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「うちの師匠はしっぽがない」(TNSK)人を化かしたい狸が出会ったのは落語の世界!?

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「うちの師匠はしっぽがない」(TNSK)1話より、扉絵

「うちの師匠はしっぽがない」はTNSKによる漫画作品。

good!アフタヌーンで2019年1月より連載を開始した。

街へ出てきた豆狸が目指すのは落語家だった?

 

いつか人間を化かしたいと夢見る豆狸の女の子・まめだ。少女に化けて大都会・大阪に繰り出し黒髪の美女を化かそうとするが、一目で見破られてしまう… 意気消沈するまめだを後目に彼女が颯爽と向かったのは…「寄席」!!

笑うかどにはたぬきたる。大正落語ファンタジー、開演!

(「good!アフタヌーン 2019年2号」より)

一人前のたぬきを目指して

初めて大阪の街へ出てきた豆狸のまめだは好奇心旺盛な女の子。

長老たちには止められていたけれど、人間を化かしてみたくてたまらない。 

「うちの師匠はしっぽがない」(TNSK)1話より、田舎から出たばかりの豆狸
(「うちの師匠はしっぽがない」1話より)

大正の世になり、狸には分が悪い時代と言われていても、若いまめだには納得しかねるものがある。

磨いてきた術でもって、大いに化かしてやるのだと。

そんな彼女が出会うのは、ひとりの黒髪の美女。

口は悪いが、まめだの危なっかしさを心配してくれていた。

「うちの師匠はしっぽがない」(TNSK)1話より、正体を見破られた豆狸
(「うちの師匠はしっぽがない」1話より)

彼女は大黒亭文狐を名乗り、上方で人気の落語家らしい。

名前といい、扉絵での膝隠しの紋といい、その正体が狐なのではないかと思われるところがある謎多き人物。

まめだがその芸に惚れ込み弟子入りを決意することから始まっていく。 

お客を非日常の世界へ連れて行く彼女の噺は、初めて知るまめだにとって立派な化かしの技術であるようだ。 

「うちの師匠はしっぽがない」(TNSK)1話より、落語を初めて見た豆狸
(「うちの師匠はしっぽがない」1話より)

一人前の狸になるため、見知らぬ土地で落語家を目指す物語。

はたして上手く化かせるようになれるのか。 

 

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「空電の姫君」1話(冬目景)磨音と夜祈子再び。イブニングで続編が開始。

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イブニング新連載「空電の姫君」(冬目景)1話扉絵

「空電の姫君」は冬目景による漫画作品。

月刊バーズで2016年より「空電ノイズの姫君」として連載を開始、同誌の休刊に伴い2019年よりイブニングへ移籍した。

作中の時期もそのままの続編と考えていいと思う。

1話では、磨音の初ライブ後の日々を描いている。

 

前回はこちら。

その後の磨音たち

磨音が練習に復帰したアルタゴは、次のライブに向けて動き出している。

前回のような惨めな思いはしたくない。

そのためには場数を踏むこと、たとえ動揺しても乗り切れるだけの自信を持てるといいのだが…

「空電の姫君」(冬目景)1話より、ギターを抱えて眠る磨音
(「空電の姫君」1話より)

彼女の場合は、実力以上のものが求められているわけではなく、いつもどおりに弾ければひとまず合格点である。

ただ経験だけが足りない。

ステージ上で頭が真っ白になっても案外なんとかなるものだというのも、慣れの問題で。

「空電の姫君」(冬目景)1話より、新曲のギターソロができた
(「空電の姫君」1話より)

今できることは練習を重ねること。

なのだけれど、高瀬のやる気スイッチが入っていることで、例のすっぽかし癖が出てしまっている。

練習場所を使える時間も限られるため、気軽に変更というわけにもいかないのだ。

困った奴だけど、この集中力をうまく活かせるならバンドの力になる余地はあると思いたい。

じゃあどうしたらいいのか。

拓海パパに相談だ。

「空電の姫君」(冬目景)1話より、子煩悩なロッカーはかっこいいと思います
(「空電の姫君」1話より)

磨音たちは空きスタジオを手に入れた。

高瀬はスタジオで寝泊まりするくらいでいいんじゃないかな。

本人も曲作りに集中できるし、日野の手間も減らせそう。 

なによりいつでも必要なだけ練習できるのは大きい。

学生バンドとしては考えられないくらい贅沢なこと。

 

「空電の姫君」(冬目景)1話より、屋上で歌う夜祈子
(「空電の姫君」1話より)

一方の夜祈子はここ最近学校を休みがちな様子。

健康面で問題がなさそうなのは安心していいところだろうか。

あとがき

掲載誌も変わったこともあり、顔見せ的な回かなという印象。 

次回は1月22日の4号に掲載とのこと。

春から別の連載も始まるし、今後は調整されるかも。

バーズでの連載の残り分にイラストなどを追加した「空電ノイズの姫君」第3巻が1月24日に発売される。

空電ノイズの姫君 (3) (バーズコミックス)

 

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「赫のグリモア」5話(A-10)『機構』との対立

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「赫のグリモア」(A-10)5話より、竜胆の憎悪

「赫のグリモア」はA-10(エーテン)による漫画作品。

別冊少年マガジンで2018年9月より連載を開始した。

『機構』の言い分に納得のいかない若葉とあかずきんは…?

大麦若葉は「魔獣」赤ずきんと死闘の末に契約。彼女は絵を具現化する力で人々を守る存在「書の魔導士」の使命を曾祖母から引き継ぐ。そんな二人を狙う「ルーキー狩り」の魔導士・丸谷を撃退するも、突如現れた謎の組織『機構』(ゲゼルシャフト)が襲いかかった。

(前回までのあらすじ:「別冊少年マガジン 2019年2月号」より)

 

前回はこちら。

『機構』との対立

親指姫まいあの契約者であった書の魔導士・丸谷の処遇をめぐって対立する「機構」とあかずきん。

突然現れた見知らぬ組織へ黙って引き渡すことに納得できるはずはない。

まいあへの仕打ちを考えれば、丸谷には相応の報いを受けてもらいたいところ。

だが確かにあかずきんはやりすぎたか。

「赫のグリモア」(A-10)5話より、若葉は能力不足?
(「赫のグリモア」5話より) 

彼女を止められなかった若葉に契約剥奪の宣告。

今まで丸谷を放置していた組織にしては対応が早いね。

星河管理官の口ぶりからすると、もともとそのつもりで来たのかもしれない。

そして、命令違反を指摘されたあとも執拗な攻撃を続ける竜胆雫(りんどう しずく)は明らかにヤバイやつだった。

むしろ資格を奪うべきなのはこっちだろうという気はする。

「赫のグリモア」(A-10)5話より、竜胆の魔獣『輝夜』
(「赫のグリモア」5話より) 

魔獣「輝夜(かぐや)」 と契約する書の魔導士。

「ある種の魔獣に対して執拗な憎悪」を持つとされているけれど、私怨で動く人間を制御できてない組織を信用しろと言われてもね。

問題は魔導士たちに対してどれだけの権限を持っているのかどうか。

契約者は強制的に管理下に置かれるのか、それとも例外はあるのか。

ここまでのやりとりの中でも、人と魔獣は対等ではないとの考え方が透けて見えている。

若葉とは相容れない部分だろうね。 

「赫のグリモア」(A-10)5話より、若葉は格別
(「赫のグリモア」5話より) 

出会ってまだ間もない魔獣たちを信じて命を賭けられる人間は、あかずきんの記憶の中でも特殊な部類のようだ。

これは先代の茜にもなかった部分かもしれない。

能力は不足していても、思いの熱さでは負けてないぞと。 

「赫のグリモア」(A-10)5話より、あかずきんを庇う若葉
(「赫のグリモア」5話より) 

若葉のこの宣言に、『機構』側の答えは…?

あとがき

単行本1巻の発売日は2月8日を予定している。

赫のグリモア(1) (講談社コミックス)

 

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「僕と君の大切な話」5巻(ろびこ)放課後の図書室と鈴先輩の恋

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「僕と君の大切な話」は、ろびこによる漫画作品。

月刊デザートで2015年より連載を開始した。

メガネ男子の東くんと、彼に恋する相沢さんとのトーキングラブコメ。

5巻は、新学期の学校の図書室を舞台に、強力な新キャラが登場する。

同じ学年の東くんに片想いしてきた相沢のぞみ。告白を忘れられて複雑な気持ちでいたけれど、一方の東くんは相沢さんの告白を思い出して、次第に意識し始めていた? 冬休みも毎日会って話すうちに、2人の距離はさらに縮まり、3学期はさらに一緒の時間が増えていき…!? 笑いもニヤニヤも止まらない! すれ違う男女の新感覚”トーキング”ラブコメディー、第5巻!

(「僕と君の大切な話(5) (デザートコミックス)」より)

 

前回はこちら。

新キャラ鈴先輩登場

3学期になり、また文芸部の部室で会う日々が始まったが、のぞみんこと相沢さんには悩みがある。

放課後、東くんの姿が見当たらない。 

「僕と君の大切な話」(ろびこ)5巻より、放課後東くんと会えない日が続く相沢さん
(「僕と君の大切な話」5巻より) 

最近では帰っていく姿を見届けるのが日課になっていたのだが、このところそれができていないらしい。

冬休み中のデート発言の影響もあり、ランチタイムもぎこちない空気が流れていることも関係しているようだ。

喫茶店での日々も傍から見ればデートに他ならないのであるが、実際に言葉にすると必要以上に意識してしまう。

東くんくらい鈍いと、そうでもしないとなかなか進展しなさそうなので、むしろよく踏み込んだと言えよう。 

「僕と君の大切な話」(ろびこ)5巻より、東くんと親しげな女子生徒を目撃
(「僕と君の大切な話」5巻より) 

では肝心の東くんはどこへ行っているのか。

はまりん情報によると、図書室が可能性ありとのこと。

早速向かった相沢さんがそこで見たものは…

 

東くんと親しげな謎の美少女の姿。

「僕と君の大切な話」(ろびこ)5巻より、図書室に入れてくれる鈴先輩
(「僕と君の大切な話」5巻より) 

彼女は3年生の一ノ宮鈴。

東くんにトラウマを植えつけたと言う4人の叔母の一人である。

子供時代のあだ名は「血みどろの鈴ちゃん」 。

その一方で、園芸部に所属する恋する乙女でもあった。

今回は、この鈴先輩が主役級の存在感を示してくれる。

「僕と君の大切な話」(ろびこ)5巻より、鈴先輩は世界一可愛いです
(「僕と君の大切な話」5巻より) 

叶わぬ恋と思いながら見ているだけで過ごしてきた彼女も、もうすぐ卒業の日を迎えるだろう。

後悔しないように、せめて気持ちだけでも伝えられるのか、意気投合した相沢さんが応援することに。

好きな相手や相沢さんの前で見せるキャラと、甥の東くんの前でのキャラとのギャップがかわいいのだ。

この5巻では推し武道ネタも登場するのだけど、ここの部分もなんかそんな気がしてくる。

こんな彼女に好かれて喜ばない奴が居ようか。

「僕と君の大切な話」(ろびこ)5巻より、カフェインに話しかけられて驚くはまりん
(「僕と君の大切な話」5巻より) 

ちなみに、はまりん達のとこも進展があるのだが、こっちは放っておいても大丈夫そう。

あとがき

もともと前巻の予告だと創作は辛いよ編となっていたが、完全に鈴先輩に持って行かれた印象。

そして次回6巻は「ドキドキ彼のおうち編」。

デートからのお宅訪問の様子…

もう期待しかない。

 

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「RWBY(ルビー)Volume 6」第10話 “Stealing from the Elderly” 基地への潜入作戦

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「RWBY(ルビー)Volume 6」第10話 “Stealing from the Elderly” バイクに乗るヤンとブレイク

RWBY(ルビー)はモンティ・オウム氏とROOSTER TEETHによるアニメシリーズである。

第10話のタイトルは “Stealing from the Elderly” 。

アトラスへの道を確保するためにジョーンの考えた方法とは?

 

前回はこちら。 

Chapter 10: Stealing from the Elderly

基地への潜入作戦

アトラス行きを実現するために、ジョーンの提案した方法。

それは、軍のエアーシップを盗みだすことだった。

基地では門前払いの彼らの中で、立ち入りが許されるとするならシュニー家の娘であるワイスくらいのものであろう。

ただし、アトラスへ帰還することが条件になるのは間違いない。

「RWBY(ルビー)Volume 6」第10話 “Stealing from the Elderly” より、アトラス軍の飛空艇に乗り込むワイス

これは最終手段である。

失敗すればアトラス軍を敵に回すだけでなく、シュニー家やアイアンウッド将軍の立場も悪くしてしまう。

クロウたち大人からは出てこない意見なのは確かであり、やんちゃと呼ぶには過激すぎる方法となった。

一部ノリノリの大人もいるにはいるのだが。 

「RWBY(ルビー)Volume 6」第10話 “Stealing from the Elderly” より、操縦するマリーア

何を持って成功とするのかは微妙なところだけど、こんなデメリットしかない作戦をよく実行したなと。

これはクロウじゃなくても反対するね。 

アイアンウッド将軍やウィンターに連絡を取って渡航許可を出してもらう方が結局は早道になるだろうに。

ルビーも言っていることはかっこいいんだけどね。

「RWBY(ルビー)Volume 6」第10話 “Stealing from the Elderly” より、待機するルビーたち

アトラス軍の隊長・キャロラインも彼らを止めるために基地に隠されていたロボットを出動。

自ら操縦のために乗り込むあたり、使ってみたかったとかなのかな。

街を守るためのロボットと戦う羽目になったりして、しかも行動不能にさせたりしたら、それこそ本末転倒な展開な気がする。

平和を脅かすテロ集団になっちゃうけど。 

「RWBY(ルビー)Volume 6」第10話 “Stealing from the Elderly” より、アトラス軍のロボット

今回で注目したいのは、アダムの再登場。

ブレイクが隙を見せる時をずっと狙ってたいらしいが、ついにその機会を得た。 

度々、ブレイクの周囲にちらついていた妙な気配は気のせいではなく、彼のものであったことが判明する。

この執念はすごいね。

ホワイト・ファングでの地位を失った彼に残ったのはブレイクへの思いだけなのか。

もはや言動が完全にストーカーのそれ。

「RWBY(ルビー)Volume 6」第10話 “Stealing from the Elderly” より、ブレイクを急襲するアダム

ブレイクのピンチに駆けつけるであろうヤンとともに決着を付けることになるのだろうか。 

そして、戦力が分断されているタイミングを狙ってくる別の敵がいたりするのか。 

あとがき

次回11話 “The Lady in the Shoe” は2019年1月13日にFIRST会員に公開された。

ブレイクとの戦いの中、ついにアダムの素顔が…

 

The Lady in the Shoe - RWBY - Rooster Teeth

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「空電の姫君」2話(冬目景)夢に見た景色

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「空電の姫君」(冬目景)2話扉絵より、支倉夜祈子

「空電の姫君」は冬目景による漫画作品。

月刊バーズで2016年より「空電ノイズの姫君」として連載を開始、同誌の休刊に伴い2019年よりイブニングへ移籍した。

 

前回はこちら。

屋上で歌う夜祈子

近頃学校へ出てこない夜祈子を訪ねた磨音は、屋上で歌う彼女を発見する。

それは、磨音の夢に出てきた景色を思い出させるものだった。 

「空電の姫君」(冬目景)2話扉絵より、磨音の夢は正夢?
(「空電の姫君」2話より) 

磨音のギターで歌う夜祈子の姿。

屋上で演奏するMVはビートルズ以降たくさん作られてきたが、磨音が見たのはどれなんだろうね。

いつか二人で活動する日がやってくるのかな。

それが本当に正夢になればいいのだけれど。

「空電の姫君」(冬目景)2話扉絵より、磨音のギターで歌う夜祈子
(「空電の姫君」2話より) 

表に出たがらない夜祈子も、歌うこと自体は好きだし、プライベートでは嫌がる素振りはあまりない。

ただし、この組み合わせは何気に初の場面じゃないだろうか?

選曲も渋いけど対応できる磨音も磨音だ。

Blowin' In the Wind

Blowin' In the Wind

  • Bob Dylan
  • ¥200
  • provided courtesy of iTunes

そもそも、夜祈子が人前で歌いたがらないのはなぜなのか。

本人が口にする理由以外に原因があるのではとの考えに、磨音も薄々気付いてはいる。

ここのところ落ち着いていた過去のトラウマが関わっているのは確かだろう。

「空電の姫君」(冬目景)2話扉絵より、夜祈子とミカ
(「空電の姫君」2話より) 

数少ない理解者のひとりであるバイト先のバーのママとの交流の中で少しずつ見えてくるのかも。

この人も謎だけど近親者のような接し方。

個人的には母方の叔父だった人なんじゃないかと考えている。

または祖母の店で働いていたとか。

このへんの過去のエピソードを見てみたい。

 

一方、次のライブに向け練習中のアルタゴは…

「空電の姫君」(冬目景)2話扉絵より、やる気みなぎるアルタゴ
(「空電の姫君」2話より) 

気合十分なようだ。

こんどは成功させないとね。

高瀬はベース変えたのかな?

