてきていたようだ。

レルーの蘇生の際に、自分の心臓を与えてしまっていた。

そのため、魔女の心臓からつくられる血がないと長くは生きられない体になっている。

この二人はお互いがいないと生きていくことが困難なのである。

「アインシュタインの怪物」(宮永龍)1巻より、旅先での食事
(「アインシュタインの怪物」1巻より)

かくして二人の旅が始まっていくが、辛いことばかりでなさそうなのが救いだ。

正体がバレていない場合に限られるのかもしれないが、序盤はむしろ楽しそうですらある。

博士(アインシュタイン)の反応からすると、魔女であることや、けものの耳であることを知っても態度が変わらなかった相手はレルーが初めてなのかもしれない。

レルーの言葉に照れる様子がいちいちかわいい。

 

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「とんがり帽子のアトリエ」14話(白浜鴎)魔法使いの試験

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「とんがり帽子のアトリエ」14話より、三賢者考案の魔法使いの試験

「とんがり帽子のアトリエ」は白浜鴎による漫画作品。

月刊モーニング・ツーで連載中。

14話は、魔法使いにとっての試験の種類が明らかになる。

 

前回はこちら。 

魔法使いの試験

キーフリーとココたち弟子一同は屋外で「風寄せの手」の授業中である。

木になっている山りんごを、風の魔法を使って実だけ取る練習。

かなり小さめの木なので、そちらに影響を与えず特定の実だけを取り寄せるというのは、高度な技術を要するのではないかと思われる。

現在の彼女たちには難しいかもしれないが、陣の大きさや矢印の角度など、失敗しながら工夫していく過程が大事なのだろう。

「とんがり帽子のアトリエ」14話より、魔法使いの試験は5種類の「五芒星試験」
(「とんがり帽子のアトリエ」14話より)

魔法使いが一人前になるために、受けることのできる試験は5つあるらしい。

1つ目は彼女たちも受けた入門試験。

現在アガットが受験勉強中なのは、人前で魔法を使えるようになる2つ目の試験。

2話で、扉窓から湖の向こうに見えていた図書の塔へ入れるようになるのは3つ目の試験。

その次は卒業試験なので、先はまだまだ長そうだ。

「とんがり帽子のアトリエ」14話より、アガットの一族アークロム家は代々司書
(「とんがり帽子のアトリエ」14話より)

試験に対する姿勢はそれぞれなのだが、アガットとテティアはすでに卒業後のことも見据えている。

アガットの将来の目標は図書の塔の司書になる事だという。

資格を持つ者のみが入ることを許される、魔法に関する全ての書籍が保管されている場所。

彼女の一族は代々司書を務めている家系で、アガットもそれを目指しているようだ。

その事が母親や一族に実力を認めさせることにもなると考えているのだろう。

小さい頃からの憧れもあるのかもしれないが、現在の彼女には出来るようになっていく喜びがあまり見られない点が師匠も心配するところ。

「とんがり帽子のアトリエ」14話より、テティアのツインテールの秘密
(「とんがり帽子のアトリエ」14話より)

一方、テティアはアガットとは対照的にいつでも楽しそうだ。

ありがとうと言われることが大好きな彼女は、卒業したら多くの土地をを旅して周り、世界中の言葉でありがとうを聞きたいらしい。

このぶれないところ、常に前向きなところが彼女の長所である。

 

そして、試験の種類が分かったことでココの目指すところがはっきりした。

母親の石化を解くための情報を手に入れるために、3つ目の試験をクリアすること。 

「とんがり帽子のアトリエ」14話より、夜遅く勉強するココ
(「とんがり帽子のアトリエ」14話より)

弟子の中でも一番実力のあるアガットがようやく2つ目の試験を受けることが許されたくらいだ。

弟子入り試験が10歳の時と言っていたので、それから何年も修行してのこと。

初心者のココがそこまでたどり着くのはいつの日か。

その前につばあり帽が介入してきそうだが、今は焦らず地道に学ぶしかない。

 

気になるのはキーフリーの動向だが、いきなり接触するのか?

それとも位置を探るに留まるのか。

「とんがり帽子のアトリエ」14話より、不審なキーフリー
(「とんがり帽子のアトリエ」14話より)

弟子たちのためにも危険は避けて欲しいところだけどね。

彼女たちが一人前になるまで側にいてくれるのだろうか。 

 

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【2017年9月】Kindle Unlimitedに再登録したのでおすすめの漫画と気になる本をまとめてみた

