
2019年5月に読んだ中で、おすすめの漫画をいくつか紹介する。
今月は新刊も豊作だが、気になる新連載も多かった。
前回はこちら。
「サマータイムレンダ」6巻(田中靖規)
人口数百人の島で起こる怪現象「影の病」。
姿と記憶をコピーした何者かが住人と入れ替わっていくSFサスペンス。
菱形医院の旧病棟から島の地下洞窟に入り込んだ慎平たちは、そこで影たちの母と呼ばれるハイネと対面する。
その正体は、この島で神として祀られているヒルコであった。

菱形家とハイネの関係や、慎平の力の秘密など新な事実も判明するが、絶望感もいまだ大きい。
潮のポテンシャルが鍵となるか。
「夏目友人帳」24巻(緑川ゆき)
小さな頃から人ではないものを見ることができる少年・夏目貴志と彼を取り巻く妖たちの日々。
24巻は、多軌に恋人の噂が浮上する。
主要キャラの恋愛ごとは不自然なほど描かれない本作においては気になるワード。
それでいて多軌の相手は夏目じゃないと納得しないぞという気持ちも持っている。
美形キャラとしてまず浮かぶのは名取だが、そもそもこの二人は会ったことなさそうだ。

ここにきて新キャラを出してきた。
夏休みにしばらく滞在することになった兄の勇だったが、その行動に不審な点が見られ…
多軌の生まれる前のエピソードが知れたのはよかったね。
「チェンソーマン」2巻(藤本タツキ)
公安のデビルハンターとなったデンジのバディは、血の魔神・パワー。
最初の任務後、彼女の猫をさらったというコウモリの悪魔退治に協力することに。
報酬は胸を揉ませてもらうこと。
それは今の彼には限りないモチベーションの源となる。

意外といいコンビになりそうだが、同時に早川家の居候にも決まった。
公私共に教育係をやらされる先輩は大変だな。
「空挺ドラゴンズ」6巻(桑原太矩)
空を泳ぐ巨大生物・龍を追い、航行を続ける補龍船クィン・ザザ号の乗組員たちの物語。
6巻はクジョー編後半。
ミカに「捕って解体して食う、それが龍捕りだ」の言葉を教えたクジョー。
これには続きがあった。
龍のことになると夢中になりすぎるミカを心配してのもの。

そして空に生きる者の意地と覚悟の言葉であった。
龍捕りとしては引退を迫られている彼には、まだやり残したことがあるようで…
「やさしいヒカリ」2巻(中村ひなた)
友人の紹介で田舎の町にやって来た青年の新しい仕事は郵便局長。
2巻は、日和子が東京の大学への進学を決意する。
夏休みに三宅の案内でオープンキャンパスに出掛けた日和子。
まだやりたいことが見つからないままの参加であったが、個展を開いていた三宅の弟・大和の言葉に思うところがあったようだ。

お互いに意識し始めたような描写もありつつ、一緒に過ごせる時間は限られている。
進展させるとすれば卒業後にするしかないが、そのへんの葛藤が今後の見どころかな。
日和子も翼芽も春には島を出て行くわけで、それでもまだ続けていけるのかという点も気になっている。
「明日ちゃんのセーラー服」5巻(博)
セーラー服に憧れて母の通っていた蠟梅学園に入学した明日小路(あけび こみち)の学園生活。
5巻は夏休みに家族で海にやってきた。
小路の受験のこともあり、全員で出かけるのは2年ぶりのこと。
今回は、彼女のために遅めの入学祝いのサプライズが用意されていたのである。

普段は一緒にいられない父の張り切り具合や、率先して楽しそうな母の姿がいい。
理想の家族過ぎて、ちょっとまぶしいな。
「とんがり帽子のアトリエ」5巻(白浜鴎)
魔法使いキーフリーの弟子となり、憧れだった世界へと足を踏み出した少女ココの物語。
5巻は蛇の背洞窟での「第2の試験」クライマックス。
つばあり帽の襲撃により鱗狼に姿を変えられた仲間のユイニィを助けるため、ココたちが奮闘する。
彼らの目的は、ココに禁止魔法を使わせ自分たちの味方に引き入れること。
禁止魔法に手を出すことなく、ユイニィを元の姿に戻すことができるのか。

