「007 スカイフォール」はサム・メンデス監督による2012年公開の映画。
映画版『007シリーズ』として23作目、50周年記念作にあたる。
先日、現在公開中の最新作「007 スペクター」を除く全23作がAmazonのプライムビデオで公開されたのを機に観てみた。
あらすじ
トルコのイスタンブールで任務中の工作員が襲撃され、何者かにハードディスクを奪われた。
ジェームズ・ボンドはパートナーのイヴと共に犯人の男を追うが、列車の屋根の攻防で右肩を銃弾で負傷、イヴの誤射で鉄道橋の上から川へと転落する。
3ヶ月後、行方不明のボンドは殉職扱いとなり、上官であるMI6(イギリス情報局秘密情報部)局長のMは引退勧告を受けていた。
奪われたハードディスクにはNATOによるスパイの機密データが入っており、責任を問われる結果となった。
さらに、MI6のコンピュータがハッキングされ、ロンドンにある本部も爆破されるというかつてない危機を迎える。
【予告編動画】
映画007シリーズ50周年記念作品
第1作の「ドクター・ノオ(Dr. No)」から50年*1、ひとつの区切り。
過去に思いを馳せ、新たなスタートを切った。
Mもジェームズ・ボンドも、もう若くはない。
すでにベテランのエージェントとして、作中でも伝説という表現が使われる。
死の国から舞い戻ったボンドは、現場復帰のために受けた体力テスト、射撃テスト、心理テストのどれも合格することはできなかった。
怪我の影響もあるだろうが、もはやかつての力はない。
それでも復帰を認めたのは、長い間の信頼か共感か。
まだやり残したことがある。
データを盗んだ犯人を追い詰めた先で浮かび上がった黒幕は、かつての00ナンバー、最強の敵。
MI6のセキュリティも突破し、政府関係者のいる席も正面から襲撃する危険な人物。
これに対抗するため選んだ手段が、昔ながらのローテクであったというのが心憎い。
- Photo credit: weesam2010 via Visual Hunt / CC BY-NC-SA
ジェームズ・ボンドが生まれ育った家、スコットランドのグレンコーにあるスカイフォール。
最新のMI6仕様の公用車を捨て、初代ボンドカーで向かう二人。
それまで控えめだったテーマ曲がこのタイミングではっきりと流れる。
技術も経験も上の相手に、あえて原点に戻ることを選んだ。
乗り越えるべき過去、そして復活。
初代ボンドカー、アストンマーチンDB5。
この車に乗り込んだ時、またQ(Quartermaster:需品係将校)に武器を渡される際に過去シリーズにまつわる小ネタが挟まれている。
誕生の地での再生
スカイフォールはジェームズ・ボンドの生家であり、両親の眠る土地。
由来は「天が堕ちるとも正義は為されるべし」の言葉からきているとか。
ここを守る老人キンケイドは、ボンドの幼いころを知る人物であるが、Mを紹介された時にエマと聞き違えていた。意味は「神はわれらともにある」(旧約聖書)。
厳しく非情な決断も下すMも、身寄りの無いエージェントたちにとって、MomまたはMotherと呼ばれる存在でもあった。
ボンドの落下の報告を受けた時、背を向け窓の外に目をやるMは何を思ったか。
シルヴァが香港で捕らわれ、他のエージェントの命と天秤にかけるしかなかった時は。
任務を再優先し、組織全体を考えなければならない彼女のわずかに感情が垣間見える部分。
ボンドとシルヴァの違いは、「お前の仕事は何だ」と問われ、「生き返ることだ」と答えられた点にある。
オープニングで流れる主題歌はアデルによるもの。
公式とはいえ、再生回数が1億回を超えている。歌詞にも注目。
あとがき
本作は、007シリーズ最高傑作との声も聞かれる。
ダニエル・クレイグが主演した過去二作「カジノ・ロワイヤル」「慰めの報酬」とは直接関係のない単体の作品。
僕もシリーズはまともに記憶がなくて、昔テレビで放送していたのをなんとなく観たくらいだ。
そこでまずこれを選んでみた。
現在Amazonプライムビデオで過去の全作が公開されているので、本作が気に入れば他の作品に手を出してみるといいんじゃないかな。
IMDbのスコアによると、初期の数作と「カジノ・ロワイヤル」、本作が評価が高いようだ。
とりあえず、ダニエル・クレイグ版を観てみることにする。
その他の作品はこちらから
原題:Skyfall
監督:サム・メンデス
原作:イアン・フレミング
出演:ダニエル・クレイグ / ジュディ・デンチ / ハビエル・バルデム / レイフ・ファインズ / ナオミ・ハリス / ベレニス・マーロウ / アルバート・フィニー / ベン・ウィショー / ロリー・キニア / ヘレン・マックロリー
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