あとがき

月刊バーズで連載されていた残りのエピソードにイラストを加えた「空電ノイズの姫君」3巻が幻冬舎から発売される。

イブニングは月2回発売なので早くも2回目の掲載となったが、次回からは月一更新になるとのこと。

第3話は6号に載る予定。

 

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「乙女怪獣キャラメリゼ」2巻(蒼木スピカ)感情の高ぶりで怪獣化してしまう女の子の恋の物語。

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「乙女怪獣キャラメリゼ」は蒼木スピカによる漫画作品。

月刊コミックアライブで2018年2月より連載を開始した。

感情の高ぶりに呼応して大怪獣へと変貌する女子高生「クロエ」。東京都民の皆様にご迷惑をかけないため、日々平穏に務める彼女であったが、イケメン男子「新汰」により、その日常は崩されていく……。

(「乙女怪獣キャラメリゼ 2 (MFコミックス アライブシリーズ)」より)

 

前回はこちら。

初デートは夢の国

赤石黒絵は気持ちが高ぶるとからだが怪獣化してしまう特殊体質の女の子。

彼女は今、試練の時を迎えていた。

「乙女怪獣キャラメリゼ」(蒼木スピカ)2巻より、真夏にデートの服を選んでもらう
(「乙女怪獣キャラメリゼ」2巻より)

気になっている同級生の南くんと遊園地でデートをすることになったのである。

友人の有里真夏に服を選んでもらい、しおりを作って楽しみにしていた彼女だが、心配事がひとつ。

体質のことを知られずに乗り切ることができるのか。

せっかく仲良くなったのに、秘密がバレると嫌われてしまうかもしれないし、引っ越しだって余儀なくされる可能性が高い。

今回は、そんなピンチを乗り越えつつ距離を縮めていく様子が描かれる。

「乙女怪獣キャラメリゼ」(蒼木スピカ)2巻より、南くんの腕をつかむ黒絵
(「乙女怪獣キャラメリゼ」2巻より)

これまで南くんも薄々感付いているのでは、という場面も見られたが、そこまで鋭くはないようで…

さすがに大怪獣にまで変身してしまうとは思わないだろうしね。

アトラクションによっては密着度も高くなるのでいろんな意味でドキドキしそうだ。 

「乙女怪獣キャラメリゼ」(蒼木スピカ)2巻より、コスプレじゃい
(「乙女怪獣キャラメリゼ」2巻より)

夢の国ならではの言い訳も飛び出したり。

何度も使える手ではないけど、初デートが幸せな思い出になってよかったね。

周りの反応が、多少の怪獣化では気に病まなくてもいい事を示している。

むしろ南くんが理解者になれば何度でも使えるようになるのだけど。

そのへんはどうなるのかな。

「乙女怪獣キャラメリゼ」(蒼木スピカ)2巻より、伝えたい思い
(「乙女怪獣キャラメリゼ」2巻より)

新キャラの生物学者・響野光太郎(ひびの こうたろう)の登場で、赤石家の事情もおぼろげに見えてきた。

立場的には敵か味方かは分からないけれど、黒絵の怪獣化の制御をする鍵になるのかもしれない。

怪獣の秘密を知っていそうなセリフが気になる。

 

そして、われらが真夏さんは…

登場場面はやや少なかったものの、表紙にもなったしインパクトでは負けていない。

「乙女怪獣キャラメリゼ」(蒼木スピカ)2巻より、ハルゴンを守ろうとする真夏さん
(「乙女怪獣キャラメリゼ」2巻より)

いつか思いが届くといいよね。 

あとがき

最新の月刊コミックアライブ2019年3月号では本編は休載。

代わりに2巻の紹介記事と記念イラストが掲載されている。

 

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2019年1月に読んだおすすめ漫画まとめ

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2019年1月に読んだおすすめ漫画まとめサムネイル

2019年1月に読んだ中で、おすすめの漫画をいくつか紹介する。  

今月の注目作は1巻が出た「きみが死ぬまで恋をしたい」。(コミック百合姫で連載中)

 

前回はこちら。

「君は春に目を醒ます」3巻(縞あさと)

難病で7年ぶりに目覚めた年上の幼馴染みと同級生になるラブコメディ。

3巻は、校内で千遥(ちはる)の姿を見つめる女の子が登場。

その後も度々見かける彼女が気になる絃(いと)は…? 

「君は春に目を醒ます」(縞あさと)3巻より、後輩の美少女・滝本杏の登場
(「君は春に目を醒ます」3巻より) 

彼女は1年生の滝本杏、思わぬライバル?の出現に戸惑うのであった。

これから出番も増えそうなキャラで、そろそろ気持ちに気付きつつある千遥も含めて関係が動き出しそうな流れ。 

「春夏冬さんに呪われるっ!?」1巻(三ノ咲コノリ)

オカルト好きをこじらせた残念女子の萩好環(はぎよし たまき)と、口下手な転校生の春夏冬(あきなし)さんとのすれ違いコメディ。

放課後、召喚の儀式をしていた所にタイミングよく春夏冬さんが現れたことから、彼女のことを最凶の魔女だと思いこんだ環。

「春夏冬さんに呪われるっ!?」(三ノ咲コノリ)1巻より、殺る気マンマンじゃないの
(「春夏冬さんに呪われるっ!?」1巻より)

契約の名乗りを友達宣言だと思い込んだ春夏冬さん。

誤解を超えて、二人の間に友情は芽生えるのか?

2017年に読み切りで発表された作品がついに一冊の本になった。 

 

「恋せよキモノ乙女」3巻(山崎零)

祖母から受け継いだ着物で出掛けることが野々村ももの休日の楽しみ。

3巻は、“喫茶店の君” に気持ちを伝えた直後から。

しばらく連絡が途絶えたあとでようやく受け取ったのは、断りの返事だった。

落ち込む彼女を連れ出してくれるのはやはりこの人。

「恋せよキモノ乙女」(山崎零)3巻より、うちの妹をふるなんて
(「恋せよキモノ乙女」3巻より)

素直なお姉ちゃんいいなあ。

本音が漏れてるとこ好き。

そんな姉のユキも結婚の話が進んでいて、友人の真紀もスキルアップのために試験を受けようと考えている。

ももにとっても世界を広げる時が来ているのかも。 

「僕と君の大切な話」5巻(ろびこ)

クールなメガネ男子の東くんと彼に恋する相沢さんによるトーキング・ラブコメディ。

5巻は、「創作は辛いよ編」として密かに小説を書いているらしい東くんのエピソードが中心になるのかと思いきや、新キャラの鈴先輩に話題を持っていかれた感がある。

普段の彼らの関係とリンクしていると言えなくもないのだが。

かつて東くんにトラウマを植えつけた「血みどろの鈴ちゃん」も、現在は恋する乙女である。

「僕と君の大切な話」(ろびこ)5巻より、鈴先輩は世界一可愛いです
(「僕と君の大切な話」5巻より) 

ずっと見ているだけで過ごしてきた彼女の恋を、相沢さんが全力で応援する。

卒業の日までに思いを伝えられるのか。

「鈴先輩は世界一可愛い。」 

「化物語」4巻(西尾維新、大暮維人)

吸血鬼に魅入られた少年とその周囲に起こる怪異を描く物語。

4巻は、戦場ヶ原と交際を始めた阿良々木の前によく姿を見せるようになった後輩の女子・神原駿河(かんばる するが)が表紙。

弱小バスケ部を全国区に引き上げたというスター選手が冴えない彼に接触してくる理由とは何か。

「化物語」(西尾維新、大暮維人)4巻より、神原駿河に襲撃される阿良々木暦
(「化物語」4巻より) 

事情通のクラス委員長・羽川の話によると、中学時代は戦場ヶ原と共にヴァルハラコンビと呼ばれ仲の良い先輩後輩の間柄だったらしいのだが… 

 

もともと人気作のコミカライズであるが、すでに100万部を超えたとのこと。

週刊連載とは思えぬ作画がおそろしい。 

「きみが死ぬまで恋をしたい」1巻(あおのなち)

魔法が身近にある世界で、身寄りのない子供たちを引き取って育てている施設がある。

年齢別のクラスに分けられ、魔法で戦う術を教えられ、いつかは戦争に行くことを義務付けられている。

トツキ・シーナはそこで、“ミミ”と呼ばれる不思議な少女と出会った。

「きみが死ぬまで恋をしたい」(あおのなち)1巻より、ミミの髪を梳かすシーナ
(「きみが死ぬまで恋をしたい」1巻より)

最強との噂のある彼女は、何故かシーナに懐き、まるで親のように慕ってくるのだが、そのことをきっかけに二人の日常が変わっていく。

不穏な空気の漂う中で際立つミミの天真爛漫さがほっこりさせてくれる。

百合的ポイントは回復魔法の扱いにあると思う。天才かな?

「モブ子の恋」4巻(田村茜)

地味で控えめな女の子が思いを寄せるのは、アルバイト先の同い年の男の子。

4巻は、ついに入江くんが覚悟を決める。

前回のラストで告白の流れだったにも関わらず、有耶無耶にしてしまっていた。

見事なヘタレっぷりだが、そこで決められるくらいなら苦労はない。

一方、信子の思いを知った友人が彼女の買い物に付き合ってくれて…

「モブ子の恋」(田村茜)4巻より、デートの日の朝
(「モブ子の恋」4巻より)

ここの特別な一日の始まりって感じがいいよね。

入江くんにしっかりしてもらいたいところはあるけれど、どちらかというと信子の方から告白して欲しい。

結果はどうなる? 

「乙女怪獣キャラメリゼ」2巻(蒼木スピカ)

感情の高ぶりで怪獣化してしまう女の子を描くラブコメディ。

2巻は、気になる同級生の南くんと二人きりで遊園地に行くことに。

自然と距離が近くなることで、体質がバレてしまうリスクもあるのだが、それでも普通の女の子として過ごしてみたかったとのこと。

「乙女怪獣キャラメリゼ」(蒼木スピカ)2巻より、遊園地で怪獣化してしまう
(「乙女怪獣キャラメリゼ」2巻より)

怪獣化すると自分でも制御できない部分が出てくるようで、それが今後大きな問題に発展しそう。

度重なる巨大怪獣の出現に、政府が黙っているわけもなく…

新キャラの登場に不穏さも見えつつ、そこはラブコメでもあるので南くんとの恋も進展するでしょう。

次巻あたりで誕生秘話が明かされるのかも楽しみにしたい。

「空電ノイズの姫君」3巻(冬目景)

ギター少女の保坂磨音(ほさか まお)とミステリアスな転校生・支倉夜祈子(はせくら よきこ)の交流を描く青春ストーリー。

掲載誌月刊バーズの休刊により続編の情報が待たれていたが、2019年からタイトルを「空電の姫君」に変更してイブニング(講談社)で連載を開始した。

今回はバーズ掲載の残りの4話に表紙や扉絵で使用されたカラーイラストを収録。

ページが少なめな分、紙質がいいとの噂。

夜祈子の初ライブや磨音のスランプからの脱出?までが描かれている。

「空電ノイズの姫君」(冬目景)3巻より、ギターを始めた頃の磨音
(「空電ノイズの姫君」3巻より)

磨音がギターを始めた頃のエピソードも。

「ふしぎの国の有栖川さん」7巻(オザキアキラ)

過保護な祖父に育てられた箱入り娘の有栖川さんと、天然王子な野宮くんとの恋物語。

7巻は、スガヤンがまさかの単独表紙。(イケメン風)

有栖川さん×野宮くん、なっちゃん×スガヤンが既定路線だと思っていたのだが、スガヤンが有栖川さんへ横恋慕という意外な展開。

そして、その会話を野宮くんに聞かれてしまったことで気まずさを感じているスガヤン。

「ふしぎの国の有栖川さん」(オザキアキラ)7巻より、スガヤン逃亡?
(「ふしぎの国の有栖川さん」7巻より) 

さらには、何やら誤解をしてそうななっちゃんの姿が…

一波乱起きそうですね?

普通に考えたらスガヤンには勝ち目はないんだけど、じれったい二人の進展にはこのくらいの刺激は必要なのかもしれない。

何よりフェイドアウトしていた律を再登場させるきっかけになったのもあるしね。

「熱帯魚は雪に焦がれる」4巻(萩埜まこと)

四国の海沿いの街に転校してきた少女と水族館部の先輩の日々。

4巻は、文化祭から冬の一般公開までを描いている。

帆波先輩の力になりたいと秘密練習をしていた小夏に、その成果を試す機会がさっそくやってきた。

文化祭当日に先輩が風邪で来れなくなってしまったのだった。

「熱帯魚は雪に焦がれる」(萩埜まこと)4巻より、小夏のハマチショーデビュー
(「熱帯魚は雪に焦がれる」4巻より) 

こっそり家を抜け出して駆けつけようと考える彼女のために、顧問である父が動画で中継してくれる。

後輩の頼もしい姿に安心するとともに、自分がいなくても無事に進んでいくことに寂しさを感じてしまうのである。

先輩も殻を破りつつあるが、周囲のイメージを壊すことをまだ恐れている。

変わっていく姿を見せることはみんなにも喜ばれそうなんだけどね。

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「さよなら私のクラマー」33話(新川直司)興蓮館との決勝戦が開始

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「さよなら私のクラマー」(新川直司)33話より、全国制覇など当然

「さよなら私のクラマー」は新川直司による漫画作品。

月刊少年マガジンで2016年5月より連載を開始した。

33話は、蕨青南と興蓮館の試合がはじまる。

 

前回はこちら。

興蓮館戦の開始

来栖や九谷たちインターハイ組が強行出場することで静かになった観客席には、試合を終えたばかりの栄泉船橋の選手たちがやってきていた。

先の関東大会では久乃木学園の連覇を阻んだ経緯があるが、こちらは穏やかな交流が生まれているようだ。

「さよなら私のクラマー」(新川直司)33話より、ロールケーキを配る井藤
(「さよなら私のクラマー」33話より)

「久乃木の天才ちゃん」こと井藤春名が、彼女たちの心をつかむことに成功している場面も見られる。

相手の興蓮館を知る者として、特に浦川キャプテンの解説役としての姿も期待できるだろう。

序盤は静かな立ち上がりとなったが、興蓮館にとっては確認のための時間。

事前情報とのすり合わせをおこないその後の対応に活かしてくる。

「さよなら私のクラマー」(新川直司)33話より、健闘するワラビーズの守備陣
(「さよなら私のクラマー」33話より)

相手が無名のチームでも侮ってくる事は期待できなさそうだ。

そもそもカツオちゃんこと高萩数央が監督を務める学校である。

以前、深津監督を訪ねてきた彼に直接指導してもらったことすらあった。

ワラビーズの個々の能力も把握されていると考えたほうがいい。

「さよなら私のクラマー」(新川直司)33話より、雑なチームかと思ってた
(「さよなら私のクラマー」33話より)

インハイ得点王の来栖も、普段の高飛車な態度とは違い、堅実なプレーをしてきそうな印象。

栄泉船橋の国府のように絶対的なエースとしてではなく、おそらくは彼女の代わりを務められる選手もいるはず。

引率を任されていた3年生の藤江が本来のエースなのだと思われるが、怪我で不在にも関わらず、全国制覇は当然と高萩監督に言わせる高いチーム力を持っている。

それはインハイ組の1年生・九谷のこんな場面にも表れている。

「さよなら私のクラマー」(新川直司)33話より、恩田からボールを奪う九谷
(「さよなら私のクラマー」33話より)

フットサル大会の時のリベンジを狙う彼女のポジションは、深津監督に言わせると効果的な恩田対策になっているという。

攻撃時と守備時でのシステム変更が肝らしいのだが、付け焼き刃でもなく、更にバリエーションがあるのだろうと考えると不気味なチームである。

浦和戦での情報と九谷の思いを知る高萩監督の計算通りの展開としてならば、やりにくい戦いになりそうだ。

「さよなら私のクラマー」(新川直司)33話より、興蓮館のもとエース
(「さよなら私のクラマー」33話より)

ちらっと出てきた藤江の過去のエピソードも気になる。

彼女は、無名校だった興蓮館を全国レベルに引き上げた張本人だった。

その姿に憧れて入学してきた選手も多いのだろうね。

そして、彼女が高萩監督の元にいるのにも意味がある。

怪我のために道を絶たれた元スター選手は、かつての深津監督と重なる。

将来的な復帰はともかく、再び高校サッカーのピッチに立つことはないだろう。

蕨青南訪問の理由には、その事の相談もあったのかも知れないね。

あとがき

小手調べ中とは言え、蕨青南の守備の成長が見て取れるのもいいね。

今月は最新の単行本8巻の発売が控えている。

今回の扉絵で使用された国府と越前のイラストが表紙。

 

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「赫のグリモア」6話(A-10)魔導士同士の戦い

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「赫のグリモア」(A-10)6話より、若葉を機構に勧誘する総帥

「赫のグリモア」はA-10(エーテン)による漫画作品。

別冊少年マガジンで2018年9月より連載を開始した。

あかずきんの絶体絶命のピンチに駆けつけた若葉だったが。

 

前回はこちら。

魔導士同士の戦い

親指姫の契約者だった書の魔導士・丸谷の処遇をめぐり対立する竜胆とあかずきん。

竜胆の奥の手である「輝夜」の登場でピンチに陥ったかと思われたが、既の所で若葉が駆けつける。 

「赫のグリモア」(A-10)6話より、あかずきんの超回復
(「赫のグリモア」6話より) 

星河管理官の話によると、魔力供給源である魔導士の心体が整っていることが戦いに大きく影響するらしい。

要するに、最強の魔獣あかずきんが本領発揮できるかどうかは、若葉にかかっていると言っていいだろう。

彼女自身が心身ともに強くなければいけないということ。

だからこそ機構が介入しようとする意味がある。

今回の丸谷のように魔獣を略奪しようと試みる者が再び現れる可能性は高い。

だがその時に対処できなければ個人の問題では済まない事態に発展するはずだ。

「赫のグリモア」(A-10)6話より、あかずきんと若葉の約束
(「赫のグリモア」6話より) 

結果的に、この騒動は魔導士の力と魔獣との結びつきの意味を見せつけることにもなった。

誰に?