今回はテティアが表紙に登場。
彼女の、怖くてもみんなを勇気づけるために明るく振る舞うところが好き。
「幼女戦記」14巻(カルロ・ゼン、東條チカ)
統一歴1920年代、帝国と周辺諸国の戦争において、幼少ながら「ラインの悪魔」として恐れられた将校がいた。
彼女の名はターニャ・デグレチャフ。
14巻は、アレーヌ市街戦を制しライン戦線の駐屯地で束の間の休日となった大隊だったが、ターニャだけに参謀本部への出頭命令が下る。

彼女の列車での長旅を心配してかヴィーシャも一緒に行きたそう。
実は戦争を終結させるべくライン戦線での大規模作戦が計画されており、二〇三大隊に殿軍の指示が下ろうとしていた。
全滅に近い被害が予想される事態に頭を抱えるターニャだったが…
「その着せ替え人形 は恋をする」3巻(福田晋一)
雛人形の頭師を目指す五条新菜(ごじょう わかな)とクラスのギャル喜多川海夢(きたがわ まりん)が一緒にコスプレ活動をすることになるラブコメディ。
3巻は、海夢の雫たんコスを見た女の子が衣装を作った新菜の家を訪ねてくる。
その相手こそ、海夢の憧れのコスプレイヤー、ジュジュこと乾紗寿叶(いぬい さじゅな)だった。

新菜に衣装作成を依頼しにきたジュジュとライバル関係になるかと思いきや、マリンの憧れの力がだいぶ勝っていた。
一緒に「合わせ」でスタジオ撮影をすることになるようだ。
彼女の妹も超シスコンであり、ストレートな好意に照れる姿がかわいい。
ライバルと言えば別方面でなる可能性もあるかもしれない。
「おやすみシェヘラザード」3巻(篠房六郎)
二都麻鳥(にと あさと)の住む女子寮には、決して近付いてはならないと言われる場所がある。
とある熱帯夜に冷房を求め避難を試みた彼女が、思い掛けずその部屋へ迷い込んでしまったことから奇妙な関係が始まっていく。
セクシー美女による残念映画レビューを最後まで眠らずに聞くと、彼女からのご褒美が貰えるらしい。
3巻は、ついにご褒美を貰った麻鳥が本気を出してきた。

いつも安らかな寝顔を見せていた彼女が、眠らない決意をするのである。
そんなにもご褒美は魅力的だったということか。
心配した先輩は、初めて眠らせるために映画の話をするのだが…
選ばれた作品はタルコフスキー監督の「ノスタルジア」。
「MAO」(高橋留美子)
高橋留美子1年半振りの新連載は、陰陽師の少年と妖の力を宿した少女の怪奇物語。
幼い頃に事故に巻き込まれて両親を亡くした少女・菜花(なのか)は、ある日事故現場になった商店街の入口から不思議な街に迷い込む。
そこで助けられた少年との出会いから彼女の中に眠っていた力があらわれ始め…
「ポチごっこ。」(アッチあい)
昨年、読み切り「愛縛少女」や短編集「このかけがえのない地獄」を発表したアッチあいの期待の新連載。
人生に疲れた社畜サラリーマンが美少女に拾われて犬として飼われることになるラブコメディ。
自殺しようとしていた青年が目覚めるとそこは見知らぬ部屋で…
彼の新しい名前はポチ。
戸惑いながらも楽しい日々が始まるかもしれない。
「君は放課後インソムニア」(オジロマコト)
「猫のお寺の知恩さん」から半年、早くも新作の登場。
今回は閉鎖された高校の天文台に入り浸るようになる少年少女のお話。
不眠症に悩まされている中見丸太は、文化祭用の資材を探しに来た際に天文台の入り口が開いていることに気付き、中を覗いてみるのだが…
「小さいノゾミと大きなユメ」(浜弓場双)
「ハナヤマタ」「おちこぼれフルーツタルト」の浜弓場双の新連載がモーニング・ツーで開始。
今度のヒロインは身長12cm。
山中でなぜか小さい体になっていた女子高生の望実は、猫に追いかけられた末に引きこもりニートの汚部屋に辿り着くのだが…