
2019年8月に読んだ中で、おすすめの漫画をいくつか紹介する。
注目は直木賞受賞作で秋には映画も公開される「蜜蜂と遠雷」のコミカライズ。
作者は中国の歴史物で定評があるが、久々の現代劇でも美麗な絵は健在だった。
前回はこちら。
「君は春に目を醒ます」4巻(縞あさと)
難病で7年ぶりに目覚めた年上の幼馴染みと同級生になるラブコメディ。
4巻は、千遥が兄としての立場にこだわる理由や絃と弥太郎の昔のエピソードなど。
三人の関係にも進展があって、それぞれの気持ちに気付きつつある。
そんな中、杏に協力する形でダブルデートが実現して…

こっちはこっちで明らかに両想いなのにもどかしい。
杏のポジティブさは素晴らしいが現在着拒されているとかいないとか。
本当に大丈夫か?
「僕の心のヤバイやつ」2巻(桜井のりお)
中二病をこじらせた陰キャ少年・市川京太郎と学校の人気者・山田杏奈によるラブコメディ。
図書室での交流から少しずつ近づいていた二人だが、2巻ではその関係がさらに進み破壊力が増している。
京太郎のお姉ちゃんが登場するあたりが境目かな。

ファーストフード店で偶然隣の席になった山田が二人の関係を気にしているのがかわいい。
このへんから彼女は京太郎のことを異性として意識しているのだけど、当の本人は自分が好意を持たれるなどとは思いもしないのである。
それでも確実に恋心は育っていって…
「ソウナンですか?」5巻(岡本健太郎、さがら梨々)
修学旅行中の事故で遭難した少女たちの無人島サバイバル生活。
島に漂着しておよそ1ヶ月、少しずつ快適な環境を作り上げていた四人に大きな試練がやってくる。
近づく大型の台風に備え、森の中に避難シェルターを用意するのだが…

入れ違いでキャンプ地の食料や資材はほぼ全滅という事態に。
それでも行動開始が遅ければ自分たちが危険に晒されたかも知れない。
物はなくなっても、これまでに得た知識と経験で再建していく姿がたくましい。
「うちの師匠はしっぽがない」1巻(TNSK)
人を化かしてみたい狸が師匠に選んだのは、上方で人気の落語家だった。
#うちの師匠はしっぽがない#しっぽな
— ともた (@tomta13) September 10, 2019
単行本化で楽しみにしていたのはこの子の登場。言葉のリズムを学ぶためのざこば通いで仲良くなるが、まめだの素直さの前にデレるのも早かった。いいライバルになっていくんだろうね。 / 「うちの師匠はしっぽがない」(TNSK)1巻より https://t.co/mNuBxEaBWGpic.twitter.com/faClMB1WO6
「春夏冬さんに呪われるっ!?」2巻(三ノ咲コノリ)
オカルト好きをこじらせた残念女子の萩好環(はぎよし たまき)と、口下手な転校生の春夏冬(あきなし)さんとのすれ違いコメディ。
#春夏冬さんに呪われるっ#春夏冬さん第2巻発売
— ともた (@tomta13) September 9, 2019
完結の2巻。漆黒の魔女(春夏冬さん)との対決に向かう環のモノローグがよかった。幕間のエピソードが収録されないのはもったいないな。 / 「春夏冬さんに呪われるっ!?」(三ノ咲コノリ)2巻より https://t.co/2QZXUDPAzOpic.twitter.com/QE9t3qBzyY
「君は放課後インソムニア」1巻(オジロマコト)
今は使われていないはずの、高校の天文台で鉢合わせたガンタとイサキ。
彼らは、共に不眠症という悩みを持っていた。
つらくなったときの避難所として、秘密基地代わりにこの場所はちょうどいい。

どうせ眠れないのなら、その夜の時間を楽しく過ごせるようにしてみようと「夜のお楽しみ会」を発足させ一緒に活動を始めていくのである。
今後も合理的に利用するのであれば天文部を復活させるという手段があるが、メンバーが増えて発展していくのか、少人数で秘密基地感を大事にしていくのかどうか。
心臓の音の心地よさに気付いた伊咲にラブコメの予感も。
「お嬢と番犬くん」2巻(はつはる)
実家がヤクザなことがコンプレックスの女の子・瀬名垣一咲(せながき いさく)。
高校からは遠くの学校で青春を謳歌しようとするも、若頭(26)が一緒に入学してきて同級生に。
2巻は、啓弥の成績が絶望的なことが判明。
裏口なので進級は問題ないのだが、けじめをつけさせようとする一咲は追試に向け勉強を教えることになった。