年端も行かない少女が、強力な魔獣と契約することに懐疑的な者たちにである。

パフォーマンス的にとは言い過ぎかもしれないが、近いところは狙っていたのではないか。

「赫のグリモア」(A-10)6話より、結果に満足な星河管理官
(「赫のグリモア」6話より) 

星河管理官、この人は黒い。黒いよ。

奥の手を見せてないのはこの人も同じだろうしね。

けれども若葉にとっては頼れるお姉さん的な立場になる余地も十分に考えられる。

かわいがられるか、手懐けられるかの違いはあっても今後の窓口として重要なポジションになりそうな気もする。

「赫のグリモア」(A-10)6話より、若葉の素質を認める星河美冬管理官
(「赫のグリモア」6話より) 

機構側としても、あかずきんとその契約者を味方に引き入れられるのなら大歓迎だろう。

そしてその先にある目的とは何か。

ラストで衝撃的な事実も判明し、ここにきて物語のおおまかな流れが分かってきた感じ。

 

今月は単行本1巻が発売された。売れてます。

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「くノ一ツバキの胸の内」2巻(山本崇一朗)ツバキ、恋を知る? あかね組に転入生も登場。

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「くノ一ツバキの胸の内」は山本崇一朗による漫画作品。

ゲッサンで2018年より連載を開始した。

表紙はツバキと医療班の申班メンバー。特に真ん中のモクレンは今回出番が多い。

 

『からかい上手の高木さん』テレビアニメ2期の制作が決定してますます勢いを増す山本崇一朗ワールド最新作!

男子禁制の里で生きる女の子忍者たちの日常譚! 男の人との接触を禁じられている見習いくノ一たち。そんなあかね組の戌班(イヌはん)のリーダー・ツバキは優秀な見習いくノ一であるものの、禁じられた存在であり、見たコトもない男の人がどうにも気になってしまい…!? 第2巻もキュートなくノ一たちが目白押し! アナタのお気に入りのくノ一を見つけてください!!

(「くノ一ツバキの胸の内(2) (ゲッサン少年サンデーコミックス)」より)

 

前回はこちら。 

ツバキ、恋を知る?

忍の里で暮らすあかね組のくノ一たちは、男という生き物の実態を知らない。

彼女たちを指導する先生たちに、関わってはならない恐ろしい存在だと言い聞かせられてきたからだ。

それでも、口にするのも憚られる未知の生物について、好奇心旺盛な彼女たちの興味を抑えこむのは容易ではない。 

「くノ一ツバキの胸の内」(山本崇一朗)2巻より、恋という言葉がある
(「くノ一ツバキの胸の内」2巻より)

噂に上ることが多くなってきたその真相に、実力でたどり着ける者は出てくるのか。

今回、警戒心を再認識させるために企画されたのは鬼ごっこ。

男である鬼に扮した先生から逃げ切るか髪紐を奪えば勝ち、捕まれば夕食抜きという過酷な訓練であった。

中には高度な術を使えるようになっている生徒もいるものの、まだまだ先生との実力差は大きいようだ。 

「くノ一ツバキの胸の内」(山本崇一朗)2巻より、逆さ吊りされるベニスモモ
(「くノ一ツバキの胸の内」2巻より)

ツバキと互角に戦える実力を持つベニスモモも、先生には手も足も出ない。 

ここまでするのはよっぽどのことがあったのだろう。

どうやら、あかね組・あおい組ともに協議の上での決めごとらしいのである。

その回想シーンの先生らしき人物の動向が気になる。

彼女の個人的な感情が大きな理由になっているのではと思っていたのだが、それだけではないようで…

秘密を知らされたツバキは、また違う悩みが増えてそうである。

仮面の転入生

「くノ一ツバキの胸の内」(山本崇一朗)2巻より、男に間違われるボクっ娘転入生
(「くノ一ツバキの胸の内」2巻より)

あかね組に転入生がやってきた。

極度の人見知りで、常に面をかぶっている変わり者。

男がいる里で育ち、みんなの注目を集めそうなこともあり、ツバキが面倒を見ることになる。

つきっきりの状態に、不満そうなサザンカのこの表情。

「くノ一ツバキの胸の内」(山本崇一朗)2巻より、転入生が気に入らないサザンカ
(「くノ一ツバキの胸の内」2巻より)

大好きな姉さまを取られたことに加え、怪しげなお面姿を訝しんでいるのかと思いきや、彼女の内弁慶ぶりが露呈することに。

今後も戌班に所属するようで、この人見知り同士の関係がどうなっていくのかも楽しみである。

サザンカがちょっとお姉さんぽくなるのかな?

彼女のツンデレ部分が生かされる展開を期待したい。

「くノ一ツバキの胸の内」(山本崇一朗)2巻より、転入生リンドウの素顔
(「くノ一ツバキの胸の内」2巻より)

お面の下の素顔は実は、という展開。

男として育てられることが向いていなかったのは、この容姿のせいもあるのかもね。

 

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「きみが死ぬまで恋をしたい」6話(あおのなち)はじめてのともだち

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「きみが死ぬまで恋をしたい」(あおのなち)6話より、ミミの秘密は他言無用

「きみが死ぬまで恋をしたい」はあおのなちによる漫画作品。

コミック百合姫で2018年8月より連載を開始した。

次第に仲良くなってきたシーナとミミには、触れてはいけない秘密が存在して…?

 

前回はこちら。

はじめてのともだち

ミミの転入から1ヶ月ほどが経ち、彼女も今の環境に馴染んできた。

身だしなみや部屋の片付けといったことは苦手なようだが、朝はシーナよりも早く起きるし食べ物の好き嫌いもない。

授業もそこそこ付いて行けていると言っていいのかどうか。

この辺は普通の学校生活のようである。

「きみが死ぬまで恋をしたい」(あおのなち)6話より、シーナとミミの朝の準備
(「きみが死ぬまで恋をしたい」6話より) 

シーナが保護者代わりという点は相変わらずだけれど、ちょっと手の掛かる妹くらいに落ち着いてきている。

それでもフラン先生の検査は割とあるようで、体調管理には学校側も気を使っているのだろう。

そのことに関してはシーナには先生の面倒見の良さとして映っている節がある。

ミミに直接質問をしたこともあった。

「きみが死ぬまで恋をしたい」(あおのなち)6話より、フラン先生との親子疑惑
(「きみが死ぬまで恋をしたい」6話より) 

彼女は先生のことをオッサンと呼ぶのである。

ここはやはり気になるところ。

単純に性格がおっさんという可能性もあるが、名前がフランである点が後々に効いてきそう。

ミミも先生の正体を知るからこその言葉と思われる。

見た目は当てにならないのかもね。

 

これまで他の生徒との接触を禁じられてきたミミが、ルームメイトであるシーナに懐くのは自然な流れであった。

「きみが死ぬまで恋をしたい」(あおのなち)6話より、シーナはミミのはじめてのともだち
(「きみが死ぬまで恋をしたい」6話より) 

なので、二人の関係に友達というワードが使われた時の喜びようといったら、思わずベッドから飛び起きるほど。

彼女は友達ができることにあこがれを持っていたらしい。

ただし具体的にどういうものかはわかっていない様子。

招集がかかっていない時はいつも行動を共にしているし、ルームメイトとしても仲がよく、それ以上の関係を友達として求めるのはたしかに難しい。

「きみが死ぬまで恋をしたい」(あおのなち)6話より、ともだちだけに教える秘密
(「きみが死ぬまで恋をしたい」6話より) 

他の人とは違う特別なこととは何か?

ミミなりに友達感を出そうと頑張っているのだが、ちょっとまずい流れになってきそう。

 

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「とんがり帽子のアトリエ」28話(白浜鴎)残された希望は前例のない試み?

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「とんがり帽子のアトリエ」(白浜鴎)28話より、つばあり帽イグイーンの接触

「とんがり帽子のアトリエ」は白浜鴎による漫画作品。

月刊モーニング・ツーで2016年7月より連載を開始した。

つばあり帽の魔法で鱗狼の姿に変えられてしまったユイニィを助ける方法は見つかるのか。 

 

前回はこちら。

魔法使いを目指すことになったココは、キーフリーに弟子入りする。ある日、同じ弟子であるアガットとリチェ達が「第2の試験」を受けることに。だが、試験中に「マントのつばあり帽」の妨害が入り、一緒に試験を受けていたユイニィは鱗狼の姿に変えられてしまう。どうやら「マントのつばあり帽」は、ココにユイニィを救うための禁止魔法を使わせようとしていることがわかり――。

(「前回までのあらすじ:とんがり帽子のアトリエ」より)

前例のない試み

アライラを送り出したココたちは、ユイニィの変貌した姿を目の当たりにする。

言葉の届かない鱗狼となった彼を救い出す手立てはあるのか。

アガットの推測では、つばあり帽たちはココに禁止魔法を使わせることが目的なのではとのことだった。

仲間を助ける方法が禁止魔法の使用しかないとなれば、ココは自らの危険を顧みない判断をするかもしれない。

だがそれは、とんがり帽子の魔法使いたちにとって許されない行為である。

「とんがり帽子のアトリエ」(白浜鴎)28話より、ユイニィを元に戻す希望はある?
(「とんがり帽子のアトリエ」28話より)

それでも希望が残されているとすれば、ユイニィを元に戻せる可能性がゼロではないという点だろう。

つばあり帽たちには、失われた魔法の存在を世に知らしめたいという目的がある。

そのために特別な立ち位置のココを味方に引き入れたい。

となれば、まずはココ自身に禁止魔法の素晴らしさを体験させることが早道なはず。

でも今のココには仲間がいて、背負っているものもある。 

「とんがり帽子のアトリエ」(白浜鴎)28話より、トリプルテールのティアに変身!
(「とんがり帽子のアトリエ」28話より)

まずは自分たちにできることから始めるしかない。

こんな時にムードメーカーのテティアの存在は頼りになる。

怖がりなのに、周りを元気づけるために明るく振る舞うことができる貴重なキャラ。

そこからうまく回っていくのだから、いいチームになったよね。

もちろんフデムシも。 

「とんがり帽子のアトリエ」(白浜鴎)28話より、アピールするフデムシ
(「とんがり帽子のアトリエ」28話より)

自分たちの知っている魔法で役立てられるものがないか、片っ端から描いていくのだが、これまで登場した魔法陣のまとめにもなっている。

発想次第では、基本の魔法でも化けるものが出てくることもあるかもしれない。

そして、こういうアイデアは魔法の常識にとらわれないココが得意。

このあたりドラゴンとの対決の時を思い出すね。

「とんがり帽子のアトリエ」(白浜鴎)28話より、魔法の効果だけ消せないかな?
(「とんがり帽子のアトリエ」28話より)

ユイニィにかけられた魔法を見つけて、その逆の効果を持つ陣を重ねれば魔法を打ち消すことができるのではないかとの案。

これならば禁止事項に触れずに解決することができることが。

かつてキーフリーが言っていた「元の魔法陣がわかれば助けられるかもしれない」との言葉を思い出してのもので、ココの母親を助けるための望みでもあった。

前例がなく、どうなるかはわからない。 

だからこそやって見る価値はある。

「とんがり帽子のアトリエ」(白浜鴎)28話より、ユイニィに反転魔法を試みる
(「とんがり帽子のアトリエ」28話より)

三人と一匹の連携によるユイニィ救出作戦が始まった。

はたして結果は? 

あとがき

シリアスなロモノーン編もいよいよクライマックスへ。

リチェが合流してからの展開に期待したい。

 

「魔王城でおやすみ」10巻(熊之股鍵次)人質の姫は先代魔王の隠居生活に興味津々

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魔王城でおやすみ(熊之股鍵次)10巻 (少年サンデーコミックス)

「魔王城でおやすみ」は熊之股鍵次(くまのまた かぎじ)による漫画作品。

週刊少年サンデーで2016年より連載を開始した。

 

姫を父上に会わせるわけにはいかん!

カリスマ先代魔王・ウシミツの隠居先を訪ねることになった魔王・タソガレ一行。今回ばかりは人質同行なんて以ての外! スヤリス姫には内緒で出発するべく、情報統制に奔走する魔王の背後で、姫は思った… 「秘密の隠居生活…絶対見学したい!!」 姫の本気すぎる情報収集が始まる…!? 魔物のみなさん、いっつもご苦労様…な第十巻!!

(「魔王城でおやすみ(10) (少年サンデーコミックス)」より)

 

前回はこちら。

アラージフの家出

スヤリス姫が魔王城へやってきてから、そろそろ2年の月日が経とうとしている。

暗闇に閉ざされたこの地で囚われの姫にできることと言えば、勇者の救出を待ちながら泣き暮らすくらいであるかと思われた。

だが人間の姫は予想外にたくましく、自身のために快適な環境を手に入れた。

中でも、禁断の魔導書アラージフの存在は欠かせなかっただろう。

魔族を滅ぼせるほどの大きな魔力を持ち、姫がその力を行使することを望んでいる。

が、なかなかその気にならない姫に痺れを切らしていたようだ。

「魔王城でおやすみ」(熊之股鍵次)10巻より、姫の日常を目の当たりにする禁断の魔導書
(「魔王城でおやすみ」10巻より)

今回、アラージフが自らの力を活かせる人材を求めて城からの脱出を図る。

その道中で彼が見たものは…

想像もしていなかった姫のアクティブな日常であった。

これまで強力な魔法を身に付けた姫がやってきたことと言えば、ハチ型魔物を殲滅してハチミツを採取したり、城全体を眠らせてお昼寝してみたり、同じく幼児化させてお姉さん気分を味わったりという平和そのものの活動なので、知らなかったとしても無理もないかもしれない。

魔法無しでも魔族を滅ぼせそうなその姿。

決して行動に出る勇気がないわけではないが、まだその時ではないのだろう。

姫の方でも魔導書が不要とは思っていないようで、持ち運びしやすいように手製のブックカバーを用意してくれていた。

むしろ出番も増えそうな展開に、アラージフもまんざらでもなさそう。

「魔王城でおやすみ」(熊之股鍵次)10巻より、禁断の魔導書の使い方
(「魔王城でおやすみ」10巻より)

ある意味頼りにされていることも分かり、もうしばらくは姫の側にいることだろう。

先代魔王の隠居所へ

十傑衆の一人、ハデスの住む旧魔王城が崩壊の危機にあるという。 

補修には先代魔王ウシミツの魔力が必要で、隠居中の元魔王に会いに行くことになった。

現魔王タソガレにとっては父にあたるが、代替わりした今でもやはり怖いものらしい。

人質の姫に好き勝手されている事実を知られるわけにはいかないのである。

「魔王城でおやすみ」(熊之股鍵次)10巻より、姫のおとなしいのイメージ
(「魔王城でおやすみ」10巻より)

ところが、「隠居」という言葉に惹かれた姫が勝手についてきて…

魔物として紹介しようとする「すやすや作戦」も、いつになく気を遣った姫の行動で裏目に出る。

隠居したとは言え魔王城幹部たちを震え上がらせるほどの威厳の持ち主で、怒らせるとただでは済まなそう。

でもこう見えて家族思いなところもあるらしい。

姫を嫁候補だと勘違いしたことによるすれ違いの親子対決も激しいものであった。

こうなると魔王の母はどんななのか気になるね。

タソガレもファザコンぽいところが見られるのであるいは…

「魔王城でおやすみ」(熊之股鍵次)10巻より、先代魔王の愛犬とくつろぐスヤリス姫
(「魔王城でおやすみ」10巻より)

結局いつものように寛いでいる姫だが、犬を飼いたい欲が高まったようだ。 

これで父親公認の存在に? 

