「MAO」は高橋留美子による漫画作品。
週刊少年サンデーで2019年5月より連載を開始した。
17話は、菜花の思い出せない記憶には秘密があって…
中学三年の黄葉菜花(きば なのか)はかつて事故に遭った地を通ると大正時代へ。そこで出会った陰陽師・摩緒(まお)による菜花=「妖」説の謎を解くため彼と行動する事に。摩緒の呪いの元凶・猫鬼(びょうき)の居場所を発見するも、出会えなかった一行。しかし、周辺の五行の地は元の様子を取り戻し――
(前回までのあらすじ:「「MAO」(高橋留美子)17話 ―あの日の記憶―」より)
前回はこちら。
菜花に記憶が戻る?
要石を守っていた妖たちとの戦いで霊獣・玄武を召喚した摩緒。
そのまま要石ごと破壊しようと狙うも、その力は届かなかった。

地下に眠るものを覚醒させるには至らなかったが、結果として街の様子に変化が起きている。
結界が破れたことにより、透けていた住人たちが元に戻っていたのである。
これを摩緒は猫鬼の仕業と考えているらしいが、もしそうならば完全に封じられていたわけでもなさそうだ。
商店街の状況は石の存在を隠すためのものだったと考えるのが自然だけれど、その辺はどうなのか。
菜花の時代の歴史では間もなく起こる震災で要石は消失する。
そのことを伝えた彼女への摩緒たちの反応が面白い。
彼らにとっても、異なる時代を行き来するのは非常識なのだね。

現代に戻ると、一ヶ月の月日が経っていた。
家の中は真っ暗で、迎えに出たのは魚住さん。
夜で寝ていたからというよりは、実は明かりが必要ないのではと思われるような登場の仕方。
これまでで最長の留守となった菜花だが、またしても入院扱いで捜索願いも出ていない。
さすがに彼女もおかしいことに気付き始めるのである。
むしろ留守の時間が増えたからこそ表面化してきた問題かも知れない。
祖父も魚住さんも菜花にとっては優しい家族であるし、彼女を心配する姿に嘘はなさそうだ。
これまでは怪しい点といえばスムージーくらいのものであった。

そして彼女の記憶が心もとないことも原因となっている。
実際のところ、どこまで遡れるのだろうか。
スムージーを飲んだ後に気分が悪くなるのも、摩緒に治療のため解毒されたことがきっかけの可能性もある。
当時の記憶が蘇った時、今までと同じように暮らしていけるだろうか。
摩緒がすでに居なくなっているかも知れないこの時代に、菜花が妖に襲われたのも偶然ではないとしたら?
猫鬼ではないかと疑われているその妖が人型である点も気になるところ。
次に商店街のゲートを潜ったとき、向こうは震災が起きた後かもしれない。
改めて摩緒探しから始まったりして。
9月18日、単行本1巻が発売された。