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図書館のイメージ

Kindle Unlimitedの開始からもうすぐ1年が経とうとしている。

早い段階で解約して放置していたのだが、様子見でまた登録してみることにした。

Kindle Unlimitedを見てみる

Kindle Unlimitedで12万冊が読み放題

昨年のまとめはこちら。 

当初の内容とは比ぶべくもないが、たまに短期間だけ利用するのはありだと思う。

月刊バーズ

再登録のきっかけになったのはバーズを読みたかったからなのだが、掲載作品でのおすすめは「空電ノイズの姫君」。

1作品のためだけに雑誌を買うというのもわりとある事だが、読み放題であるとハードルが下がって非常に助かる。

現状、Web連載のデンシバーズの方が面白いと思っている。

最新号含めて3ヶ月分が対象。

月刊MdN

バックナンバーが限定されているが、MdNも引き続き利用できる。

2017年前半に放送されたアニメ、「リトルウィッチアカデミア」を制作したTRIGGERの特集号が読めるのは今のうちかな。

ガレット

2017年に創刊された自主制作百合コミック誌。

年4冊ペースの季刊で、コミティアに合わせて発行とのこと。

現在No.3のみ対象。

「CottonCandy」(浜野りんご)がお気に入りだったが、全3話で完結した。

運営が安定するまでは短期連載や読み切りが多いのかも。

「CottonCandy」(浜野りんご)1話より
(「CottonCandy」より)

インクリング・アリス(記伊孝)

不思議の国に迷い込んだアリスは、フック船長の海賊船に捕らえられ、十五少年と一緒に漂流したあげく、大魔導師マーリンに襲われるところを、ポピンズ先生が学長を務める魔法学校アリス・アカデミーに保護される。

カオスな世界観で始まるファンタジーもの。 

「アニウッド大通り」の9巻がなかなか出ないと思っていたら、完全新作が登場。

タイトルの元になっているInklingsは「指輪物語」のトールキンや「ナルニア国ものがたり」のC・S・ルイスが在籍した文芸クラブ。

この世界の成り立ちにアリスが関わっていて、重要な力を秘めているらしいのだがまだよくわかっていない。

尻上がりに面白くなってきたので次巻も楽しみにしている。

「インクリング・アリス」(記伊孝)1巻より、ポピンズ先生が駆けつける
(「インクリング・アリス」1巻より) 

ポピンズ先生がかっこいい。

作中ではマリア・ポピンズ表記だが、ディズニー版の「メリー・ポピンズ」の方が馴染みがある。

おもいで停留所(池田邦彦)

昭和20年代の茨城県北部でバスガールをやっている沢田麻紀の物語。

この頃のバスは車掌が乗務する決まりになっていて、乗客との交流も生まれやすかったのだろう。

彼女が関わっていく周囲の人々との出来事をあたたかく描いている。

戦後だからか、路線バスということもあって割と時間通りの運行なのらしい。

井伏鱒二の小説に「おこまさん」という作品があって、成瀬巳喜男監督と高峰秀子のコンビで映画化された。

「秀子の車掌さん」(1941)ではのんびりすぎるほど牧歌的なバスだったのでその違いも興味深い。

FLIP-FLAP(とよ田みのる) 

高校の卒業の日に、好きだった女の子に告白した深町は、一つの条件を突きつけられる。

彼女の行きつけのゲームセンターの、ピンボールの最高得点を超えること。

「FLIP-FLAP」(とよ田みのる)より、山田さんと一緒に大会出場
 (「FLIP-FLAP」より)

風変わりな始まりから心を揺さぶる熱い展開が待っている。

Kindle Unlimitedに登録したら一度は読んでみるといい。

作者の作品は他に「友達100人できるかな」全5巻や「最近の赤さん」も対象。

2KZ(長田佳奈) 

大学へ通うために引っ越してきたユータの新居は、古いアパートで2部屋・キッチン・座敷童子付き。

引きこもりでグータラなトラさんとの共同生活が始まる。

彼女がいることで、住人にも幸せがもたらされるはずだ。

作者の最新作は大正時代の市井の人々を描いたオムニバス「こうふく画報」。

そちらは対象外だが合わせて読んでみて欲しい。

アクジキ(鈴木小波)

作者のオリジナルとしての初連載作品。

そのため勢いはある。

1巻で止まっていた発行が数年の後に全5巻揃った。

人の影を食う化け物・餌魔(えま)に襲われた小川大河は、同年代の少年・桐島史朗に助けられる。

稀にその力を吸収してして逆に自分の力に変える事のできる者がいるという。

彼らはアクジキと呼ばれ、餌魔を倒す運命を持つ。

だが、いつかは取り込まれて餌魔に変化してしまうおそれもあった。

大河はうっとうしいくらい正義感が強く真っ直ぐなキャラ。

1巻だけでは良さがわからないかもしれない。

最後まで読んでこそだなと。

青い花(志村貴子)

「淡島百景」2巻の刊行を記念して、先日からOhta Web Comicで「青い花」が復活連載されているが、こちらでも再び対象作品となった。

しかも全巻である。

高校入学を機に昔住んでいた土地に戻ってきた万城目ふみ。

幼なじみの奥平あきらと10年振りの再会をすることから始まっていく。

推しが武道館いってくれたら死ぬ(平尾アウリ)

岡山県の地下アイドルChamJamのメンバー、舞菜を応援する熱狂的なファン・えりぴよ。

生活の全てを注ぎ込み、いつもジャージ姿の彼女は他のファンの間でも有名で伝説の古参オタと呼ばれる存在。

そして、えりぴよを意識するあまり上手くコミュニケーションがとれない舞菜とのすれ違いは2年以上続いていた。

「推しが武道館いってくれたら死ぬ」(平尾アウリ)3巻より、えりさん積んで
(「推しが武道館いってくれたら死ぬ」3巻より)