あとがき

今回から電子書籍版でカラー部分もそのまま再現されることになった。 

あとは表紙の全体絵も収録してくれるといいな。

 

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2019年2月に読んだおすすめ漫画まとめ

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2019年2月に読んだおすすめ漫画まとめ

2019年2月に読んだ中で、おすすめの漫画をいくつか紹介する。

今月の注目作は、最終回を迎えた「甘々と稲妻」と1巻が発売された「赫のグリモア」。

 

前回はこちら。

「サマータイムレンダ」5巻(田中靖規)

人口数百人の島で起こる怪現象「影の病」。

姿と記憶をコピーした何者かが住人と入れ替わっていくSFサスペンス。

幼なじみの死をきっかけに帰省した慎平は、島の壊滅までの数日間を繰り返しながらその謎に迫っていく。

5巻は、窓(そう)や潮(うしお)と一緒に閉鎖された菱形医院の旧病棟へ忍びこむ。

14年前の事件でも今回の事故でも死因の隠蔽が行われていて、院長が何かを知っている可能性が高い。

「サマータイムレンダ」(田中靖規)5巻より、旧病棟に忍び込む慎平たち
(「サマータイムレンダ」5巻より)

彼らはここで、重要な秘密を知るのかもしれない。

だとすれば危険度は高いはずで…

「甘々と稲妻」12巻(雨隠ギド)

高校教師の犬塚公平と娘のつむぎが、花見の公園で出会った少女・飯田小鳥と始めたごはん会から月日が流れ、それぞれの道を歩み始める。

今回はついに最終巻。

料理屋「恵」のリフォームや小鳥の進学で機会は少なくなったけれど、節目ごとにごはん会は開かれていくようで…

一度、本編最終回を迎えた後に番外編としてその後の彼らの様子も描いている。

「甘々と稲妻」(雨隠ギド)12巻より、未来のごはん会
(「甘々と稲妻」12巻より)

以前、「つむぎが中学生や高校生になって成長していくところも見ていたかった」と書いたが、ちゃんと見ることができるし、さらにその後まである。

つむぎも小鳥より背が伸びたかもね。

もう続きが読めなくなるのは寂しいけど、期待以上の終わり方だった。

「赫のグリモア」1巻(A-10)

亡くなった曾祖母から受け継いだ屋敷の地下に繋がれていた少女あかずきんと出会った若葉は、かつて曾祖母が魔女だったと聞かされる。

魔導書(グリモア)と契約し、人類史を存続させる役目を負った「書の魔導士」と呼ばれる存在。

その血を引く若葉に、自分を自由にするよう要求するのだった。

事態をうまく飲み込めないまま、しかし確実に魔導士たちの戦いに関わることになっていく。

「赫のグリモア」(A-10)1巻より、若葉とあかずきんの追いかけっこ
(「赫のグリモア」1巻より) 

悪い顔の似合うあかずきんだが、若葉とバディになっていく様子がいい。

 

「姫乃ちゃんに恋はまだ早い」1巻(ゆずチリ)

小学4年生の相川姫乃は恋をしている。

隣の席の堂本逢司くんに、それとなくアピールをしてみるものの、なかなか気付いてもらえない。

その一番の理由は、彼には恋愛がまだよく分かっていないためである。

「姫乃ちゃんに恋はまだ早い」(ゆずチリ)1巻より、そんなに私を攻略したいんだー
(「姫乃ちゃんに恋はまだ早い」1巻より)

ツンデレ気質の姫乃ちゃんのことは、むしろ怖い女子だと思っていたりする。

完全に片思いなのだけど、相手を振り向かせようと頑張っている姿は健気であるし、少しずつ仲良くなっていく様子は微笑ましい。 

数年後には恋人同士になっているんじゃないかと思われるが、今の関係もいい思い出になるんだろうね。

その頃には気の利く男の子になっているのだろうか。

「くノ一ツバキの胸の内」2巻(山本崇一朗)

忍の里の学園に通うくノ一たちの日常を描くコメディ作品。

女子クラスのあかね組の生徒たちは、男と呼ばれる生き物を見たことがない。

先生たちに恐ろしい存在であると教えられてきたからであるが、かえって想像は膨らんでいくもので…

2巻では、男も住む里から転入生がやって来た。

極度の人見知りで、お面を常に手放さないこともあり、実は男なのではないかと噂になってしまう。

「くノ一ツバキの胸の内」(山本崇一朗)2巻より、リンドウが女の子である証拠
(「くノ一ツバキの胸の内」2巻より)

戌班のリーダー・ツバキが世話役を任されることになるが、みんなの誤解を解くことができるのか。

顔さえ見せれば一目瞭然なのだけど…

「あつもりくんのお嫁さん(←予定)」2巻(タアモ)

自ら望む未来のために一人上京してきた錦と、オレ様ツンデレキャラの敦盛によるラブコメディ。

2巻は、敦盛の母の嫁探しを止めさせるために協力することになった。

食事会が終わるまで、彼女(仮)としての立場である。

「あつもりくんのお嫁さん(←予定)」(タアモ)2巻より、彼女(仮)になった錦
(「あつもりくんのお嫁さん(←予定)」2巻より) 

仮とは言え、連絡も増えて喜ぶ彼女だったが、相手のことを考えずに自分の気持を押し付けすぎていたのではないかとも考えてしまう。

その点は確かな成長が見られる部分だけれど、彼女の魅力はその積極性にあるので、 勢いは失わないでほしいよね。

なお、クラスで初めての友達もできた模様。

「五等分の花嫁」8巻(春場ねぎ)

学年一位の秀才が、家庭教師として教えることになった相手は、同級生の五つ子たち。

8巻は、三玖・一花に続き二乃が参戦。

「五等分の花嫁」(春場ねぎ)8巻より、二乃の告白
(「五等分の花嫁」8巻より) 

しかも、告白まで済ませるという点では二人より一歩リードしたとも言える。

このギャップは破壊力高いぞ。

試験の赤点回避はクリアしたものの、五つ子たちの父親との関係は険悪で立場は危ういものになりさらには関係解消の提案まで飛び出した。

フータローは彼女たちを高校卒業まで見届けることができるのか。 

 

1月からのアニメ化もあり、累計300万部を突破したとのこと。

「さよなら私のクラマー」8話(新川直司)

高校女子サッカーを舞台に、弱小蕨青南高校で奮闘する選手たちを描く群像劇。

8巻は、インターリーグ準決勝の栄泉船橋戦も後半残りわずか。

深津監督の策は、恩田と曽志崎のポジションチェンジだった。

これにより、恩田・越前コンビと国府の対決が実現する。

恩田に期待されているのはもちろん守備ではないが、この光景を見ることができたのはうれしい。

「さよなら私のクラマー」(新川直司)8巻より、恩田・越前コンビの実現
(「さよなら私のクラマー」8巻より)

越前のデビュー戦でのフォローとともに、彼女自身のブレイクスルーのきっかけになるかもしれない。

「魔王城でおやすみ」10巻(熊之股鍵次)

魔王城に囚われた人間の姫が、快適な眠りを求め奮闘するファンタジーコメディ。

10巻は、旧魔王城の修復のために先代魔王を訪ねることになった。

先の戦いにおいて人間たちから魔界を守った英雄で、隠居した現在もなお魔王や幹部たちが恐れる存在である。

人質の姫が城内で好き勝手しているなんて知られるわけにはいかない。

そこで魔物として紹介することにしたのだが、それが誤解をまねくことに。

「魔王城でおやすみ」(熊之股鍵次)10巻より、姫を嫁と誤解した先代魔王
(「魔王城でおやすみ」10巻より) 

リフォームのお願いが、結婚の許可をもらいにいったみたいになってしまっていた。

要望を受け入れてもらうことはできるのか。

「ぼっち・ざ・ろっく!」1巻(はまじあき)

コミュ障で友達のいない高校生・後藤ひとりは、動画サイトに演奏動画を投稿しているギター少女。

中学時代からプライベートの多くの時間を練習に費やしてきたこともあり、今では知る人ぞ知る存在になっていた。

バンドを組んでみたい気持ちはあるものの、その性格が災いして音楽の話をできる相手もできないままなのである。

ある日、ライブで欠員の出たバンドのヘルプに誘われてしまい…

「ぼっち・ざ・ろっく!」(はまじあき)1巻より、イキってすみません
(「ぼっち・ざ・ろっく!」1巻より) 

人前で演奏するどころか、セッションすら初めてな彼女なので前途多難。

いやその前にコミュニケーションか。

ビビリのくせにすぐ調子に乗るぼっちちゃんがかわいいのである。

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「空電の姫君」3話(冬目景)噂のガールズバンド

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「空電の姫君」(冬目景)3話扉絵(保坂磨音)

「空電の姫君」は冬目景による漫画作品。

月刊バーズで2016年より「空電ノイズの姫君」として連載を開始、同誌の休刊に伴い2019年よりイブニングへ移籍した。

 

前回はこちら。

噂のガールズバンド

保坂拓海には5年ほど付き合っている一回り年下の恋人がいる。

磨音が小学生の時から知っていて、父が仕事で忙しい時は代わりに面倒をみてくれていたこともあったようだ。

彼女は音楽雑誌の編集者で、アルタゴをはじめ若手のバンド情報などにも詳しい。

そんな彼女の職場で話題になっていたバンドがある。

「空電の姫君」(冬目景)3話より、チサトの職場でも話題のガールズバンド
(「空電の姫君」3話より) 

「DACE」という名で昨年活動を始めたばかりの大学生たちだという。

磨音の初ライブ時に登場したスリーピースのガールズバンドで、彼女のトラウマの原因となったことは記憶に新しい。

ライバルとなるのかはわからないが、アルタゴにとってモチベーションを高めてくれる相手であるのは間違いない。

拓海の昔のバンドと魚つながりなのは何か意味があるのかどうか。

そして今回のやりとりでチサトのフルネームが仙波千諭(せんば ちさと)と判明した。

メガネ少女再び

「空電の姫君」(冬目景)3話より、夜祈子と盗撮カメラ少女
(「空電の姫君」3話より) 

磨音たちの通う高校に、夜祈子の写真を撮りまくるメガネ少女がいたことを覚えているだろうか。(1巻参照)

盗撮の割にはやけに堂々としているのが印象的だった。

近距離からいい表情を捉えてはいるが、これを残せる可能性は低いだろう。

世間は狭いもので、彼女は日野の妹の友人らしく、身元を抑えつつ確保することに成功する。 

「空電の姫君」(冬目景)3話より、アルタゴのサイトリニューアル
(「空電の姫君」3話より) 

お仕置きの代わりに、カメラマンとして仕事をさせてやろうという寛大な処置。

アルタゴのダサいサイトのページをリニューアルする貴重な人材を手に入れることができたようだ。 

今後口コミが広がってくるならば、見られる機会も増えてくるかもしれない。

夜祈子が第4のメンバーみたいになってきているね。

「空電の姫君」(冬目景)3話より、DACEとの対バンが決定
(「空電の姫君」3話より) 

次のライブの日も近づいてきて、対バン相手の中に、例のDACEが含まれていることが判明した。 

気負いすぎてるように見えるのは心配だけど、向こうにも磨音を気にかけていてくれていたメンバーがいたはずなので、うまく交流できるといいんだけど。

 

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「それでも歩は寄せてくる」(山本崇一朗)“将棋のやつ” が連載化! 詰みそうで詰まない恋の行方が気になるラブコメディ

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新連載「それでも歩は寄せてくる」(山本崇一朗)1話扉絵

「それでもあゆむは寄せてくる」は山本崇一朗による漫画作品。

週刊少年マガジンで2019年3月より開始した。

Twitterで「将棋のやつ」として公開されていたシリーズの連載化である。

 

1話目は、流れは基本そのままだけれど先輩のデレ度が高くなっている気がする。 

将棋部の日常

自称将棋部部長の八乙女うるしと後輩の田中歩は、放課後一緒に将棋を指すことを日課にしている。

人数が足りていないので正式な部ではなく、二人しかいないのだが、むしろそれは歩にとって好都合であった。

「それでも歩は寄せてくる」(山本崇一朗)1話より。将棋部の二人
(「それでも歩は寄せてくる」1話より)

先輩との時間を独り占めできる貴重な機会。

彼は先輩に恋をしていた。

彼女が大好きな将棋で勝って、告白することを心に決めている。

そのため、それまで好きだということは決して認めようとはしないのだ。

「それでも歩は寄せてくる」(山本崇一朗)1話より、好きだと認めたらご褒美
(「それでも歩は寄せてくる」1話より)

根が素直なので先輩がかわいいことは否定しないし、むしろ積極的に言及していくスタイル。

それでいて好きなのかという話になるとうまいことはぐらかすのである。

そのことが、先輩を悶々とさせてもいるようで…

好きだと認めさせるためだけにこの対応。

ちょっと天然入ってるかもしれないが、彼女の方もまんざらではないということだろう。

この状況を断る理由など存在するだろうか。

「それでも歩は寄せてくる」(山本崇一朗)1話より、誘惑に打ち勝つ後輩
(「それでも歩は寄せてくる」1話より)

超硬派。

精一杯の照れ隠しなのだろうが、これをさらっと流すのは至難の業である。

客観的に見れば彼が先輩のことを好きなのは明らかなのであるが、きちんと伝えることができるようになるのはまだ少し先のようだ。

そのうち出てくるかもしれないが、図書委員のカップルとの部への昇格を絡めたエピソードが好きなので登場を楽しみにしたい。

 

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「さよなら私のクラマー」34話(新川直司)興蓮館と藤江姉妹

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「さよなら私のクラマー」(新川直司)34話より、藤江宇海は興蓮館そのものだった

「さよなら私のクラマー」は新川直司による漫画作品。

月刊少年マガジンで2016年5月より連載を開始した。

34話は興蓮館の藤江姉妹のエピソード。

 

前回はこちら。 

何とか戦える?

インターリーグ決勝の興蓮館戦、全国を制したばかりのチームを相手にどこまで通用するのか、蕨青南にとっては自分たちの成長を確認できるチャンスである。

もちろん負けるつもりなどないが、このクラスの相手と試合できる機会はそうそうないだろう。

冬の選手権へ向けて大きく前進するためにも白熱した試合を期待したいところ。

「さよなら私のクラマー」(新川直司)34話より、カツオちゃんの知らない蕨青南の成長
(「さよなら私のクラマー」34話より)

懸念があるとすれば、敵の高萩監督がこちらの選手たちの能力を把握していることだが、彼女たちの動きも見違えるものになっているようだ。

当時は県予選の直後で燃える能見コーチがチームの強化に乗り出していたし、苦手な守備を深津監督に丸投げしていた時期。

今大会での躍進の一番の要因である守備陣の進化を、この試合で知ることになるはず。

事前情報と異なるのはお互い様か。

興蓮館と藤江宇海

興蓮館はバランス型のチーム。

久乃木や栄泉船橋のような特化型にはそれぞれ劣るものの、高いレベルで柔軟に使い分けることができることが強さの秘密らしい。

「さよなら私のクラマー」(新川直司)34話より、久乃木学園こそ理想
(「さよなら私のクラマー」34話より)

今回は、その強い興蓮館を作り上げた藤江宇海(ふじえ うみ)の過去が明らかになる。

中学時代までの彼女は、常勝久乃木学園に憧れるサッカー少女だった。

むしろ鷲巣監督のファンだった。

日本が目指すべき理想を体現しているチームとして、彼女の中では特別な存在だったようだ。

その思いが強すぎたためか性格のためか、久乃木学園へ入学して活躍する道よりも、久乃木学園と戦う立場を選ぶのである。

しかも無名校への進学というおまけ付き。

高萩監督の就任が決め手になったのだとは思うけれど。

案外、恩田のように近いから選んだという線もあったりして…

「さよなら私のクラマー」(新川直司)34話より、藤江梅芽は正真正銘の天才
(「さよなら私のクラマー」34話より)

監督との相性はよかったのだろう。

入学してすぐに頭角を現し、後輩たちへの指導も熱心に行っていたという。

特に、パートナーとして鍛えられた来栖は、彼女のことを羅刹と形容するほどである。

それでも皆に慕われているのは、率先して結果も出してきたからなのだろうね。

その甲斐もあり、2年時には夏・冬ともに久乃木と日本一の座をかけて戦うことができた。

夢の達成まであともう一歩。

「さよなら私のクラマー」(新川直司)34話より、梅芽の才能が発揮される
(「さよなら私のクラマー」34話より)

そして最後の差を埋める鍵となるはずだったのが、彼女が正真正銘一握りの天才と認める妹の梅芽(うめ)の存在である。 

日本一は達成したものの、相手が久乃木学園でないことには、藤江の意思を継ぐチームメイトたちも納得はしないだろう。

打倒梶に燃える来栖なんかは特にそう。

今度の冬の選手権が宇海の在学中ラストチャンスである。

ここで立ち止まるわけにはいかない。

 

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「赫のグリモア」7話(A-10)『機構』の本部へ

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「赫のグリモア」(A-10)7話より、大麦若葉が機構へ参加

「赫のグリモア」はA-10(エーテン)による漫画作品。

別冊少年マガジンで2018年9月より連載を開始した。

魔獣あかずきんと契約して書の魔導士となった若葉に謎の訪問者。

相手は曾祖母茜の知人らしいのだが…

 

大麦若葉は「魔獣」赤ずきんと死闘の末に契約。彼女は絵を具現化する力で人々を守る「書の魔導士」の使命を曾祖母から引き継ぐ。そんな中あかずきんを捕らえるべく魔導士の組織『機構』(ゲゼルシャフト)が現れた。若葉はあかずきんを守ろうと『機構』と対立。逆にその素質を買われ、組織へとスカウトされたが…!?

