「MAO」は高橋留美子による漫画作品。
週刊少年サンデーで2019年5月より連載を開始した。
24話は、噂の火の首の正体を確かめに帝都を訪れる摩緒たち。
前回はこちら。
これは、同じ「呪い」を背負う摩緒と菜花の “全てを終わらせる” 物語――
中学三年の黄葉菜花(きば なのか)はかつて事故に遭った地を通り大正時代へ。そこで出会った陰陽師・摩緒(まお)と同じ蠱毒・猫鬼に自分は呪われている事が発覚。さらに謎だった家政婦の正体や危篤の祖父が生きている理由が分かり菜花は一安心する。一方、摩緒はかつての「陰陽師の兄弟子」を想起させる妙な噂を知り…
(前回までのあらすじ:「「MAO」(高橋留美子)24話 ―凌雲閣―」より)
浅草十二階に潜むもの
再び大正時代に戻った菜花は、摩緒たちと帝都へとやって来た。
貂子(てんこ)から聞いた火の首の噂に、どうやら心当たりがあるようだ。

目的地は浅草の凌雲閣。
当時の日本で最も高い建物とされ、初の電動エレベーターを備えた展望塔として知られていた。
もっとも経営的には芳しくなかったらしく、外から眺められる方が多かったかも知れない。
先日の震災で見る影もなく廃墟となっているこのあたりで、夜になると空を飛ぶ炎に包まれた首が現れるのだという。
かつての兄弟子に似たような術を使う者がいたのだが、あれから900年、普通に考えると生きているはずはない。
猫鬼が持っている人の寿命を操る力にしても、本来生きられる年数の範囲内でのことだと考えていいだろう。
摩緒のように妖の力を得ているものは別として。

火の首を使役していたのは片目の少年の姿をしていた。
髪の色が摩緒に近いものを感じさせるが、猫鬼の復活に気付いているところを見ると以前に関わった事があるのかも知れない。
妖の力を得た後に変色したものだろうが、範囲と力の影響の強さに関連があるのかどうか。
菜花の髪が黒いままなのは、まだ完全に覚醒した事がないからか魚住さんのスムージーで抑えられているかなのだろう。
この百火(ひゃっか)と名乗る少年は、摩緒の予想通り彼の兄弟子の一人だった。
摩緒のことを裏切り者と呼び、900年前の妖退治にも参加していたと思われる。
師匠を殺害し、宝物殿に火を付け、摩緒を背後から射た者がいる当時の事件の謎を探る手掛かりになるはずだ。

摩緒の回想の中で、素顔の紗那が登場した。
彼女はおそらく師匠の娘あたりで、後継者である摩緒と夫婦になることになっていたのではないかと思われるが、気になるのはその手に抱えている猫。
見た目が猫鬼そのものである。
この時はまだ長く生きた猫くらいの存在だったのかも知れない。
実行犯が内部の者である可能性が高くなってきた。