塩対応だと思われていた舞菜の反応も、最近では少しづつ変化が見られ、なんとか友達になりたいと考えるまでに。

現在3巻まで刊行されているが、対象になっているのは1巻のみ。

掲載誌のCOMICリュウは初めて電子化された2016年5月号から、最新号以外を読むことができる。

金の月のマヤ(田森庸介、福島敦子)

伝説的名RPG「ポポロクロイス物語」のコンビが贈る壮大な学園ファンタジー! ある日とつぜん異世界<シャドゥイン>へと迷い込んだ、黄昏小学四年生の観月マヤ。彼女がこの世界に呼ばれたのには、理由があった。マヤは、精霊エルマをあやつる魔法使い<エルマニオ>になり、闇ににおおわれつつあるこの世界を救うという、「救世主」としての使命を負っていたのだ。

全3巻のファンタジー小説。

挿絵入りと無しの2パターンがあるが、本作はこの絵が魅力なので挿絵入りバージョンにした。 

Siriの読み上げ機能も試してみようかと思ったが、ストーリーのあるものには向かなかいようだ。

あとがき

実は再登録したのは6月で、何となくずるずると続けている。

いつでも読めるとなるとなかなか読まなかったりするので、一ヶ月とか区切りを決めてまとめて読んでしまうのがいいかも。

少しづつ追加していこうと思う。 

 

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【2017年版】最近読んだ1巻完結の漫画をおすすめするよ

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毛糸玉と本

ここ最近で面白かった1巻で完結する漫画をいくつか紹介したい。

最近といっても今年に入って位のゆるい範囲ではあるが。

1巻もののよさは、読んだことのない作家でも気軽に試し読みできるところ。

表紙で一目惚れして買うもよし、SNSで流れてきたのをポチるのもよし。

今年は当たりが多い気はしている。

甘木唯子のツノと愛(久野遥子)

「楽園にいたユニコーンは、そのツノで仲間を刺し、ノアの方舟に乗れなかったんです」母親と離れて暮らす、ツノのある妹と、ツノのない兄。ふたりは秘密基地で、ある“特訓”を続けていた……。2010年に月刊コミックビームでデビュー後(久野酸素名義)、アニメーターとして活躍している久野遥子の、待望の初漫画作品集。その圧倒的才能に魅せられる、痛すぎるほど純粋な“少女”たちの物語。

(甘木唯子のツノと愛 | エンターブレインより)

「甘木唯子のツノと愛」(久野遥子)より、あたしを見て
(「甘木唯子のツノと愛」より)

作者はアニメーターとしても活動している久野遥子(くのようこ)。

本作が初の単行本である。

アニメ映画「花とアリス殺人事件」にも参加していた関係か、帯には岩井俊二監督がコメントを寄せている。

「透明人間」「IDOL」「へび苺」「甘木唯子のツノと愛」。

発表時期の異なる4つの短編をまとめたものだが、共通しているのは「あたしを見て」という切実な願い。

家族を置いて出ていった母親に、複雑な感情を抱く兄妹を描いた表題作。

妹の額には、二人にだけ見えるツノが表れた。

そのツノで母を刺すために特訓を重ねてきたのだが、夢を追って海外へ行っていたはずの母親と意外な形で再会を果たす。

行き場を失った思いはどこへ向かうのか。

 

”外面がどれだけ心を作ることが出来るか”という実験がとあるサーカスの一座で行われる「へび苺」も気になる終わり方だった。

大蛇の着ぐるみを着ることになった少年が気になる相手は、少女の着ぐるみを着た何か。

正体のわからないそれに惹かれていくのは着ぐるみのせいなのか、それとも本人の心なのか。

こうふく画報(長田佳奈)

特別ではない「いつものごはんやおやつ」とともに、市井の人々の何げない、でも幸せな日常と描いたノスタルジックコミック!

(こうふく画報 - 株式会社ぶんか社より)

大正時代のとある街を舞台に、そこで暮らす人々のささやかな日常を描いた連作短編集。

和菓子屋の栄泉堂は作中の登場人物たちもよく利用する店。

主の有平は、腕はいいが神経質な性格のため仕事の進みが遅いのが難点。

整然としていないものが気になって、菓子作りよりも優先してしまう。

商売には向かない男なのである。

「こうふく画報」(長田佳奈)より、有平とかの子
(「こうふく画報」より)

そんな彼のお守りをしつつ店を切り盛りする従業員のかの子は、しかし憎からず思っているようだ。

全くデレないし素振りも見せないのだが、そこがいい。

彼女が言葉を失うこの瞬間に想像できる未来を、もう少し見ていたかった。

映画大好きポンポさん(杉谷庄吾【人間プラモ】)