(前回までのあらすじ:「別冊少年マガジン 2019年4月号」より)

 

前回はこちら。

大麦茜の死の真相

慌ただしい一日を終えた若葉たちは、ようやく家に帰ることができた。

あかずきんとの出会いから魔導士の襲撃、『機構』との接触と立て続けに起こる出来事。

それまで何も知らなかった若葉の周囲で、急激に何かが動き出している。

彼女が曾祖母の後を継ぎ、魔獣との契約を交わした瞬間から、こうなることはある程度予測できたはずである。

ではなぜ大麦茜は彼女を後継者として選んだのか。

もともとそのつもりであれば、生前に何らかの話があったとしても不思議はない。

「赫のグリモア」(A-10)7話より、大麦若葉は殺された?
(「赫のグリモア」7話より) 

あかずきんを隠し部屋に封印していたことや自身の絵を魔筆で描いていたことも含めて、この点は気になるところ。

できれば普通の生活を送らせてやりたかったと考えている節もあったので、これは緊急事態なのだろう。

今回はこれらの事情が茜本人(絵)の口から語られる。

彼女が天寿を全うできたなら、若葉のもとに遺言状は届かないはずだったという。

どうやら魔導士狩りをしている犯罪組織『兄弟団(フラタニティ)』の手によって命を落としたらしい。

彼女の絵が描かれたのは若葉が才能の片鱗を見せた時期と重なるのだろうし、任せられるのは他にいないと考えているあたり、あかずきんに対しても大事に思っている様子が窺える。

「赫のグリモア」(A-10)7話より、機構本部を訪れる若葉とあかずきん
(「赫のグリモア」7話より) 

もし若葉が十分に成長する前にその時がやってきたら、と考えると、『機構』が接触を図ってきたのも生前の茜との打ち合わせ通りなんだろうね。

組織による保護と、能力不足と判断した場合には権限を移譲する手筈にもなっていたのではないか。

結果として、若葉は『機構』の一員として『兄弟団』と戦うことになっていくのだろう。

才能はあっても初心者である若葉には基礎から学ぶ機会は必要だし、茜(絵)がずっと側に付いているわけにもいかないだろうし。

絵の保持期限はまだ言及がないが、描く者の魔力によるのかもしれない。

「赫のグリモア」(A-10)7話より、機構で見習い魔導士の羽生と対面する若葉
(「赫のグリモア」7話より) 

『機構』のシステムなどは次回以降を待つとして、早速楽しそうな新キャラが登場した。

彼女は羽生乃恵瑠(はにゅう のえる)。

見習い魔導士の主席であり、竜胆にあこがれていそうな様子。 

この子が若葉に対抗していろいろやらかしてくれるんじゃないかと期待している。

「赫のグリモア」(A-10)7話より、羽生は腹黒?
(「赫のグリモア」7話より) 

いい顔するんだこれが。

学園編みたいな雰囲気もあるけど、どうなるか。

 

今月号から期間限定でコミックDAYSのもっとプレミアムプランでも読めるようになった。 

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おすすめの面白い漫画100作品をまとめてみた

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本を読む子供たち

2019/03/14 更新

 

個人的におすすめな漫画を100作品選んでみた。

このブログの好みの傾向の提示と、各ページへの入り口になればいいなと思っている。

 

前提条件は以下の通り。

  • 同じ作者の作品は選ばない
  • 連載中、完結済の区別はしない
  • ランキング形式にはしない
  • 電子書籍化されているものを中心に選ぶ

ランキング形式にしなかったのは、順位を決めるとどうしてもメジャーな作品に偏ってしまうから。

最近気になっている作品とか、マイナーだけどおすすめしたいものとか、後から入れ替えることもしやすい利点もある。

なるべく新しい作品、今読んで面白い作品を選びたいと思う。

他におすすめの漫画が出てきたら随時更新していきたい。

数字は順位ではなく見やすいように付けてみた。

1. 恋情デスペラード(アントンシク) 

西部劇を思わせる砂漠が広がる世界で、街から街へと旅を続ける女風来坊。

人呼んで「刃雷のお紋」。

銃が普及し、旅人も護身用に持ち歩く世に、時代遅れの長ドス一本。

目的は、日本一の夫を探しだすこと。

修羅道に生まれ落ち、幼い頃から裏社会で生きてきた紋子にとって、人であることを思い出させてくれたものが恋情(こいごころ)だった。

そして、恩人である「長ドスのおじさん」との日々は忘れられないものとなっている。

あのトキメキをもう一度、そして真に人になるために、彼女の旅は続く。

「恋情デスペラード」(アントンシク)4巻より、修繕費のためメイドになった紋子
(「恋情デスペラード」4巻より)

旅の理由こそ甘さを感じさせるが、その道程は波乱に満ちている。

切った張ったの世界で繰り広げられる本格スチームパンク時代劇アクション作品。

2. ホクサイと飯(鈴木小波:すずき さなみ)

一人暮らしの女マンガ家が、迫り来る締切&容赦ない編集、そして日々の「飯」と全力で取り組む姿を描いた、インドア系ご馳走マンガ

山田ブン、26歳漫画家。

「三度の飯より飯がすき」

相棒はぬいぐるみのホクサイでツッコミ役と解説を担当する。

締め切り数時間前でも料理に妥協はしない。

この清々しいほどの食への情熱はちょっと見習いたい。

ホクサイと飯(鈴木小波)「ご飯が白い!」
(「ホクサイと飯」より)

炊きたての白いご飯もいいけど、おかずも欲しいよね。 

掲載誌の休刊により全1巻。

2017年1月からのドラマ化の影響で、これまで同人誌で販売されていた未収録分「ホクサイと飯 おかわり」も含めた新装版が発売された。

現在、本作の8年前を描いた「ホクサイと飯さえあれば」を連載中である。

3. 荒ぶる季節の乙女どもよ。(岡田麿里、絵本奈央) 

小野寺和紗(おのでら かずさ)の所属する文芸部は、放課後みんなで一つの作品を読んで語り合うのが活動の中心となっている。

ある日、部内で「死ぬまでにしたいこと」が話題になった時、部員の一人が口にしたセックスの言葉をきっかけに、彼女たちはそれぞれの性に向き合い始める。

姉弟のように育ってきた幼なじみとの関係が変わり始めることを恐れる和紗、クラスメイトに言われた初めての可愛いの言葉に動揺する曽根崎先輩など、思春期の悩みに揺れる姿を描く。

「荒ぶる季節の乙女どもよ。」週刊少年マガジン特別出張篇より、女の子もするの?
(「荒ぶる季節の乙女どもよ。」より)

4. コトノバドライブ(芦奈野ひとし)

過去の風景や姿を5分間だけ見ることのできる不思議な力を持つ少女の物語。

カメラを手に入れて、古いバイクで撮影に出かける様子は前作「ヨコハマ買い出し紀行」を思い出させる。

ミートソースとナポリタンしかないスパゲティ屋ランプでアルバイトをするすーちゃんは、子供のころから時々不思議な体験をしていた。

立ち寄ったコンビニのあたりが昔は入江だったこと、バス停の名前の由来になった古い食堂の姿。

束の間、非日常の世界へ迷い込む。

セリフも少なくシンプルな絵柄でサクっと読めるんだけど、ゆっくり味わいたい漫画でもある。全4巻。 

5. 上野さんは不器用(tugeneko)

中学三年生の上野さんは、科学部部長で天才発明家。

彼女は同じ部の後輩、田中に恋をしている。

ところがこの田中、とんでもなく鈍感だった。

強気な態度とは裏腹にシャイな上野さんは、田中を振り向かせるために今日もその能力を発揮する。

携帯型濾過装置「ロッカくん」でおしっこを飲ませようとしてみたり、瞬間脱臭装置「ダッシュたん」でパンツを手に入れようとしてみたり。

少々努力の方向が間違っているが、思春期なのでしょうがない。

「上野さんは不器用」(tugeneko)1巻より、発明品を披露する上野さん
(「上野さんは不器用」1巻より)

いつも冷静な常識人の山下さんがいい味出している。

6. 大上さん、だだ漏れです。(吉田丸悠)

エロいことが気になって仕方がない大上さんと、自分に触れた人間の本音を引き出してしまう柳沼くんは、周囲に壁を作ってしまっていた。

クラスメイトに知られてしまったら、平和な学校生活に支障が出てしまうかもしれない。

そのために友達のいない二人は、お互いに友達の練習をすることになるのだった。

やがて、見た目は恐いが手芸が得意なピュア男子の松隈くんや、リア充女子の根津さんも登場し、ぼっち生活から広がっていく。

「大上さん、だだ漏れです。」(吉田丸悠)1巻より、ちんこ見せて
(「大上さん、だだ漏れです。」1巻より)

見所はやはり、大上さんの思春期真っ只中の妄想だだ漏れっぷりにある。

クラスにも友達ができて、周囲との壁が取り払われた時、二人の関係がどう変化していくのかも気になる。

7. 人形の国(弐瓶勉)

遺跡層に覆われた巨大な人工天体アポシムズ。

その中心部には超構造体の硬い殻に阻まれた地底世界があるという。

古い時代の戦争により地上に残された人々は、極寒の中を細々と暮らしていたのだが、そのうちの一つの国が力を持ち支配に乗り出した。

辺境の小さな集落で暮らすエスローは、帝国に追われているひとりの少女を救ったことにより、二つの世界を巻き込む争いに関わっていく。

「人形の国」(弐瓶勉)2巻より、帝国の正規人形と戦うエスローとケーシャ
(「人形の国」2巻より)

エスローや帝国の正規人形と呼ばれる兵士たちは、鎧化して戦うのが特徴。

強くなる条件として、相手を倒してその体に纏っている物質エナを奪い、容量を増やしていくという明快な成長方法も魅力のひとつである。

8. 化物語(西尾維新、大暮維人)

吸血鬼に魅入られた少年とその周囲に起こる怪異を描く物語。

直江津高校3年生の阿良々木暦は、とある出来事をきっかけにクラスメイト・戦場ヶ原ひたぎの秘密を知ってしまう。

彼女には、体重と呼べるものがほとんど無かった。

自らも奇妙な体験をしている阿良々木は、事態を解決できそうな人物を紹介することになるのだが…

「化物語」(西尾維新、大暮維人)1巻より、文房具を構える戦場ヶ原ひたぎ
(「化物語」1巻より)

西尾維新の人気作を、大暮維人を作画に迎え、満を持してのコミカライズ。

アニメ版が好きだった人も、そうでない人も楽しめそうな超絶クオリティである。

個人的には後者なのだが、俄然興味が湧いてきた。

9. パノララ(乃花タツ)

春波春子は空き地のドラム缶に住んでいる。

ホームレスではない、家賃は払っている。

人生を達観しているようにみえるのか、人生相談にやってくる人が後を絶たない。

商店街の皆さんとは仲がよく、婦警は友人だ。

そんな不思議な春子のちょっと変わった日常。

パノララ(乃花タツ)「聞くだけなら」
(「パノララ」より)

気の利いたことが言えるわけではないが、春子に相談することで問題は解決していく。

10. 乙女怪獣キャラメリゼ(蒼木スピカ)

子供の頃から奇妙な症状に悩まされてきた女の子・赤石黒絵。

彼女は気持ちが高ぶると身体の一部が怪獣化してしまう。

周囲との関わりを避けることで隠し通してきたのだが、ある日恋をしたことにより本格的に巨大生物へと覚醒するのだった。

「乙女怪獣キャラメリゼ」(蒼木スピカ)1巻より、怪獣ハルゴンの登場に喜ぶ真夏
(「乙女怪獣キャラメリゼ」1巻より)

南くんには秘密を知られたくないのに、特別に感じる思いが彼女の怪獣化を促進させてしまう。

この恋は容易ではない。

果たして隠し通すことができるのか、それとも知ってなお受け入れてもらえるのか。

ちなみに受け入れてくれそうな友人はできた模様。

11. 長歌行(夏達:シャアタア)

626年(武徳9年)、唐の高祖の後継者争いは、玄武門の変を制した李世民が第二代皇帝(太宗)となることで決着した。

皇太子であった李建成と弟元吉の一族の中で生き延びたのは、建成の娘の永寧姫こと李長歌ただ一人。

幼い頃より武術や兵法に関心を持ち、聡明であった彼女は、叔父李世民への復讐を誓い長安を後にする。

長歌行(夏達)李長歌北の地突厥へ向かう
(「長歌行」より)

中国の漫画家、夏達による歴史ファンタジー。

仇討ちとして選ぶ手段が暗殺ではなく挙兵という堅実な方法である。

最初に向かうのは朔州の公孫氏のもと。

この辺、三国志での劉備みたい。

既刊8巻。

2016年春、ウルトラジャンプでの日本語版だけが何故か連載終了したのだが、続きが気になるところだ。(向こうではweb版で連載続行)

2016年末、作者の健康上の理由により長期休載に入った。

2017年秋、スピンオフにあたる「拾遺録」を連載開始。

12. 鉄道少女漫画(中村明日美子)

主に駅や電車内を舞台にした短編集。

もともとは本作に出てくる登場人物を主役にした続編「君曜日」の絵が気になったのがきっかけ。

水彩のような色づかいがきれい。

本作だと「浪漫避行にのっとって」が好き。

スリの常習犯である女子高生と、弟と旅行に出かけた妻を追う男との出会いからのロマンスカー追跡。

「鉄道少女漫画」(中村明日美子)より、スリの女子高生とロマンスカー追跡
(「鉄道少女漫画」より)

乗り換えは重要だけど、説明の下りが具体的すぎて笑った。

1巻は連作短編集で、2巻以降はそのうちの1作「木曜日のサバラン」のスピンオフになっている。

13. 五等分の花嫁(春場ねぎ)

学年一位の秀才・上杉風太郎が家庭教師として受け持ったのは、転校してきたばかりの同級生。

揃って勉強嫌いで問題児な、五人の女の子たちだった。

第一印象が良くなかったこともあり、まずは教えることを認めてもらうことから始めなければいけない。

家計を支えるために、何としてもこの仕事をやり遂げたい彼と、どうにかして勉強から逃れたい中野家五姉妹たちの騒動を描く。

「五等分の花嫁」(春場ねぎ)1巻より、責任取ってよね
(「五等分の花嫁」1巻より)

未来の姿として結婚式を行う場面があるので、彼女たちのうち誰が選ばれるのか、あるいは全員と?というところも見所。

現時点では三女の三玖(みく)が一番人気。

14. 魔王城でおやすみ(熊之股鍵次)

人と魔物がまだ争っていた時代のこと。

魔物たちにさらわれた人類統一国家カイミーン国のスヤリス姫は、魔王城で平和な日々を過ごしていた。

唯一の悩みは、ここへ来てから安眠できた試しがないことだ。

牢に閉じ込められて、寝る以外にすることがない彼女にとっては死活問題である。

眠りの質を高めるには、寝具が大事。

材料調達のために立ち上がった姫の魔王城探検が始まる。

漫画「魔王城でおやすみ」(熊之股鍵次)より、電撃で肩こりを治したい
(「魔王城でおやすみ」より)

15. とどのつまりの有頂天(あらた伊里)

高校の敷地内にある寂れた神社で、新しい部が創設された。

部活が必須なこの学校で、マイナー部の避難所として結成された共同体である。

その名も有頂天部。

個性の強すぎる部員たちと、顧問を務める生徒会役員の猫崎さんとの賑やかな日々を描くハイテンション百合コメディ。

「とどのつまりの有頂天」(あらた伊里)1巻より、有頂天神社での二人の時間
(「とどのつまりの有頂天」1巻より)

個人的な推しは猫崎さん。

校内でもクールなキャラで知られている彼女は、私生活では意外とぽんこつだったりする。

同じ有頂天部の美古都のことが気になっているのだが…

16. 甘々と稲妻(雨隠ギド)

高校教師の犬塚は幼い娘と二人暮らし。半年前に妻を亡くしたばかりで仕事や家事に追われ、食事はコンビニ弁当ばかり。

ある日、テレビをみていた娘つむぎの言葉にショックを受ける。

おいしいものを食べさせようと夜の道を料理屋に向かうがそれをきっかけに料理屋の娘小鳥との料理会がはじまる。

一話は土鍋で炊いた御飯だが、それを食べた時のつむぎの表情、それを見たら買うしかないと思った。

2016年夏アニメ化。

17. 僕はお姫様になれない(若林稔弥)

貧しいため兄のお下がりの制服を着ているボクっ娘、新堂玲。そんな新堂を心配するクラスメイト、白馬王子。

(男にドキドキするなんて)(本当のことを言ったら友だちじゃなくなるかも)

お互いの思惑から誤解は続いていく。

ニコニコ静画に掲載されていた4コマまんが「徒然チルドレン」の作者の学園コメディ。

ニヤニヤです。 

僕はお姫様になれない(若林稔弥)「膨らんでいた?」
(「僕はお姫様になれない」より)

この二人と同級生たちの、勘違いによるやりとり。

もうすべてのページがかわいい。

2016年完結、全3巻。

18. ピアノの森(一色まこと)

森に捨てられたピアノをおもちゃがわりに育った一ノ瀬海。

交通事故でピアニストとしての道を絶たれピアノを捨てた阿字野壮介。

二人の出会いは必然だった。

ショパン・コンクール編を終え、最終章へ。

途中で長期休載などもあってどうなることかと思ったこともあったが、ついに完結。

全26巻。文庫版は18巻。

19. サマータイムレンダ(田中靖規)

人口数百人の島で起こる怪現象「影の病」。

姿と記憶をコピーした何者かが住人と入れ替わっていくSFサスペンス。

幼なじみの死をきっかけに帰省した慎平は、島の壊滅までの数日間を繰り返しながらその謎に迫っていく。

限りのあるループ期間の中で、大切な人々を救うことができるのか。

影としての記憶を失くした少女や、影の存在を知る渡航者の協力を得て真相を追う。

「サマータイムレンダ」(田中靖規)4巻より、ウシオ対ミオ
(「サマータイムレンダ」4巻より)

正面からまともに対峙するのは危険な存在だが、調査をしていく過程で戦いも避けられない。

ウシオとミオの姉妹(仮)対決はハラハラした。

20. しゃにむにGO(羅川真里茂)

中学陸上界のスター選手だった伊手延久は、犬の散歩中に出会ったテニス部の少女に一目惚れする。

次に会ったらテニスを教えてもらうことを約束し、地元の高校へ入学するが生徒名簿に彼女の名前は見当たらなかった。

しかも男子テニス部は初戦敗退の弱小チームで…

 

ウチくん先輩が好きすぎる。

弱小校時代からの苦労人が、大舞台で過去を回想するところ。楽しいなあ、三年間続けてきよかったなと振り返る場面は涙腺崩壊もの。

全32巻。

新装版は全16巻、加筆修正されているとのことで、今からならそちらがよさそう。

21. とんがり帽子のアトリエ(白浜鴎)

