「人形の国」は弐瓶勉(にへい つとむ)による漫画作品。
2017年2月より月刊少年シリウスで連載を開始した。
ケーシャたちが地下に潜伏している間に、帝国を狙う新たな組織が動き出していた。
表紙はカジワンの兜無しバージョンと新しく生まれた自動機械。
天候調整装置・ウメが落下したことにより、北合成スラブ地方は更に寒さを増した。ケーシャとタイターニアは帝国の捜索から身を隠しつつ、瀕死の重傷を負ったエスローの回復を待つ。一方カジワンは、「真地底教会」という組織を立ち上げるが、その構成員は意外なところから集められていた・・・・・・。無機質で過酷な異世界での戦いは、新勢力の登場で新たな局面へ――!
(「人形の国(5) (シリウスコミックス)」より)
前回はこちら。
潜伏中のタイターニアたち
ウメ落下の衝撃からAMBを守ったエスローは、その代償として長い眠りにつくことになった。
かろうじて脳へのダメージは避けられたものの、頭部以外を失い完全回復の目処は立たない。
当分は彼を守りつつ潜伏の時期を過ごすことになるだろう。

意識がないため栄養補給はタイターニアに頼っているが、気長に続けていけば身体の再生はできるかもしれない。
ただやはりエナをほとんど失ったのは大きい。
帝国と戦う力を得るために敵の転生者を倒して回収する計画も、振り出しに戻ったと言えばまだ聞こえはいい方か。
帝国軍の捜索隊や兵力も増強されているはずで、厳しい状況である。

タイターニアの探査能力を生かして各個撃破しながら長い目で慎重に進めていきたいところだが、エスローの回復を待ちわびるあまりにエナ回収を焦るケーシャの様子が心配になってくる。
これが裏目に出ないといいのだけれど。
新勢力の誕生
一方、ウメ落下の原因を作ったカジワンは、タイターニアの腕を元に新しく生まれた自動機械によって、正規人形への転換を成功させていた。
おそらくはタイターニアもその力を隠している、自我をなくした人形病患者を再生させる力を利用して一大勢力を築きつつある。
イルフ・ニク王国に伝わる地底信仰を過激化させた真地底教会を名乗り信者を増やしているところだ。

帝国を敵として戦ってくれるところはいいのだが、魂の解放と称して人類も滅ぼそうとしているのではないかと思われる。
タイターニアが懸念していたことが最悪の形で実現してしまったようだ。
人形病患者から生まれた再生者は、鎧化こそしないもののエナで強化して戦うことができるらしい。
三体一組で行動することで帝国の転生者をも倒しているところを見ると、今後の脅威となる存在と言えるだろう。
コードのような特殊アイテムを必要としない兵士を量産できれば、帝国に対抗できる戦力を持つ組織として成長する可能性がある。

再生者のリーダー格ジナタのセリフに「ここは人形の国」という言葉が登場した。
本編でこのワードが出てくるのは初めてのこと。
カジワンの思想を反映してのものだろうが、人類は排除して人形による世界を作ろうとしているのではと思われる。
最終目的地として地底を定めており、この点は帝国と同じ。
エナ回収においてはケーシャたちと競合することになりそうだ。
帝国と教会でうまいこと潰し合ってくれると助かるがそうもいかないだろう。

帝国が他より抜きん出ている点として、科学者の存在がある。
クローン技術と人工コードの開発で地上の覇権を手にするのか。
同時にフルカラー版の1巻も配信を開始した。