ニャリウッドにある映画会社でプロデューサーを務めるポンポさん。

彼女の手にかかれば、どんなくだらない内容のものでも面白い作品に仕上がってくる。

「映画大好きポンポさん」(杉谷庄吾【人間プラモ】より、ポンポさんはB級映画好き
(「映画大好きポンポさん」より)

若くして人脈も才能も実績も持ち合わせている彼女と、彼女に見出された新人監督ジーンや新人女優ナタリーの成長の物語である。

が、一番好きなシーンは常連のコルベット監督や人気女優ミスティアと次回作についての話で熱中している場面。

またくだらなくて面白い作品が生まれそうだ。

ミスティアの仕事の選ばなさもすごいし、何だかんだ楽しそう。

ポンポさんへの信頼があっての事だけど。

青春の光となんか(平尾アウリ)

平尾アウリが描く青春コメディ! 女子高生がモグラ取りのバイトに励んでいるとき、もちつき屋さんはさるかに合戦を繰り広げ、そして人類滅亡のカウントダウンが始まる…。 果たしてバンド結成なるか…!? 若者たちの苦悩を描いたショート・ショート30連発!

(青春の光となんか / まんがライフWINより)

これはもうツッコミどころが分からないというかツッコミどころしかないというか、作者の凝縮されたシュールな世界を味わえる。

他作品でもギャグ部分は濃いなと思っていたが、そこだけを抽出して煎じ詰めればこうなるのかという感じ。

ショート・ショートだが続きものもあるので最初は順番通りに読んだほうがいい。

モグラの飼い方のネタは「推しが武道館いってくれたら死ぬ」でも出てきた。

モグラってなんなんだ。

「青春の光となんか」(平尾アウリ)より、海パンから串
(「青春の光となんか」より)

ツインテールが似合う男の娘の鯵(そう)くんは、作者が人生で一番かわいく描こうとしたキャラらしい。

同時期に短編集「わびさび」も出たが、そちらは1話あたりのページ数が多めなので読みやすいかも。こちらは若干マニア向け。

イロドリミドリ(羽柴麻央)

中学2年の浅倉玉緒には、いつも放課後を過ごす図書館で気になる男の子がいた。

静かで穏やかな空気をまとった緑くんは、前年に亡くなった祖母との時間に似ていて、彼女には居心地がいいものだった。

やがて距離も縮まりつつあったある日、緑くんの様子がおかしいことに気付くのだが…

「イロドリミドリ」(羽柴麻央)より、緑の表情が気になる玉緒
(「イロドリミドリ」より) 

親の転勤で、きちんと伝えられないままになってしまった恋心。

二人の別れは予想外な方向へいくのだが、窓の外に降る雪と図書館の静けさで、時が止まったような印象的なシーンになっている。

ラストでの玉緒との対比もいい。

表題作の他、お互い好意を抱きながらもすれ違ってしまった二人を描く「糸と釦」、親の再婚でできた妹との関係に悩む「劇団中学生」など、一期一会をテーマにした短編集。 

スタンドバイミー・ラブレター(増田里穂)

憧れがないわけではなかったが、クラスの違う、名前も知らない男子の告白は、葉月にときめきよりも不安をもたらした。 接点のない相手にどう対応していいか分からず、こんなものかと思いつつ断ってしまうのだった。

「スタンドバイミー・ラブレター」(増田里穂)遅れてきた恋心を手紙がつなぐ - 午前3時の太陽

夏休みの前日、葉月はラブレターの相手に返事をすることにした。

しばらく顔を合わせなくて済むようにと考えての事だったが、むしろそれが裏目に出てしまう。

別れ際に見た彼の笑顔が気になって、会えない分ぐるぐると考えてしまうのだった。

帯の言葉は「断った瞬間、恋に落ちるなんて。」 

「スタンドバイミー・ラブレター」(増田里穂)より手紙を読み返す葉月
(「スタンドバイミー・ラブレター」より)

知らない相手なので断るのは当然なのだが、そのことをきっかけに葉月は泉のことが気になっていき、泉は逆に思いを忘れようとする。

時間差で両思いになるものの、すでに断ってしまっていることが二人の障害となる。

タイトルから想像がつくように、本作は手紙が重要な役割を果たすが、手書きならではの流れだ。

もどかしくも甘酸っぱい、ひと夏の出来事。

バス走る。(佐原ミズ)

もどかしくて、たどたどしくて、切なくて…でも、あたたかい。繰返す毎日の中をバスは走る。乗せたヒトの数だけ「想い」や「願い」を運び、始まりを届ける――…。

バスの停留所を舞台とする『バス走る。』5編と、思春期の心の揺れを描く『ナナイロセカイ』2編からなる短編集。

10年ほど前の作品で手に入りにくくなっていたが、今年電子書籍で復活した。

「さくら町停留所」と「めがね泥棒」がお気に入り。

佐原ミズ短編集「バス走る。」より、迎えに来るから嫁になって
(『さくら町停留所』より) 

高校の卒業式を翌日に控えた春の日、さえない生物教師に恋をした少女が告白する。

「大学を卒業したら迎えに来るから嫁になって。」

約束とも言えない約束を残して季節は巡る。

過去の思い出を回想する教師の午後。

あとがき

最初は1巻物のまとめにしようかと思ったが、長くなりそうなので今年読んだものに限定してみた。

現在積んでる「ウムヴェルト」や「崖際のワルツ」もよさそうだし、谷川史子の昔の作品も集めたいと思っている。

これもいいよ、というものがあれば教えてもらえるとうれしい。

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Amazonプライムの新サービス「Prime Reading」が始まった!