村の仕立て屋の娘ココは魔法使いに憧れる女の子。

幼い頃に城下の祭りで買った絵本をきっかけに、自分も使えるようになることを夢見てきた。

ある日、街からやって来た羽馬車の修理のため、魔法を発動する瞬間を覗き見てしまう。

 

この世界の魔法の秘密は、特殊なインクを使って魔法陣を描けば誰でも使えてしまうということ。

見習いの修行は陣の構成要素の法則を学ぶ事と描線の正確さを訓練する事が中心。

そのため、魔法使いの育成は慎重に行われてきたのだが、禁止魔法を用いる集団「つばあり帽」が現れる。

幼いころのココに絵本を売った人物はこの「つばあり帽」であり、彼女も二つの勢力の対立に巻き込まれていく。

「とんがり帽子のアトリエ」(白浜鴎)より、魔材に感動するココ

(「とんがり帽子のアトリエ」1巻より)

知らない世界に入っていくココの反応や仕草がいちいちかわいい。

22. 鉄腕ガール(高橋ツトム)

戦後、復興しつつある日本で誕生した女子プロ野球。

リーグ発足の日、イベントの為の客寄せで雇われた女給トメもその世界に足を踏み入れる。

後に鉄腕麗人と呼ばれる加納トメの波瀾万丈の人生。

キャンディーズの投手としてデビューした彼女は大胆不敵な性格でエースへとのし上がっていく。

23. 恋せよキモノ乙女(山崎零)

祖母から受け継いだ着物で出掛けることが野々村ももの休日の楽しみ。

暮らしている大阪を中心に京都・神戸・奈良など彼女の行動範囲は広く、なかなかにアクティブである。

それは普段とは違う自分になれる装いが、その積極性に一役買っているのかもしれない。

祖母の言葉、「特別な女の子にしてくれる、魔法のドレスみたいやろ」のように着替えの時間も大事に味わっている。

1話毎に目的地や装いを変え、実在の場所を舞台に描かれているので、参考に訪ねてみるのもいいかも。

「恋せよキモノ乙女」(山崎零)1巻より、着物で出掛ける野々村ももと見送るネロ
(「恋せよキモノ乙女」1巻より)

見送りをする猫のネロもかわいい。

24. タケヲちゃん物怪録(とよ田みのる)

世界で一番不運な女の子・稲生武夫(いのう たけを)が暮らす妖怪屋敷、百鬼荘の日々を描く。

絶えず災難が振りかかるため、人の世に馴染めなかった彼女を温かく迎えてくれたのは、皮肉にも妖怪たちだった。

彼らにとって、タケヲから放出される「陰の気」は特別美味らしい。

そしてその条件は、彼女が幸福を感じることなのである。

「タケヲちゃん物怪録」(とよ田みのる)1巻より、幸福になると驚いてしまうみたい
(「タケヲちゃん物怪録」1巻より)

あの手この手で彼女を幸福にしようと張り切る妖怪たちとのやり取りが微笑ましい。

25. ACCA13区監察課(オノ・ナツメ)

13の自治区に分かれたドーワー王国で、警察局・消防局・医療局などを傘下に持つ統一組織ACCA。

地方色豊かな各区も、100年ほど前までは別々の国家であり、今も名残をとどめている。

首都バードンにある監察課は、その業務を監視する役割を担っていた。

副課長で「もらいタバコのジーン」の異名を取るジーン・オータスは、視察に廻る中でいつの間にか重大な陰謀に巻き込まれていく。

「ACCA13区監察課」(オノ・ナツメ)1巻より、おみやげが楽しみ
(「ACCA13区監察課」1巻より)

一方で監察課の雰囲気はほんわかしている。

ここでは10時と15時のおやつは重要事項。

26. 花とアリス殺人事件(道満晴明) 

岩井俊二監督のアニメ映画をコミカライズ。1巻完結。

内容は映画版から独自の展開になっているのだが、原作の雰囲気を壊すことなく作者特有の不思議ワールドを繰り広げている。

ユダの生死を確認しに出かけるのではなく、4人の妻に会うことで事件の真相に近づいていく。

クラスを仕切っているムーこと陸奥睦美の出番が増え、アリスとの協力体制を築いているのもうれしいところ。

映画版も傑作なのでそちらもおすすめ。

作風が気に入ったら次は「ニッケルオデオン」を。 

27. インクリング・アリス(記伊孝)

不思議の国に迷い込んだアリスは、フック船長の海賊船に捕らえられ、十五少年と一緒に漂流したあげく、大魔導師マーリンに襲われるところを、ポピンズ先生が学長を務める魔法学校アリス・アカデミーに保護される。

カオスな世界観で始まるファンタジーもの。

タイトルの元になっているInklingsは「指輪物語」のトールキンや「ナルニア国ものがたり」のC・S・ルイスが在籍した文芸クラブ。

この世界の成り立ちにアリスが関わっていて、重要な力を秘めているらしいのだが本人にはその記憶が無いようで…

「インクリング・アリス」(記伊孝)1巻より、アリス・アカデミーに保護される
(「インクリング・アリス」1巻より) 

一緒に入学するのは、緑の魔女エイダとバラの花。

これから彼女たちにどんな学園生活が待ち受けているのか。

Kindle限定作品。

28. 保安官エヴァンスの嘘(栗山ミヅキ) 

強さが掟だった時代に、西の荒野でその名を轟かせた男がいた。

全ての犯罪者が最も恐れるという保安官、エルモア・エヴァンス。

幼い頃から父に手ほどきを受けた銃の腕は、彼にその地位を与えたが、本当の望みは未だ遠くにある。

「モテたい!」

エヴァンスの行動原理の全てはそのためにあった。

「保安官エヴァンスの嘘」1巻より、エヴァンスとオークリーは両想い
(「保安官エヴァンスの嘘」1巻より)

自ら作り上げたイメージと意地のせいで恋人ができたことがない彼と、彼のこと

が気になるツンデレ賞金稼ぎのオークリーとの日常を描くラブコメ作品。

29. モブ子の恋(田村茜)

「脇役だって、恋をする。」

20年間、世界の隅で脇役(モブ)として過ごしてきた田中信子(通称「モブ子」)に、初めての恋心が芽生える。

スーパーでアルバイトをしている大学生の信子には、気になっている相手がいる。

いつもさりげなく助けてくれる同僚の入江君。

一緒に働いて1年が経つが、思いを伝えるどころか連絡先さえ聞けないでいた。

引っ込み思案な彼女は、何をするにも考えすぎてしまうのだ。

「モブ子の恋」(田村茜)1巻より、連絡先を聞きたい信子
(「モブ子の恋」1巻より)

ある日、彼女とは正反対の新人が入ってきた。

人見知りもせず、笑顔の似合う積極的なヒロインタイプの女の子。

そんな後輩の安倍さんに影響され、信子の恋が少しずつ動き始める。

対する入江君も恋愛には疎い男の子。

別れ際に手を振るのさえ躊躇してしまう。

ぎこちなく、ゆっくり進んでいく二人の関係を見届けたい。

30. こうふく画報(長田佳奈)

大正時代のとある街を舞台に、そこで暮らす人々のささやかな日常を描いた連作短編集。

和菓子屋の栄泉堂は作中の登場人物たちもよく利用する店。

主の有平は、腕はいいが神経質な性格のため仕事の進みが遅いのが難点。

整然としていないものが気になって、菓子作りよりも優先してしまう。

商売には向かない男なのである。

「こうふく画報」(長田佳奈)より、有平とかの子
(「こうふく画報」より)

そんな彼のお守りをしつつ店を切り盛りする従業員のかの子は、しかし憎からず思っているようだ。

全くデレないし素振りも見せないのだが、そこがいい。

彼女が言葉を失うこの瞬間に想像できる未来を、もう少し見ていたかった。

31. 大正野郎(山田芳裕)

「へうげもの」の山田芳裕のデビュー作。

大正文化をこよなく愛する大学生、平徹。

部屋のポスターは竹久夢二だし、愛読書は芥川龍之介だ。

今風(当時)の趣味を持つ隣部屋の佐山とは正反対。

下宿先の一人娘、由貴ちゃんに惹かれていく。

絵柄は好みがわかれると思うし、まだ下手なんだけど、この由貴ちゃんは屈指のかわいさだ。

32. ARIA(天野こずえ) 

西暦2300年代、テラフォーミング(惑星地球化計画)が進んだ火星は水の惑星アクアと呼ばれていた。

かつて地球(マンホーム)に存在していた都市ヴェネツィアを移築した街ネオ・ヴェネツィアに、水先案内人ウンディーネ(ゴンドラ漕ぎ)になるため水無灯里(みずなし あかり)がやってくる。

所属先はARIAカンパニー。

青い目の火星猫アリア社長と、”水の三大妖精”アリシアの元で、一人前のプリマウンディーネを目指す日々を描く。

設定はSF的だが、ここには古い町並みと不便な生活に愛着を感じる人々が住んでいる。

「知らないことがたくさんあるってことは、まだまだたくさんの素敵があるってこと。」

癒やしの時間。

連載開始時のタイトルは「AQUA」。計14巻。

コミックは完全版(全7巻)も発売されているが、個人的にはこのAQUA1巻の表紙が好き。

2015年、完結後の物語を描いた劇場版「ARIA The AVVENIRE」が公開された。

2017年末、連載中の「あまんちゅ!」がついに電子書籍化。いずれ本作も?との期待が高まる。

33. 天国大魔境(石黒正数)

文明が崩壊した世界で旅を続けるマルとおねえちゃん。

二人は、「天国」と呼ばれる場所を探している。

それがどこにあるのか、どんな所なのかもよくわかっていないが、そこに行けば皆が助かるかもしれないという。

「天国大魔境」(石黒正数)1巻より、廃墟で物資を探すマルとおねえちゃん
(「天国大魔境」1巻より)

一方、壁に囲まれた楽園では子供たちが集団で暮らしている。

少数の大人たちに厳重に管理されている施設に疑問を抱かない彼らの中から、外の世界に興味を持った子たちが現れて…

二つの場所で進行する物語が交互に描かれながら世界の謎に迫っていく。

それでも町は廻っている」の作者の新作ということで期待度は高い。

34. 花と落雷(渡辺カナ)

愛崎八千代は校内でも変わり者として有名である。

生徒の悩みを解決する同好会・有言実行委員会のただ一人の会員として、率先して他人の協力を申し出る。

彼女は困っている人を放っておけないのだった。

自信がなくて行動に移せなかったり、思いを伝えられずに苦しい思いをしたり、そんな誰かの背中を押してあげたい。

それは彼女の過去の経験に理由があるのだが…

「花と落雷」(渡辺カナ)2巻より、八千代と海美帆の仲直り
(「花と落雷」2巻より)

二村海美帆も彼女に背中を押された一人で、いつしか一緒に活動するようになっていく。

積極的で自信家に見える八千代も、内面では強い人間ではない。

海美帆といることで、彼女も救われていく過程がいい。

恋愛要素もあるのだが、特にこの二人の友情が描かれている部分が好き。

全2巻。

35. 海辺のエトランゼ(紀伊カンナ)

沖縄の離島で親戚の家を手伝いながら小説を書いている橋本駿は、最近海辺のベンチで一人座っている少年の事が気になっていた。

母を亡くしたばかりの知花実央は、新しい家族に馴染めず時間を持て余していた。

そんな二人が出会い、寄り添っていく。

「海辺のエトランゼ」(紀伊カンナ)より、実央を夕飯に誘う
(「海辺のエトランゼ」より)

久々の賑やかな食卓に頬がゆるむ実央。

この家のムードメーカーである絵理と駿の掛け合いが好き。

やがて実央は本島の施設に入り…

連載間隔が長めなこともあり、読み切りタイプのつくりになっている。

続編は舞台を移し「春風のエトランゼ」として続いていく。

一応ジャンルとしてはBLだが、絵柄や作風もあってあまり気にならないと思う。

36. くくりひめ(姫野春、水木由真)

神谷神社に住み込みで働く巫女・姫野菊理(ひめの くくり)には不思議な力がある。

その血に反応する異界から現れる無数の白い手は、彼女に危害を加えようとする者を死へと誘う。

宮司の三門に保護されて以来、平穏な日々を過ごしていたが、生き別れていた双子の姉が現れた日から止まっていた時間が動き出す。

故郷に伝わる呪われた伝説と自らの持つ宿命に終止符を打つため、彼女は姫神村へと旅立つことを決意するのだった。

「くくりひめ」(姫野春、水木由真)2巻より、出しに集中する三門
(「くくりひめ」2巻より)

三門は鍋料理が得意なため作中も度々描かれるが、食事のシーンが印象的。

なんでも、湯豆腐を取り出すタイミングと結界抜けのタイミングは同じだとか。

巫女さん×ツンデレ美少女×イケメン鍋奉行による和風ファンタジー怪異譚。

全3巻。

37. 映像研には手を出すな!(大童澄瞳:おおわら すみと)

設定画を描くことが好きな浅草と、アニメーターを目指す水崎、お金儲けと面白いことが好きな金森の三人が、芝浜高校で出会った。

役者の両親を持つ水崎がアニ研への入部を反対されていることもあり、自分たちで映像研究同好会を設立することに。

廃屋のような部室の整備に始まり、動画投稿での資金確保、予算審議委員会へ向けての短編アニメ制作と、試行錯誤しながら初めてのことに挑戦する。

彼女たちの空想による世界観の共有はシームレスに描かれているのが特徴。

「私の考えた最強の世界」にいつの間にか引き込まれていく。

38. 図書館の大魔術師(泉光)

大陸中の全ての本が揃っていると言われている本の都アフツァックの中央図書館を目指し、一人の少年が旅に出た。

彼は幼い頃に司書(カフナ)と呼ばれる専門職員と出会ったことで、同じ道を志すのである。

「図書館の大魔術師」(泉光)1巻より、本が読まれたがったのかも
(「図書館の大魔術師」1巻より)

その時に彼女から預けられたのは、世界のために戦った大魔術師と図書館について書かれた本だった。

「書を護ること、それ即ち世界を護ること也 」

やがて自らが世界を護ることになるカフナの、はじまりの物語。

ちなみに本編での図書館の表記は「圕」(囗に書)である。

39. 応天の門(灰原薬)

近頃、都でおきている失踪事件。

人々の間ではもっぱら鬼の仕業との噂であった。

検非違使の長である権少将在原業平は、事件の調査の最中、大学寮の文章生菅原道真と出会う。

“門より内は地獄” 

ならばこの応天門より先は欲にまみれた者共の巣窟、鬼の本丸だ。

在原業平は百人一首の「ちはやぶる〜」の詠み人であり、伊勢物語の作者とも言われる当代きっての色男。

菅原道真は学問の神様として知られ、この時代は大学寮に通う優秀な学生であった。

平安京を舞台に、正反対の二人が魑魅魍魎の世界で謎に挑む。

40. ドリフターズ(平野耕太)

1600年の関ヶ原。

西軍の劣勢の中、退路を切り開こうとする島津勢は、島津豊久を殿軍として正面突破を図った。

作戦は成功したものの瀕死の重傷を負った豊久は、ひとり戦場をさまよう内に見知らぬ部屋へと辿り着く。

 

異なる時代や国を生きた英雄たちが、漂流者(ドリフターズ)と廃棄物(エンド)の二つの勢力に分かれて戦う歴史ファンタジー。

彼らを異世界に送り込む紫やEASYとは何者なのか、何の目的で戦うのか、謎の多いままであるが、この設定と展開には中二心をくすぐられずにはいられない。

「ドリフターズ」(平野耕太)4巻より、島津豊久と土方歳三の対決
(「ドリフターズ」4巻より)

薩摩の島津豊久と新撰組の土方歳三との時代を超えた因縁の対決は本作ならでは。

41. ソウナンですか?(岡本健太郎、さがら梨々)

修学旅行中の飛行機事故で遭難した四人の女子高生たちのサバイバル生活。

海の上で目覚めた彼女たちの命を救ったのは、メンバーの一人・鬼島ほまれの経験と知識であった。

「ソウナンですか?」(岡本健太郎、さがら梨々)1巻より、トビウオを絞って水分摂取
(「ソウナンですか?」1巻より)

無人島に流れ着いた彼女たちは、救助隊が到着するまでの日々を生き抜かなくてはならない。

遭難のプロとも言うべき鬼島と普通の女子高生とのギャップが見どころ。

生活に慣れてくるに従って、食事や住環境も快適?になっていくが、そのあたりの描写が丁寧なのもうれしい。

実践したくない豆知識もちょこちょこ出てくる。

42. 推しが武道館いってくれたら死ぬ (平尾アウリ)

伝説の古参オタ、えりぴよ。

収入は全て舞菜のために注ぎ込み、自分の着るものは高校時代のジャージを残すだけ。

彼女は「舞菜が武道館いってくれたら死んでもいい」とまで思っているのだが、舞菜からはいつも塩対応を受けている。

それでもめげずに応援し続けるえりぴよが報われる日は来るのか。

「推しが武道館いってくれたら死ぬ」(平尾アウリ)1巻より、イベントに駆けつけたえりぴよ
(「推しが武道館いってくれたら死ぬ」1巻より)

43. 味噌汁でカンパイ!(笹乃さい)

