「アナスタシア」は1997年公開のアニメ映画。
1917年に滅亡したロマノフ朝最後の王女アナスタシアの伝説をもとに描いたファンタジーロマンス。
あらすじ
ロマノフ家統治300年を祝うパーティーで、アナスタシアは祖母であるマリー皇太后よりプレゼントを渡される。
オルゴールと、その鍵でもあるペンダント。
パリに住む皇太后にとって、サンクトペテルブルグは遠く、そのメッセージ「パリで会いましょう」は二人の秘密であった。
その夜、パーティーに招かれざる客がやってくる。
男の名はラスプーチン。
権力を欲し、宮殿から追い出された男。
ラスプーチンはそのことを恨み、呪いの言葉を吐き去っていく。
それから間もなく、ロシア革命によってロマノフ朝は滅亡するが、10年の歳月が流れても人々の間でささやかれる噂があった。
「アナスタシア王女は生きている」
そして、皇太后がアナスタシアを連れてきたものに大金を払うというもの。
噂を聞きつけたウラジミールとディミトリの二人は、替玉を用意して賞金を狙おうと計画する。
Anastasia Trailer 1997 - YouTube
生存伝説と「追想」
ロマノフ朝最後の皇帝ニコライ2世の一家は革命後、使用人を含む全員が処刑された。
当時レーニンは「皇帝は処刑したが家族は安全な場所で生きている」と発表し、事実はソ連の崩壊まで謎のままだった。
そのためアナスタシアの偽物も多く現れたが、中でも信憑性が高いと言われたのは記憶喪失の女性アンナ・アンダーソン。
彼女をモデルにして戯曲が書かれ、1956年にイングリッド・バーグマン主演で映画化された。
本作はその映画「追想」のリメイクである。
イングリッド・バーグマンといえば「カサブランカ」でハンフリー・ボガードに「君の瞳に乾杯」と言わせたヒロインだ。
オルゴールとペンダント
孤児院で育ったアーニャは唯一の手掛かりであるペンダントの文字「Together in Paris」を頼りにパリへ渡りたいと願っていた。
子供の頃の記憶がなく、家族の存在もわからないが、パリへ行ければ道は開けると考えていた。
ある日、買い物へ出かけた街でパリ行きの情報を得る。
宮殿跡で、ある人物に会うことを勧められたアーニャは、そこでウラジミールとディミトリの二人と出会う。
アーニャが身に着けていたペンダントとオルゴールの微かな記憶が皇太后との再会の鍵になるわけだ。
字幕版だと「パリで会いましょう」となっているが、ここは「パリで一緒に」としてほしいところだ。
吹替版の方だとそうなっているらしい。さすが。
「追想」との関係だろうか。
オードリー・ヘップバーンとフレッド・アステアの「パリで一緒に」は1964年公開なので、実写版の方では使われていないだろうが、その関係も気になるところ。
これは本編導入部分。
アナスタシアと皇太后がオルゴールのメロディに合わせて歌うシーンがあるが、皇太后が子守歌として聞かせたこともあるらしいもので、本作のテーマ曲。
「Once Upon A December」
作中で度々流れるメロディだ。
ちなみにラスプーチンの従者は白いコウモリのバルトーク。
由来になったバルトーク(Bela Bartok)はハンガリー出身の作曲家でピアニスト。晩年はアメリカに移り住んだ。
おすすめはヴァイオリン協奏曲2番(Sz.112) 。
古い録音なので音質はよくないが、演奏者のゾルターン・セーケイ(Zoltan Szekely)は作曲を依頼した本人だ。
あとがき
本作は20世紀フォックスが手がけた最初のアニメ映画らしい。
制作陣がディズニー出身ということで、デイズニーっぽいのにデイズニーじゃないという立ち位置だが、思ったよりも観られていないのはジャケットの安っぽさのせいかな。
検索するとアイドルマスターの記事が上位を占めているしね。
映像はきれいなのにもったいない気がする。
字幕版はプライムビデオ対象作品。
原題:Anastasia
監督:ドン・ブルース、ゲイリー・ゴールドマン
出演:メグ・ライアン(アナスタシア、アーニャ)
キルスティン・ダンスト(アナスタシア幼少期)
ジョン・キューザック(ディミトリ)
クリストファー・ロイド(ラスプーチン)
アンジェラ・ランズベリー(マリー皇太后)
【関連記事】