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Amazonプライムの新サービス、「Prime Reading」なるものが開始した。

 

総合オンラインストアAmazon.co.jp(以下、Amazon)は本日2017年10月5日(木)、Amazon プライム会員向けの新しいサービス、「Prime Reading」を日本で開始しました。豊富な品揃えを持つKindle電子書籍の中から厳選された数百冊の書籍やマンガ、雑誌を追加料金なしで、好きなだけ楽しむことができます。Prime Readingは、お急ぎ便等の配送特典、プライム・ビデオ、Prime Music、プライム・フォト、会員限定先行タイムセールなど、拡充を続けるAmazonプライムの特典に追加される最新のサービスです。

Amazon、プライム会員向けの新サービス「Prime Reading」を日本で開始|アマゾンジャパン合同会社のプレスリリースより)

 

先ほどTwitterを眺めていたら、気になる情報が流れてきた。 

 

初耳だったが、去年のKindle Unlimitedも突然の開始だった気がする。

要するに、Kindle Unlimitedの対象作品の一部をプライム会員向けに開放するよ、ということらしい。

prime Readingのページを見てみる 

 

独自の作品も提供するようではあるが、現状Kindle Unlimitedのマーク入りのがズラッと並んでいるので気づきにくいかな。

 

たとえば漫画作品のリストで出てくるのは190冊ほど。

全体では900冊くらい。

「厳選された数百冊の書籍」、物は言いようだね。

対象作品

主なものを挙げてみる。 

友達100人できるかな

友達100人できなかったら人類滅亡!? ある日地球侵略に来た宇宙人達が人類に出した課題とは『愛』を証明すること。地球人代表のサンプルとして選ばれた柏直行は1980年代に飛ばされそこで愛を証明する試験に挑む! ノスタルジックスコシフシギストーリー。

アリスと蔵六

「研究所」から脱走して、初めて「外の世界」を知った少女・紗名。彼女は「想像したことをすべて具現化できる」という途轍もない超能力の持ち主。しかしまだ幼くて未熟な彼女は、能力を巧みに使いこなすことができない。途方にくれていた紗名が出会ったのは、由緒正しい日本の頑固爺・蔵六。超能力も何も関係なく「悪いことは悪い」と真正面から説教してくる蔵六との出会いが、紗名の運命を大きく変えていくことになる――。

ベルサイユのばら

類を見ない大ブームを巻き起こし今なお世界中の人々を魅了してやまない不朽の名作!フランス宮廷-そこは世界一華やかで贅沢さを競い合うセレブたちの憩いの場。時は18世紀、若き皇太子妃として、オーストリア・ハプスブルグ家よりマリー・アントワネットが嫁いでくる。皇太子夫妻を護衛するのは、男装の麗人・オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェで…。

春の呪い

妹が死んだ。名前は春。まだ19才だった。 妹が己のすべてだった夏美は、春の死後、家の都合で彼女の婚約者であった柊冬吾と付き合うことになり―・・・。 妹の心を奪った男との季節が巡り始める。

つぐもも

人が長く使い続けた物には想いが宿り、それを「付喪神」という…。母の形見の帯を大事にし、常に持ち歩いていた一也は、ある日、不可思議な物体に襲われてしまう。その時に助けてくれたのは、帯の付喪神・桐葉だった!! 実力派の人気絵師が描く、アクションありラブコメありちょっぴりエッチありの学園もののけファンタジー、待望のコミックス化!!

ヤンかの!

不良生徒だらけのヤンキー校とは知らず転入してしまった少年、高坂真人。 廊下を歩けば喧嘩に巻き込まれ転校初日からボロボロに…。 はたして真人は無事に学園生活を送ることはできるのだろうか…。

賢者の弟子を名乗る賢者

とあるオンラインゲームで、九賢者の一人という 渋い召喚士ダンブルフとしてロールプレイしていた咲森鑑は、 プレイ中の寝落ちを境にゲームが現実となった世界へと飛ばされてしまう。 しかも、老練な渋い賢者の姿ではなく可憐な少女の姿となって……。 このままでは築き上げてきた賢者の威厳が失墜してしまう! そう考えた咲森鑑ことダンブルフは、賢者の弟子「ミラ」と名乗るのだったが――。

アニウッド大通り

宮崎駿、富野由悠季ら、そうそうたる綺羅星が活躍した80年代のアニメ業界。 新進気鋭のアニメ監督であるお父ちゃんに影響を受けながら、成長していく子供たち「オタク版 三丁目の夕日」開幕です。

ひめゴト

こわい人たちに追い詰められ、貞操の危機に陥った有川ひめを救ってくれたのは、同じ学校の生徒会に所属するお姉さまたち。生徒会が借金を肩代わりしてくれるかわりにつきつけられた条件は、『生徒会の犬となり、高校生活を女装して過ごす』というもので……!女装少年ゆるふわ4コマ登場です!