ごほうびの要求に軽く返事をするのだが…
いやいや、これは頑張っちゃうでしょ。
保護者の域はまだ出ていないけれど、少しずつ違って見え始めてもいるようで、それに気付いた方がいいのか悪いのか。
「ヒロインはじめました。」2巻(天倉ふゆ)
女の子でよかったと思える高校生活を送りたいと願う格闘系女子がなぜかイケメン男子のボディガードを務めることになるラブコメディ。
2巻では誕生日当日でもある七夕の日のお祭りに、芹沢君と一緒に出かけることに。

それを知った時のお母さんの反応が好き。
娘の一大事に他の部屋のお兄ちゃんまで呼んじゃう。
母としてはこんな日を待っていたのかな。
「夜明け前に死ぬ」1巻(大北真潤)
インフラが崩壊した世界で、貴重な電力源を運ぶ専門職『
それは補給の方法に理由があるのだが…

要するに疑似BL及び百合的状況に置かれるということなのである。
卒業検定で目的地へ向かう二組の訓練生が暴走した荷電者に襲撃された。
その特異体質と荷物の価値が原因で、体内の蓄電システムそのものを奪う凶悪な事例も報告されているという。
果たして彼らは荷物を守りきり無事に合格することができるのか。
試験とは言っても、一級市民になれるか一生雑役かの分かれ目であり、パートナーを失うことにもつながる負けられない戦いである。
「MAO」1巻(高橋留美子)
幼い頃に事故で両親を亡くした黄葉菜花(きば なのか)は中学3年生の女の子。
お手伝いの魚住さんが毎朝作ってくれる地獄の泥沼みたいな味のスムージーのおかげか、人より運動が苦手なくらいで何事もなく暮していた。
今では近道として利用している事故現場の商店街で、他の人には聞こえない音を聞いてしまった日から、彼女の身に不思議なことが起こり始め…

高橋留美子の最新作は、陰陽師の少年と妖の力を宿した少女の怪奇物語。
およそ100年ほど前の時代にタイムスリップした菜花が、同じ妖に因縁を持つ陰陽師の摩緒とともに戦いを挑んでいく。
その妖と事故との関係は、そして彼女の力の正体は何なのか、毎週目が離せない。
「BADON」1巻(オノ・ナツメ)
刑務所で出会った男たちが、ドーワー王国の首都バードンで第2の人生を開始。
「ACCA13区監察課」にも名前が登場する人気店の上に店を構えた彼らは、過去のしがらみに向き合いながらも乗り切っていく。

前作と同じ舞台で、重要アイテムだった煙草を扱うとくれば、やはり見知った顔の登場も期待してしまうのだけどどうなるか。
国王の代替わり後なので少し未来にあたる。
「蜜蜂と遠雷」1巻(恩田陸、皇なつき)
日本で行われる芳ヶ江国際ピアノコンクールに参加するコンテスタントたちの戦いを描く群像劇。
中でもダークホースになるだろう亡き巨匠の秘蔵っ子カザマ・ジンに対する評価の行方や運命の再会を果たす幼馴染みのシーンが楽しみである。

亜夜の大学に現れた謎の侵入者とは何者か?
「ずいずいずっころばし」をルンバのリズムでというとちょっと想像しにくいけれど、矢野顕子あたりがかっこよく弾きこなしそうな気もする。
今春、あすかコミックスDXから過去作が相次いで復刊されているが、そちらの電子書籍版も出してほしい。
「海色マーチ」1巻(ミナミト)
埼玉から沖縄へ引っ越してきた小波周(さざなみ あまね)が初めての海で出会ったのは、地元の中学生・比屋定珊瑚(ひやじょう さんご)。

初日から打ち解けた二人は、同じ学校の同級生・仲村渠姫(なかんだかり ひめ)も誘ってシュノーケリング部を発足させることになる。
もともと予定はなかったが、表紙に惹かれて購入してみた。
この二人の掛け合いを中心とした日常もので、地元の人々の海との関わり方が垣間見えるのがいい。
「メジロバナの咲く」1巻(中村明日美子)
海外の寄宿舎を舞台に少女たちの邂逅と交流を描くガールズラブ長編。
クリスマス休暇の居残り組として二人の時間を過ごしたルビーとステフは、生徒たちの注目を集めることになり…

百合で長編を描くのは初だというのは意外なところ。
掲載誌の関係で刊行ペースはゆっくりになるが、毎号連載に移行したことで2年に1冊くらいで読めるかな。