中学生の善一郎は父と二人暮らし。

生活サイクルの違いから朝はいつも一人で、手間をかける気にはなれず適当に済ませていた。

そんな彼を見かねた隣家の幼なじみの八重は、朝ご飯を作ることを決心する。

幼い頃の約束、「お母さんにだって、なってあげるよ!!」の言葉を彼女は忘れていなかった。

かと言って、料理が得意なわけではない。

はじめての日の味噌汁を失敗したことから、特に熱心に取り組むようになっていく。

「味噌汁でカンパイ!」(笹乃さい)1巻より、善一郎を起こす八重
(「味噌汁でカンパイ!」1巻より)

毎日、かわいい幼なじみが起こしに来てくれる。

恋愛面ではあまり進展はないが、母親公認であるし、幼なじみとしての気遣いの中に照れがあるくらいが微笑ましくてよいのである。

完全に自覚しちゃうのは連載が終わる頃なのかも。

44. ばらかもん(ヨシノサツキ)

問題を起こし、反省するため長崎の五島列島でしばらく田舎暮らしをすることになった書道家、半田清舟と島の人々との交流を描く。

田舎での生活は実際にはうらやましがるものではないんだろうけど、本作で描かれる日々はとても楽しそうだ。

アニメ版もおすすめ。琴石なるがかわいい。

ばらかもん(ヨシノサツキ)「この壁を越えなきゃ、何も見えないぞ」
(「ばらかもん」1巻より)

このころはまだイケメンキャラだった。

端正だがお手本のような面白みのない文字を書いていた彼を、大自然と子供たちが変えていく。

45. 明日ちゃんのセーラー服(博)

母の通っていた中学に合格した明日小路(あけび こみち)は、セーラー服を着ることが夢だった。

TVのCMで見たアイドルが着ていたことで気に入り、母の昔の写真で同じものを見つけたとき、運命だと思ったという。

地元の小学校では生徒が一人の時期が長かった彼女にとって、新しい中学は楽しみでしかたがない。

「明日ちゃんのセーラー服」(博)1巻より、母にセーラー服を仕立ててもらう
(「明日ちゃんのセーラー服」1巻より)

母の仕立てた特別なセーラー服。

私立蠟梅学園に入学する彼女とクラスメイトたちの学校生活をゆったりと描いていく。

46. 終電ちゃん(藤本正二)

全国の各路線の終電の擬人化である終電ちゃん。

彼女たちは、乗客が乗り遅れないよう、無事に帰宅できるように気を配ってくれる。

ツンデレ姉御肌の中央線の終電ちゃん、お嬢様気質の山手線の終電ちゃん、ノリはいいが泣き虫な大阪環状線の終電ちゃんなど、個性あふれる終電ちゃんと駅に通う人々との心温まる交流の日々を描いている。

47. 夜さん(佐原ミズ)

産休をとった美術教師の代わりにやってきたのは、鶴田夜(つるた いつや)、絵が下手な非常勤講師だった。

しかしその絵は不思議な力を持っていて、ほんのひととき紙の上から出てこれる。

中学3年の坂本晨(さかもと とき)は遠縁のお婆さんと暮らしていたが、お婆さんが痴呆のため施設に入ることになり、夜さんと姪の昏(こん)の住む家に下宿することになる。

「夜さん」(佐原ミズ)自転車3人乗り
(「夜さん」2巻より)

彼女たちが住処を転々としてきたのは、各地で絵を描きたいという望みの他に、もう一つ理由があった。

そして「夜さん」とは何か。 

全2巻。

48. かくしごと(久米田康治)

後藤可久士(ごとうかくし)には秘密がある。

漫画家であるという事実を娘の姫には知られたくない。

それは、描いている漫画の内容がちょっと下品であることに起因していた。

娘がいじめられたり、グレたりする原因になることを恐れていたのだが、そんな親の心配を他所に娘はすくすく育った。

単行本では、姫の成長後のエピソードがカラーで追加されていて、むしろそっちが本編より気になる内容となっている。

「かくしごと」(久米田康治)より姫ちゃん犬を飼う
(「かくしごと」より)

ほのぼの父娘。

49. やがて君になる(仲谷鳰:なかたに にお)

高校に入学したばかりの小糸侑は、まだ部活が決まらず、しばらく生徒会の手伝いをすることになった。

初めて生徒会室へ向かう途中、二年の先輩七海燈子が告白を断る場面に遭遇する。

「だって今まで好きって言われてどきどきしたことないんだもの」

この人も同じなんだと思った。

侑は中学の卒業の日に告白されたあと、まだ返事を出せないままでいた。

 

これは百合展開ということになるんだろうけど、1巻の時点ではそこまでいかないし、侑は同性を好きになるのはありえないと思っている。

誰かを特別だと思うこと、人を好きになるとはどういうことなのか。

むしろこのジャンルに興味がない人におすすめ。

セリフに頼らない描写がうまいと思った。

これが初連載らしいが期待の新人だ。

50. SHIORI EXPERIENCE(長田悠幸、町田一八)

高校で英語を教えている本田紫織は冴えない教師だった。

あだ名は「地味先」(地味な先生)、趣味は家事と節約。

それは多額の借金を作って失踪した兄のせいでもある。

そんな彼女の前に、アフロのへんなおじさんが現れた。

どうやら、彼女の知らないうちに音楽の悪魔との契約が行われていたらしい。

超絶的な音楽の技術を得る代わりに、27歳が終わるまでに伝説を作らないと命を失うというとんでもない内容である。

期日まで365日。

「SHIORI EXPERIENCE シオリエクスペリエンス」1巻より、忘れかけてた極上の体験
(「SHIORI EXPERIENCE シオリエクスペリエンス」1巻より)

残されたわずかな時間を使って、どこまでやれるのか。

彼女の挑戦が始まる。

バンドメンバーの募集に始まり、挫折を繰り返しながら地道な努力を重ねていく。

飛び道具を持ちながら、あえて自力で乗り越えていこうとする姿が意外でもあり楽しみな所でもある。

51. CLAYMORE(八木教広)

人間を捕食する妖魔と、人間が生み出した半人半妖の戦士クレイモア。

元ナンバー1の戦士、微笑のテレサの仇を討つため自ら戦士になる道を選んだクレアが宿敵プリシラとの最終決戦に挑む。

万策尽きた末の覚醒。来たよこれ。

そう、これが見たかったんだ。

限界を越えて覚醒するともう人には戻れず捕食する側に回ってしまう。

この問題を最高のシーンで解決してくれた。

全27巻完結。 

クレイモア(八木教広)クレア覚醒
(「CLAYMORE」26巻より)

覚醒するのは誰だ?

52. シリーズ小さな喫茶店(山川直人)

街の小さな喫茶店と、そこに通う人々の飾らない日々の出来事。

木版画を思わせる独特の絵柄で描かれた短編集。

大きなことは起こらない、はっきりとしたオチもないが、これからの物語を想像させる余韻がある。

日常の生活に溶け込んだコーヒーと、そこから始まる人生の1ページ。

記憶に最も結びつきやすいのは香りだといわれている。

時代を感じさせにくい絵柄と相まってどこか懐かしい気持ちになる作品だ。

53. 僕と君の大切な話(ろびこ)

クラスが違うために話しかける機会があまりなく、また恥ずかしがり屋の相沢さんがようやく勇気を持てたのは、駅のホームで電車を待つ二人の時間。

校内でも美人で有名な彼女の告白を、東くんは断ってしまう。

なぜなら彼は達成感を大事にする男だからだ。

でもそれは終わりではなく、関係のはじまり。

放課後のたわいない会話で、少しずつ二人の距離は縮まっていく。

「僕と君の大切な話」(ろびこ)1巻より、東くんと相沢さんの共感の練習
(「僕と君の大切な話」1巻より)

54. 柚子森さん(江島絵理)

柚子森さんはちょっと大人びた小学4年生の女の子。

そんな彼女に、高校生のみみかは心を奪われる。

「世界はホワイトアウトして、その女の子しか見えなくなった」

この気持はなんなのか。

幼なじみのしーちゃんはそれを恋だと言っていたけれど、相手は小学生でしかも女の子なのだ。

戸惑いつつも柚子森さんと友だちになったみみかは日々を重ねていくが…

55. あいどるスマッシュ!(TNSK)

時は世紀末、文明が衰退した世界で人々を支配していたのはアイドルであった。

彼女たちの歌の虜(ファン)になったものは、応援でその力の元となる。

アイドルたちは抗争を繰り返し、暴虐の限りを尽くしていたが、彼女たちを止めることができる存在もまたアイドルである。

山での修行を終えたばかりの新人アイドル・つくねは、そんな世界を変えたいと願い首都ゴリアテへとやってきた。

「あいどるスマッシュ!」(TNSK)1巻より、つくねの必殺技クレッセントムーン
(「あいどるスマッシュ!」1巻より)

拳(マイク)一つで夢を追い、目指すは武道館、そして伝説のアイドルの遺産を手に入れること。

つくねと、志を同じくするアイドルたちの戦いの日々。

56. いかづち遠く海が鳴る(野田彩子)

変わりばえのしない世界の中で、あなただけは特別と思えたのよ。

かおちゃんは神である。この世界を作った全知全能の存在。

そのかおちゃんを虜にする者がいる。

鮫島晃一、こーちゃんである。

あらゆる平行宇宙に存在するこーちゃんには、記憶の引き継ぎが行われていることが判明する。

そして、かおちゃんの不在の間に天上界ではクーデターが起ころうとしていた。

こーちゃんとは何者か。

それは世界の秘密。海が鳴る時、すべてが始まる。

57. 将来的に死んでくれ(長門知大)

高校入学の日、菱川俊は同級生の刑部小槙に一目惚れをした。

友人や彼氏を作って楽しい学校生活を送ることを夢見ていた彼女であったが、クラスメイトの前で勢い余って告白をしてしまうのだった。

その相手はクールな女の子。

彼女のことを振り向かせたい菱川は、気持ちが先走りすぎていつも暴走気味だが、小槙の対応のおかげでバランスは取れているのである。

「将来的に死んでくれ」(長門知大)1巻より、箱根行く?
(「将来的に死んでくれ」1巻より)

迷走する菱川がアホかわいい。

58. メイドインアビス(つくしあきひと)

1900年前、南海の孤島に直径1000メートルほどの縦穴が発見された。

以来、穴の周囲には拠点都市ができ、探窟家と呼ばれる人々によって調査が行われてきた。

どれほどの深さがあるのか、底には何があるのか、未だそれを知るものはいない。

 

探窟家見習いのリコは、未知の世界の冒険に憧れる一人だ。

最深部への到達が許される最上級ランクの白笛であった母のようになるのが夢。

担当区域の探索中、魔物と遭遇したリコは何者かに助けられるが、その相手は見たことのないロボットの少年であった。 

59. 波よ聞いてくれ(沙村広明)

北海道札幌、鼓田ミナレは恋人と別れたばかりのカレー屋店員25歳。

飲み屋で酔っ払ってからんだ相手はラジオのディレクター。

後日、その時の失恋話を番組で流され、激昂したミナレは仕事中にラジオ局に突撃する。

これこそが罠だった。

「止めるからにゃ、アンタが間を持たせるんだぜ?」

 マイクの前に座らされ喋りきった1分間の放送は反響を呼び、彼女はラジオの世界に入っていく。

 

これは1巻の表紙見た時の印象は演歌ものかと思ったんだけど、電波のほうだった。

貯金も仕事もなくした残念女子ミナレが崖っぷちから這い上がる(多分)。

そして南波ちゃんがかわいい。

60. メタモルフォーゼの縁側(鶴谷香央理)

BL漫画との出会いをきっかけに始まった、75歳と17歳の二人の交流を描いている。

書道教室をしながら暮らしている市野井雪は、久し振りに訪れた本屋で並んでいた本に目が止まる。

ジャンルへの知識のないまま買い求めたものの、続きが気になり通うようになった彼女を案内してくれるのが書店員の佐山うららであった。

「メタモルフォーゼの縁側」(鶴谷香央理)2巻より、はじめての同人誌ゲット
(「メタモルフォーゼの縁側」2巻より)

残された時間を考えて積極的に摂取しようとする雪と、これまで趣味の友人がいなかったうららが、漫画談義からイベントへの参加と未知の世界に挑戦していく。

61. 夏目友人帳(緑川ゆき)

小さい頃から妖怪を見ることができた少年・夏目貴志。祖母レイコの遺品「友人帳」に書かれた妖怪達の名前を返す日々を送る中で、さまざまな妖や人と繋がり、絆を深めていく。

遠縁の藤原夫妻に引き取られたことで落ち着ける場所を手に入れた夏目は、用心棒のニャンコ先生と共に妖たちに名を返す日々を送ることになる。

そこはかつて若い頃の祖母が住んでいた土地で、妖たちの話す彼女の姿はそれまでの印象とは違っていた。

夏目は、祖母のことをもっと知りたいと願うのだったが。

登場機会は少ないが、夏目の同級生の多軌のキャラが好き。

ニャンコ先生との絡みはほっこりする。

Kindle版2巻で止まってるのはどういうことなの

4年振りのアニメ5期開始に伴い、一気に配信開始。

62. 桜の花の紅茶王子(山田南平)

満月の夜、白磁のカップに銀の匙、紅茶に映った月の影をそっと崩してひとくち飲めば。

おまじないで現れる紅茶の妖精は3つの願い事を叶えてくれる。

紅茶王子の新シリーズ。前作の10数年後を舞台に紅茶王子サクラとジョルジが登場。

呼び出した朝桐吉乃を見たサクラは、かつての主人と生き写しの姿に驚くのだが…

「桜の花の紅茶王子」(山田南平)1巻より、咲かない桜の木を見上げる吉乃たち
(「桜の花の紅茶王子」1巻より) 

前作のキャラも登場するので、続編としての楽しみもある。

63. 三ツ星カラーズ(カツヲ)

上野公園内にある秘密のアジトを拠点に結成された、小学生3人組による正義の組織「カラーズ」。

彼女たちの使命は、上野の街を守ること。

結衣・さっちゃん・琴葉の3人は、事件を探して日々街を駆け抜ける。

動物園や博物館や公園に活気のある商店街と、子供の好奇心を掻き立てる環境が揃っていて、周囲の大人も彼女たちを見守り、時に全力で遊んでくれる。

「三ツ星カラーズ」(カツヲ)2巻より、コンディショングリーン
(「三ツ星カラーズ」2巻より)

こんな子供時代を過ごしたら一生忘れないだろうね。

64. シャーリー(森薫)

「エマ」や「乙嫁語り」の作者のデビュー前から続く作品。

カフェ「モナ・リザ」を営むベネット・クランリーの家に、メイド募集の新聞広告をみてやってきた少女シャーリー。

年は若いがしっかり者の彼女との生活で少しづつ変わりゆく日常を描く。

シャーリーは身寄りの無い13歳の少女であるが、きっかけは魔女の宅急便のキキらしい。

「魔女の宅急便を見てしまったことにより変なスイッチが入った」とのこと。 

65. イジらないで、長瀞さん(ナナシ)

美術部に所属する気弱な男子高校生のセンパイと、彼をイジるのが好きな女の子・長瀞さんによるからかい系ラブコメディ。

図書館での出会いから何かと絡んでくる彼女に困惑しつつも、一緒にいることは嫌ではない。

それは、どこまでなら大丈夫か見極めながらイジってくることによる。

何より、懐いてくる後輩がかわいくないはずはない。

多少なまいきなところはあってもね。

「イジらないで、長瀞さん」(ナナシ)2巻より、ポケットの中のスマホ
(「イジらないで、長瀞さん」2巻より)

時にはやりすぎてしまうこともあるがそれもご愛嬌。

66. 空電ノイズの姫君(冬目景)

ギター少女の保坂磨音(ほさか まお)とミステリアスな転校生・支倉夜祈子(はせくら よきこ)の交流を描く青春ストーリー。

早めに登校した日の教室で顔を合わせた二人は、古いロックが好きという共通点もあり意気投合する。

それは、同年代の友達を作れなかった彼女たちにとって、貴重な出会いとなるのだった。

「空電ノイズの姫君」(冬目景)3巻より、保坂磨音と支倉夜祈子
(「空電ノイズの姫君」3巻より)

いつか一緒に組んで活動するようになるのかどうかも見所なのだが、そのためには夜祈子の抱えるトラウマを解決する必要がありそうで…

2019年1月、イブニングに移籍し「空電の姫君」のタイトルで連載再開。

67. さよならフットボール(新川直司)

中学の男子サッカー部に所属する14歳の女の子、恩田希。

テクニックでは他のチームメイトにも負けないものを持っているが、女子だからという理由で試合には出してもらえない。

練習と試合は違う、成長期の身体で男子に混ざって怪我でもしたら、と監督は心配する。

それでも次の新人戦にだけは出たいと願う希は、出場の方法を模索するのだったが。

 

女子である希が男子に劣るフィジカル、その壁に自分の持っている力でどこまで通用するのか。

「違う、そうじゃない。私が証明するんだ。」

「さよならフットボール」(新川直司)2巻より、試合に出られる喜び
(「さよならフットボール」2巻より)

人気作になった「四月は君の嘘」の後は、再びサッカーを題材に連載することが決定した。

その名も「さよなら私のクラマー」。

高校生になった恩田希が女子サッカーの舞台に立つ。

68. 明るい記憶喪失(奥たまむし)

目覚めると病院のベッドの上で、過去数年分の記憶がなくなっていた。

付き添っていた恋人のことも覚えていない。

アリサとマリは同性のカップルであり、この日からまた新しい関係を築いていかなければならないのであるが、再び元のように戻れるのか。

といった心配を余所に、アリサは二度目の新生活に興奮しきりなのであった。

「明るい記憶喪失」(奥たまむし)1巻より、会ったその日にかあー
(「明るい記憶喪失」1巻より)