配達あかずきん

しっかり者の杏子と、勘の鋭いアルバイト・多絵が働くのは、駅ビルの六階にあるごくごく普通の書店・成風堂。近所に住む老人から渡された「いいよさんわん」という謎の探求書リストや、コミック『あさきゆめみし』を購入後失踪した母を捜しに来た女性に、配達したばかりの雑誌に挟まれていた盗撮写真……。杏子と多絵のコンビが、成風堂を舞台にさまざまな謎に取り組んでいく。元書店員ならではの鋭くもあたたかい目線で描かれた、初の本格書店ミステリ。シリーズ第1弾。

ちいさな王子

砂漠に不時着した飛行士「ぼく」の前に突然現れた不思議な少年は、ちいさな星からやってきた王子だった。わかりあい、やがてかけがえのない友人になったとき、王子は自分の星に帰ることを告げる……。王子の言葉は、ずっと忘れていた、たくさんのことを思い出させてくれた。「目ではなにも見えないんだ。心でさがさなくちゃ」。飛行士としての経験豊富なサン=テグジュペリにこそ紡ぐことのできた色褪せることのないファンタジー。

山と溪谷

地図読み技術は、道迷い遭難を防ぐためだけでなく、登山をもっと楽しくなる技術です。 地図を確認しながら登山計画を立てれば、登山道の傾斜緩急や植生などから、どんなところを歩くのかイメージが膨らみます。今回の特集では、地図読みを「計画編」「現場編」に分け、『山と高原地図』などの登山地図や国土地理院の地形図を どのように活用し、登山に生かすかを地図読みのエキスパートたちが詳しく解説します。

RiCE(ライス)

こんなとこかな。

さらに読みたかったらKindle Unlimitedに登録してねみたいな感じだろうか。

読み放題サービスの体験版くらいの印象だけど、プライム会員からすれば何もしなくても読めるものが増えるので不満とかは何もないよね。

対象作品は定期的に更新されるらしいので、とりあえず様子を見たい。

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「さよなら私のクラマー」17話(新川直司)私達は強くなる

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「さよなら私のクラマー」(新川直司)17話より、浦和に勧誘される恩田たち

「さよなら私のクラマー」は新川直司による漫画作品。

17話は、決勝トーナメントでの浦和邦成戦を終え、久々に練習のない休日となる。はずだった。

前回はこちら。 

私達には約束がある

今回は久乃木戦を終えた6話を思い出させる展開で始まる。

1年には、藤一出身の山田鉄二(テツ)や竹井薫(タケ)もいる。 そしてナメックも。 冒頭でタケが通行中の女の子にちょっかいをかけている場面があったが、あの子は2番の子だろうか。

「さよなら私のクラマー」6話(新川直司)新たな決意とユニフォーム - 午前3時の太陽

7話で名前が公開されたが、ワラビーズの2番は宮坂真琴である。

タケがちょっかいかけていたのは別の女の子で、どうやらテツに気がありそうな雰囲気だ。

前日は男子サッカー部も試合があったらしく、彼らの活躍で勝利したらしい。 

ナメック(谷安昭)がレギュラーになったのに加え、タケが途中出場でデビュー。

テツもそう遠くないところだろう。

期待の1年生たちの男女合同練習も近いだろうか。

みんなレギュラーになっちゃうと厳しいのかもしれないが。

 

チカ先輩こと桐島千花には万年リーグ戦の弱小チームに入ったことを惜しまれた。

彼女は自分たちに女子サッカーの未来がかかっているのを自覚している。

才能があるからこそ、多くの人の目に触れられる、盛り上げることのできる環境を選ぶ必要があると考えているようだ。 

「さよなら私のクラマー」(新川直司)17話より、あんた達の覇権はうちがもらう
(「さよなら私のクラマー」17話より) 

それももっともな話であるし、以前には田勢キャプテンの例を出して学校選びを慎重に行うように忠告してくれたこともあった。(1話参照) 

恩田の場合、この高校を選んだのは家から近いからだろうしね。

曽志崎にしても予定外の入学であったはず。

 

それでも結果的には面白いチームに育ってきている。

「さよなら私のクラマー」(新川直司)17話より、強いチームは複数個あった方がいい
(「さよなら私のクラマー」17話より) 

浦和邦成の一強であるよりも、強いチーム同士で切磋琢磨できた方が県内では盛り上がるだろう。

それには選手層が厚い必要はあるのだが。

自分にしかなれないフットボーラーに

その点、深津監督は裾野を広げることが重要だと考えている。

競技人口を増やすことが日本のサッカーを強くする最短ルートであると。

今回の監督はちゃんと先生らしかった。

「さよなら私のクラマー」(新川直司)17話より、憧れられる選手になれるのか
(「さよなら私のクラマー」17話より) 

