「メランコリア」は道満晴明による漫画作品。
月刊ウルトラジャンプで2017年より連載を開始した。
1話読み切り形式で、Aから始まりZまで続くオムニバス。
そして再びAに還る物語。
帯の言葉は、「かなしい、希望。あまい、憂鬱。」
ストーリーギミックマイスター・道満晴明の描くメランコリックスオムニバスついに完結! 彗星・メランコリアの地球衝突まであと少し。喜びと哀しみの中で、人々はどんな終末を迎えるのか――…。憂いは時に喜びとなり、幸せは時に憂いへ変化し、無秩序の中で生まれる「憂鬱」が最高に甘美な感覚を目覚めさせる!! ※このマンガを読みだすと、ループして続み続けてしまうのでお気をつけください。
(「メランコリア 下 (ヤングジャンプコミックス)」より)
前回はこちら。
近付く世界の終わり
メランコリア彗星の接近により、世界は間もなく終わろうとしている。
緩やかな滅びを待つ人々は、最後の時を誰とどのように過ごすのか。
駅伝に憧れて陸に上がる人魚がいたり、好きな小説の映画公開日に吹雪の中並ぶ腐女子がいたり、猛暑の続く中ツチノコ狩りに参加する高校生がいたり、はたまたユートピアを目指して旅に出るカップルがいたり。
残り少ないながらそれなりに充実した日々を過ごしているようにも見える。
このまま地球は死の星となるのだろうか。

このメランコリア彗星、「突如現れ吸い込まれるように地球へ向かっていった」とのことで、外部でも観測対象になっているようだ。
もしかしたら、ゲッサンの存在が地球を救うかもしれない。
以前、墜落した宇宙船を助けた少女が過去に戻るアイテムをお礼に貰っていたが、彼らはここでタイムトラベルを繰り返していたらしい。
時には江戸時代まで遡ってしまうことも。

ゲッサンやウルジャンを知った少女が後にエロ漫画家として江戸中に知られるようになったりもするのだが、これらの出来事の積み重ねで徐々にメランコリア彗星への影響が現れてくるのだろう。
一見して関わりのなさそうなエピソードが、結末に近づくに連れ繋がりを見せていく。
メランコリア彗星とは一体なんだったのか。

はじまりの少女サトミ。
下巻を読んでからだと、彼女の登場する1話の印象が変わってくる。
確認のために上巻を開いてまた最初から読み返すことになるだろう。
しかも「ニッケルオデオン」や「ヴォイニッチホテル」のキャラも登場するため、そちらもついつい覗いてしまう羽目に。

手塚家といえば例のおじいちゃんであるが、シェルターの準備の際に忘れられるくらいには元気に過ごしているようだ。
このお父さんも前作では地味な印象だったが、やはり親子なんだなと思わせてくれるエピソード。(ほっこりはしない)

待望の新人を部屋に閉じ込められてしまったホテルヴォイニッチの先輩メイド・エレナは、相変わらず人手不足の中で働いているが、小説「ナイトビジリア」執筆の相談役として活躍している模様。
最近では腐女子のファンも増えてきたとかどうとか。
あとがき
メランコリアのタイトルは「ニッケルオデオン」同様に映画ネタから。
終わったばかりだが、またこういう短編シリーズが始まってほしいな。
あとは「スーサイド・パラベラム」の単行本化と「あやめとあまね」の電書化を…