そのプレーをみて自分も選手になりたいと思ってもらえるかどうか。

恩田はそんな人いないと言うが、そんなことはない。

弟の順平や幼なじみのナメックは彼女を見て育ってきた選手だし、これまで対戦相手をも魅了してきたのだ。

そして三人目も踏み出させることになる。

10年越しの思い。

「さよなら私のクラマー」(新川直司)17話より、フットボーラーになりたい
(「さよなら私のクラマー」17話より) 

ついに越前が選手としてピッチに立つ。

今だから言えるけど、いつかこんな日が来ると思ってました。

見た目に反してロックな子なので面白い選手になるんじゃないだろうか。

女子の場合は高校からでも遅すぎるということはないようだし。

「さよなら私のクラマー」(新川直司)17話より、見てろよイタリア野郎
(「さよなら私のクラマー」17話より) 

そしてその頃、能見コーチも静かに闘志を燃やしていた。

パスタ色…

あとがき

天馬にはずいぶんと気に入られたみたいだね。

 

今月は17日に第4巻が発売される。

表紙はおそらく浦和の2年生チームだと思う。

7月号で登場したイラストかな。 

 

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本日創刊!月刊コミックビームのデジタル増刊「コミックビーム100」を読んでみた。気軽に読める100円漫画雑誌。

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デジタル漫画雑誌「コミックビーム100 2017 Oct. Vol.1」創刊号 [雑誌] (ビームコミックス)

本日10月6日、漫画雑誌月刊コミックビームの増刊号として「コミックビーム100」が創刊された。

電子書籍限定で、100ページ・100円を売りにした気軽に読める漫画雑誌である。

数々の名作を担当した、一人のベテラン編集者による漫画誌

出版社に所属せず、『海街diary』(吉田秋生、月刊flowers/小学館)、『鉄のラインバレル』(清水栄一・下口智裕、月刊チャンピオンRED/秋田書店)ほか、数々の名作を担当したキャリア30年のベテラン漫画編集者・本気鈴プレゼンツ! 作家性にこだわってきたビームが、今度は編集者の個性にこだわった1冊をお届けします。

(デジタル増刊「コミックビーム100」10月6日(金)、新創刊!より)

月刊コミックビームといえば、最新号が「青高チア部はかわいくない!」のかわいい表紙なので手にとってみるのもいいと思う。

「月刊コミックビーム」2017年10月号

第一弾の掲載作品は7作品。

  • 『反逆のオーバーズ』(山城良文)
  • 『ワシとゆきさん』(青色イリコ)
  • 『ピカリちゃんはなかなかしなないっ!』(三部べべ)
  • 『ちんちんケモケモ』(藤咲ユウ)
  • 『ソレまだとっとくの?』(ねむようこ)
  • 『快傑蒸気探偵団 ANOTHER STORY 少年怪盗ル・ブレッド』(麻宮騎亜、金村連)
  • 『読もう!コミックビーム』(桜玉吉)

ちなみに桜玉吉の4コマ漫画は目次には掲載されていない。 

作品ごとにページ数はかなり差があり、2ページのものから50ページ弱のものまで様々だ。

これも毎回変動があるのか。

知名度的にはトリである「快傑蒸気探偵団」のスピンオフ作品に力を入れているのかと思ったが、今回は予告編のみ。

新人作家の『反逆のオーバーズ』が半分を埋める形になっている。

この辺は大人の事情なのかな。

100ページ縛りが足枷になっている気がしなくもない。

いくつか紹介する。

ワシとゆきさん(青色イリコ)

『ワシとゆきさん』(青色イリコ)より、犬に転生してしまった
(「ワシとゆきさん」1話より) 

全国の極道にその名を知られた武闘派組長が可愛い柴犬に転生しちゃった!? 新しい(犬)生を始めた彼の前に現れたのは――!? 動物と赤ちゃんの癒されコメディー開幕!!

全国規模のやくざの組長として恐れられた糸川金蔵が転生したのは、柴犬だった。

名前はキンさん。

SNSでも人気の、愛されキャラである。 

前世との違いに戸惑いつつも、新しい業界でトップに上り詰めたキンさんの前に、運命の出会いが待ち受けていた。

紹介文からするとバディものなのかなと思っているが、第1話はキンさんの前世での受難と犬としての日々がうかがえる所で終わっている。

次回で登場するのが「赤ちゃん」なのか? 

ピカリちゃんはなかなかしなないっ!(三部べべ)

『ピカリちゃんはなかなかしなないっ!』(三部べべ)1話より、ピカリちゃんはG
(「ピカリちゃんはなかなかしなないっ!」1話より) 

飲食店には絶対に出て欲しくない蟲の少女になんだか気に入られちゃった店主ですが――!? 黒光りする外注ほのぼの4コマギャグ!! 

客の少ないラーメン屋に現れた謎の少女。

彼女はG。

いつも店から追い出されてしまうため、3億年ぶりにイメチェンしてみたという。

留守にしがちな店主に代わって店を見ている息子は、それでも彼女を追い返そうとするが、この店はラーメンはマズイがチャーシューは☆5だとの評価に満更でもない。

でもそこはG。

簡単に店内に入れるわけにはいかないのだ。

かくして二人の攻防が幕を開けるというところか?

姿は人間のようだが、動きや特性はGを受け継いでいるという厄介な存在である。

見た目がかわいければ余計にね。

ちんちんケモケモ(藤咲ユウ)

『ちんちんケモケモ』(藤咲ユウ)1話より、譲葉の舞
(「ちんちんケモケモ」1話より) 

幼なじみの巫女さんの様子がなんだか変!? 煩悩と本能、理性と野生が交錯する可愛い(ケ)ものがいっぱいのナチュラルとり憑きラブコメディー!! 

古くから続く神社の娘である譲葉と、近所のお寺の息子むいは幼なじみ。

三ヶ月に一度の季節の節目に行う儀式・「凪送り」で巫女を務める彼女の付き添いをするのが習慣となっている。

儀式自体は単純なもので、その日も舞を納めて終わりになるはずだったのだが、何やら彼女の様子がおかしいことに気付く。

扉絵のキャッチコピーでは「セクシー・ラブコメディー」の言葉があるので、ちょいエロな枠の作品かと思われる。

むいが山の動物にやたら懐かれるタイプなので、彼らに憑かれた譲葉も? という感じかな。

いいとこで次回へ続くのが気になるならVol. 2を待つべし。

反逆のオーバーズ(山城良文)

『反逆のオーバーズ』(山城良文)1話より、ヒーローに憧れる少年
(「反逆のオーバーズ」1話より) 

特殊能力者同士の闘いにより崩壊した世界。そこでは統治局によるヒーロー狩りが行われていた!! 今、英雄に憧れる少年の果てしなき冒険が始まる――!! 実力派ルーキーによる脅威の初連載作!! 

オーバーズと呼ばれる能力者たちによって世界の半分が破壊された時代。

かつてはヒーローであり、またはヴィランであった彼らも、その大きすぎる力が人々に脅威をもたらしてしまう。

今では世界の平和は統治局に管理され、能力者は必要とされなくなったが、それでもヒーローに憧れる少年がいた。

そんな彼が能力に目覚め、人々を救うヒーローを目指す冒険譚。

能力者は危険であり、むしろ世界平和のためには邪魔とされる世界であえて能力者としての資質を問われる道を選ぶ意味と何か。

1話はきれいに終わったので今後どう展開するのかが注目。

あとがき

配信は毎月第一金曜日になる予定とのこと。

しばらく様子を見てみようかと思っている。

100円は税別なのでそこだけ注意。

 

青高チア部もよろしく。

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「RWBY(ルビー)Volume 5」の予告動画が公開!Character Shortとは別に本編をうかがわせる内容。

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RWBY(ルビー)Volume 5予告編サムネイル

RWBY(ルビー)はモンティ・オウム氏とROOSTER TEETHによるアニメシリーズ。

2017年10月14日(日本時間15日予定)に第5シーズンが開始される。

これまで、主要メンバーであるチームRWBY(ルビー)のそれぞれの短編動画(Character Short)が順に公開されていたが、今回は本予告という位置づけのようだ。

予告編とキャラ別動画

ルビー・ローズ、ワイス・シュニー、ブレイク・ベラドンナと来て、次はヤン・シャオロンの動画かと思っていたのだが、予想が外れた形だ。

昨シーズンの時はルビーのショートのみで、今回の本予告のようなものは無かったのだが、増える分にはうれしいことである。

ヤンのショートは直前での公開か来シーズンなのかどうかが気になるね。

関係者はどちらもTrailerと呼んでいるのでこの辺がまぎらわしい。

ちなみに、昨シーズンはレムナントの世界を解説する動画がいくつか公開されている。

本編予告

RWBY: Volume 5 Trailer - Premieres October 14 - YouTube

Character Shortで見覚えのある個所もあるが、本編の内容であろうと思われる部分がいくつかある。

ミストラルのアジアっぽい雑多な町並みが近くで見られること、ヘイヴン・アカデミーの学長ライオンハートと思われる人物が登場すること、チームRNJR(レンジャー)とオスカーが対面する所など。

重要なのは、シエナ・カーンと思われる人物が一瞬映る場面。

またクロウのセリフにある「My sister has the Spring Maiden, and I know where she is.」の部分。

Volume 5まであと少し

Twitterの公式アカウントで発表されたポスターである。

気になるのは、レイヴンはやはりその位置なのかというところ。

ホワイトファング関係者なんじゃないかと個人的には思っていたが、はたして。 

Twitch.tvというゲーム実況に特化した動画配信サイトで、過去のシーズンの振り返り配信が行われた。

その予告動画がかっこよかったので紹介しておく。

Volume 1の内容だね。懐かしい。

 

新シーズン開始まであと数日。

復習しながら続報を楽しみに待ちたい。 

 

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