もともと彼女の一目惚れから始まった経緯があるので、好みの女性がすでに恋人で自分のことをいつも気遣ってくれることにうれしくてしかたがないようだ。

タイトルの通り、彼女がポジティブすぎてひたすら明るい記憶喪失の日々を描いている。

69. 粋奥(日本橋ヨヲコ)

2話の短編と解説インタビュー『日本橋メソッド』を収録。

スーパー主婦八重子さんの日常をスタイリッシュに描く。

主人公なのに登場人物の中で唯一話さないキャラで、ほぼ無表情にも関わらず、困っている人を見過ごせないところや夫を大事に思っている様子が伝わってくる。

専業主婦が家事をする姿がこれだけかっこよく描かれているのはなかなかない。

電子書籍限定。

70. 熱帯魚は雪に焦がれる(萩埜まこと)

父の海外赴任の都合で田舎の親戚の家に引っ越してきた天野小夏。

海沿いの町で、転校先の学校には水族館部があった。

月に一度の一般公開の日に出会った部長の帆波小雪とのぎこちなくも微笑ましい日々を描いている。

先輩は学校でも人気者なのだが高嶺の花扱いで一人ぼっちでいることが多く、小夏は待望の新入部員なのだった。

「熱帯魚は雪に焦がれる」(萩埜まこと)2巻より、連絡先を聞けて満足の帆波先輩
(「熱帯魚は雪に焦がれる」2巻より)

待望の後輩との日々が嬉しくてしかたがない先輩と、先輩の力になりたくて頑張る後輩の姿が尊い。

71. 恋は光(秋★枝)

恋をしている女は光る

まるで宝石のように

センセこと西条は、人が恋をしている状態を実際の光として見ることができる能力を持っている。

同じ大学に通う東雲さんに恋をするも、彼女はまだ恋というものを知らなかった。

センセは奥手で理屈屋である。

共通の知り合いで中学からの友人、北代に協力してもらい、交換日記を始めることを提案するのだが、実は北代はセンセのことが好きで…

 

古風で天然な東雲さんもかわいいが、二人を応援しつつも悩む北代がさらにかわいい。

そして光の正体とは。

2017年完結、全7巻。

72. 幼女戦記(カルロ・ゼン、東條チカ)

統一歴1920年代、帝国と周辺諸国の戦争において、幼少ながら「ラインの悪魔」として恐れられた将校がいた。

ターニャ・デグレチャフ、彼女は航空魔導士として類まれなる才能を持ち、徹底した合理主義のもと軍での地位を確立していく。

信仰心のない日本のサラリーマンが、現状から逆転した姿で試練を与えられるという異世界転生もの。

漫画版は主人公が子供であるという部分をコメディ要素としてうまく生かしている印象。

堅苦しくなりがちな戦記物語を読みやすくしている。

ターニャの顔芸とレルゲン中佐とのすれ違いコントも見所。

漫画版「幼女戦記」(東條チカ)5巻より、レルゲン中佐とのすれちがい
(「幼女戦記」5巻より)

73. 夜森の国のソラニ(はりかも)

夜森、そこは目覚めたくない人間が訪れる夜の国。

記憶をなくした少女が迷い込み、新しい住人として暮らしていく。

彼女は、管理人の夜森や住人たちの知り合いとよく似ていたことで、ソラニと名付けられた。

料理が好きだが、「毒殺系」「無差別テロ」「危険物」と評価はイマイチだ。

 

それぞれの事情で暮らす住人の闇に、夜森のランプが明かりを灯す。

日常系の四コマで、小物類の造形も凝っている。

特にカラー部分の色使いが好き。

全3巻。

うらら迷路帖のほうが先にアニメ化決定。

74. 舞妓さんちのまかないさん(小山愛子)

青森から舞妓に憧れて修行にやってきた少女キヨ。

けれど彼女には向いていなかったらしく、おとめ(稽古の中断)を言い渡されてしまう。

そんなキヨにも得意なことがあって、今では大所帯の台所を取り仕切るまかないさんである。

稽古中でも周囲に見惚れることの多かった彼女には、夢破れたというよりはむしろ好きな世界に関われる天職であるのかもしれない。

一緒に出てきた幼なじみのすーちゃんの成長を見守りながら花街の日常を紡いでいく。

のんびりした性格も、みんなをホッとさせてくれることだろう。

「舞妓さんちのまかないさん」(小山愛子)1巻より、キヨさんと舞妓さん
(「舞妓さんちのまかないさん」1巻より)

75. ゆるさば。(関口太郎)

ある日突然、自分たち家族以外の人類がいなくなったら…

裕木家の四人が、廃墟となった東京でサバイバル生活を繰り広げる。

時間の経過の不思議やライフラインの謎など不明な点も多いが、元研究者の父を始めとしてこの世界を満喫しているようだ。

生活のために、元の世界ではやらなかったはずの事にも積極的に挑戦していく様子がいきいきと描かれている。

「ゆるさば。」(関口太郎)2巻より、モモの初めての獲物
(「ゆるさば。」2巻より) 

長女のツムギは狩猟担当、次女のモモは釣り担当、三女のリンは搾乳が役割。

サバイバルになれるに連れ、行動範囲も広がっていく。

76. ギャルごはん(太陽まりい)

学校一のギャルと噂の岡崎みくは、料理研究部員。

彼女は顧問の矢部先生に恋をしている。

きっかけは、お菓子作りを手伝ってもらった時、彼女ができるようになるまで付き合ってくれたこと。

頑張りたい気持ちを大事にしてくれたのがうれしかったのだった。

「ギャルごはん」(太陽まりい)1巻より、頑張ってよかったなあ
(「ギャルごはん」1巻より)

問題は当の矢部先生がそっち方面には疎いこと。

生徒会の藤原小春や教師の白濱渚などライバルも登場するが、彼女たちの思いは届くのか。

77. いそあそび(佐藤宏海)

コンビニもゲーセンもファミレスもない田舎で一人暮らしをすることになった元社長令嬢村上セトと、浜辺で倒れていた彼女を助けた浦島六郎のサバイバル生活。

一方的に借りをつくるのが嫌いな彼女のために、友達として一緒に海産物を採って食べることに。

「いそあそび」(佐藤宏海)2巻より、波をかぶっても大丈夫
(「いそあそび」2巻より) 

世間知らずではあるものの、予想外にワイルドで気さくな性格で周囲の人たちも惹きつけていく。

特にその笑顔は極上である。

六郎の幼馴染の珠子と恋のライバルになるのかどうかも見どころ。

78. 不滅のあなたへ(大今良時)

何者かによって地上に放り投げられた “球” であったそれは、ありとあらゆるものの姿を写しとり変化することができる。

はじめは石に、そしてコケやオオカミを経て人になった。

やがて外界との接触で、意識を獲得し言葉を覚え成長していく。

これは彼と、関わるものたちとの交流を描く物語。

次第に彼を作り出したものの存在も明らかになっていく。

「不滅のあなたへ」3巻より、グーグー編の団欒シーン
(「不滅のあなたへ」(大今良時)3巻より)

はじめての家族と呼べる人たちと過ごすグーグー編がよかった。

この時間が続けばいいのにと思える関係だったが、これからも繰り返す思い出のひとつとなるだろう。

この先、彼に待ち受ける運命とは何か。

79. 老女的少女ひなたちゃん(桑佳あさ)

三芳とよは、交通事故で病院に運ばれ88歳の人生を終えたはずだった。

5年後、彼女は幼稚園児として別の人生を生きていた。

前世の記憶を持ったままの日向(ひなた)は、縁側でお茶の似合うおばあちゃんのような女の子。

お誕生日のリクエストは大根のそぼろあんかけ。

 

姿だけが子供というだけではなく、ちゃんと子供っぽい(と見える)部分も持ち合わせているもポイント。

80. この世界の片隅に(こうの史代)

昭和19年(1944)、18歳になったすずに、突如縁談の話が持ち上がる。相手は江波から20キロ離れた軍港の街、呉に住む海軍勤務の文官・北條周作。すずは周囲に言われるがまま祝言をあげ、北條家に嫁いでいく。

幼い頃から絵を描くことが好きだった少女すず。

戦争へ向かう時代の空気の中で、周囲をほんわかと明るくさせる力を持っていて、それは嫁入りするまで変わらない。

そんな彼女が、見知らぬ土地へ嫁に行き、戦時下の日々を生き抜いていく。

呉の空襲、広島の原爆と最も過酷な時期を中心に描いているのだが、読後感がいい。

「この世界の片隅に」(こうの史代)より、この世界の片隅に、うちを見つけてくれて
(「この世界の片隅に」より)

現在、アニメ映画版が先行配信中。

81. 干物妹!うまるちゃん(サンカクヘッド)

土間うまる(16)は優しくて頭もよい、非のうちどころのない美人女子高生だと思われている。

家にいるとき以外は。

帰ると外見もキャラも別人のように変化する。

グータラすぎる干物妹(ひもうと)を社会人の兄は心配するが、今日もワガママに付き合わされるのであった。

なぜ二次元の妹はかわいいのか。

こんなグータラな妹が現実にいたらめんどくさいだけだが、弟か妹が欲しかったなと末っ子の僕が思ってみる。

スピンオフ作品「秋田妹!えびなちゃん」も連載された。

82. 天野めぐみはスキだらけ!(ねこぐち)

進藤学は特進科の一年生。

東大進学を目指して勉強ばかりの日々だ。

そんな彼に最近出来た悩みのタネは、幼稚園からの幼なじみ、天野めぐみの勉強の面倒を見ること。

彼女は剣道でのスポーツ推薦組で、勉強は苦手。

しばらく会わない間に女の子らしく育っていたが、本人にはその自覚はなく無防備だった。

勉強が手につかず、悶々とする学だが、こんな幼なじみがいれば無理もない。

天野めぐみはスキだらけ!(ねこぐち)「つい気が緩んじゃって」
(「天野めぐみはスキだらけ!」1巻より)

83. 殿様とトラ(くるねこ大和)

本多家の部屋住みであった荘十郎は、兄夫婦に子供が生まれたことから独立し、今は農村で暮らしている。

幼い頃からの相棒、猫のトラも一緒だ。

近所の子供たちに読み書きを教えることで生計を立てていた。

トラは御側役として家の警護や見廻り、毒味役をこなし付き従う。

この二人の周囲で起こるほのぼのとした日常を描く。

 

くるねこ大和の黄表紙劇場として連載され、番外編として幼少編も同時進行していた。

トラの表情や仕草がかわいくて、猫を飼うのもいいなと思えてくる。

作者は自身のブログで「くるねこ」を現在も連載中。

84. くノ一ツバキの胸の内(山本崇一朗)

忍の里の学園に通うくノ一たちの日常を描くコメディ作品。

女子クラスあかね組のツバキは学園で最も優秀な生徒。

彼女には、誰にも言えない秘密がある。

話に聞く男という生き物を見てみたいということ。

先生や他の生徒によると、野蛮で危険な存在であるらしいのだが…

「くノ一ツバキの胸の内」(山本崇一朗)1巻より、ツバキは男を見てみたい
(「くノ一ツバキの胸の内」1巻より)

やんちゃなサザンカやアサガオのよき先輩であり、模範的な生徒であろうとすることと自らの好奇心とに揺れる姿がかわいい。

85. ふらいんぐうぃっち(石塚千尋)

親戚のいる青森に引っ越してきた新米魔女の修行の日々。

15歳になった木幡真琴は、しきたりのため高校からは実家を出て魔女の多く住むという東北地方で暮らすことになった。

方向音痴で天然な性格と、ゆったりした土地の人々との相乗効果でゆるい日常となっている。

最初は箒で飛ぶくらいのところから、やがて仕事の依頼を受けられるようになり世界が広がっていく。

「ふらいんぐうぃっち」(石塚千尋)6巻より、千夏の初魔法のお祝い
(「ふらいんぐうぃっち」6巻より)

魔女が受け入れられている環境とささやかな魔法がほのぼのしていていい。

その家系に生まれていない千夏の修行の過程も楽しみ。

86. ハルロック(西餅)

向坂晴(さきさか はる)は幼いころ、ドライバー少女として界隈を賑わせた分解魔だった。

両親の苦労もあってか、成長とともにそんな過去は忘れていたのだが、高校の部活の顧問の影響で電子工作の世界に入り込む。

身近な問題をもとに発案した実用的なものからSNSと連動させたおもしろアイテムまで、なかなか本格的なものを手がけている。

秋葉原のパーツ屋で小学生うに先輩と出会うことでさらに発展していくのだが。

「ハルロック」(西餅)1巻より、ゴキブリ発見装置を作成
(「ハルロック」1巻より)

ハルの空気を読まない言動と周囲の反応が楽しい。

87. ゆるキャン△(あfろ)

オフシーズンに一人でキャンプをすることが好きな女の子・志摩リンと、富士山を見るためにキャンプ場にやってきた各務原なでしこ。

二人の出会いからゆるく始まるまったりキャンプ生活の輪。

なでしこは転校してきた学校で野外活動サークル(野クル)に入部し、アウトドアの魅力にはまっていく。

彼女たちの通う本栖高校のある山梨県を中心に、富士山周辺や少し遠出する距離のキャンプ場を舞台に時にソロで、時にみんなでキャンプを楽しむ姿を描く。

初心者を含む高校生たちの活動なので、予算のないところから少しずつ知識や道具も充実していく様子は身近に感じられて良い。

「ゆるキャン△」(あfろ)1巻より、キャンプっぽいごはんだよ
(「ゆるキャン△」1巻より)

88. たいようのいえ(タアモ)

父親の再婚で居場所の無くなったと感じている高校生の真魚(まお)。

なつかしく思うのは幼いころ通った向かいのあたたかい家族の姿。

今ではプログラマーとして働き始めた長男の基(ひろ)が一人で住んでいた。

基は両親の死後、再び兄弟で一緒に暮らせるようにこの家を守ってきた。 

行き場を失った真魚を妹の部屋に住まわせることになるが。

全13巻。

真魚のツンデレっぷりがすごくツボ。

新連載はネガティブ過ぎるヒロインの「地球のおわりは恋のはじまり」。

89. ふしぎの国の有栖川さん(オザキアキラ)

過保護な祖父に育てられ、友人たちにも「プライベートの過ごし方が晩年」と言われる女の子、有栖川鈴。

趣味は将棋や落語で、同級生たちとはちょっとずれているところがある。

そんな彼女が、ある日運命の出会いをするのだった。

門限に遅れそうになった電車で助けてくれた野宮宗介と知り合いになり、次第に距離を縮めていく。

「ふしぎの国の有栖川さん」(オザキアキラ)1巻より、未来につなげよう?
(「ふしぎの国の有栖川さん」より)

彼もまた恋愛には無頓着で、世間知らずの有栖川さんとはいいコンビだ。

友人たちをハラハラさせながらゆっくりゆっくり進む恋の行方を見守りたい。

90. 俺とヒーローと魔法少女(九段そごう)

変身するたび何かを失うハートフル苦行コメディ

変身アイテム、ヒーロードライブによってヒーローに変身する力を得た十文字ハヤト。

だがその姿は、彼が憧れたかっこいいヒーローではなく、かわいらしい魔法少女だった。

正義感の強いハヤトは、困っている人たちを見過ごせない。

理想の姿とのギャップに悩みつつも、街を襲う怪人たちと戦う日々が始まった。

91. 猫のお寺の知恩さん(オジロマコト)

田舎の高校に進学することになった少年が、下宿することになった家は、遠い親戚の古いお寺。

中学を卒業した春休み、須田源はこの町にやってきた。

幼い頃に預けられたことのある懐かしい土地。

よく遊んでもらったいたずら好きの女の子は、相変わらずいたずら好きの、魅力的な女性になっていた。

これから彼女、知恩さんとひとつ屋根の下の生活が始まる。

とはいえ、意識しているのは源の方だけであり、彼女からすればまだまだ子供なのである。

年上の女性を振り向かせるような男になれるか。

一緒に暮らしている犬のテンちゃんや猫たちの表情がイキイキしているのもいい。

92. センゴク外伝 桶狭間戦記(宮下英樹)

織田側と今川側の両方から描いた桶狭間の戦い。

今川義元が主人公である作品は珍しいんじゃないだろうか。

教科書でも扱いが小さくて、海道一の弓取りといわれた人物としては不憫だった。

領国の拡大や仮名目録追加など戦国大名として優れていた点にも言及し、魅力的な人物として描かれている。

93. 空挺ドラゴンズ(桑原太矩)

空を泳ぐ巨大生物、龍(おろち)を人々が目指してから半世紀。

莫大な費用と危険が伴う龍捕りに、次第に船の数も少なくなった。

そんな中で現役を続ける小型の捕龍船クィン・ザザ号の乗組員たちの物語。

1巻の表紙はミカ。

普段は寡黙だが龍と食べ物のことになると饒舌になる。

彼と新米乗組員のタキタを中心に、龍を使った料理漫画的な部分もある。

「捕って解体して食う、それが龍捕りだ」

一匹捕れば七市潤うと言われるほど貴重な存在で、どの部位も無駄にしない解体の様子、買い付けで賑わう人々の姿も描かれている。

「空挺ドラゴンズ」(桑原太矩)1巻より、タキタの小型龍捕獲作戦
(「空挺ドラゴンズ」1巻より)

小型龍捕獲作戦と、ジローの恋のエピソードが好き。

94. はじめてのひと(谷川史子)

それぞれの「はじめて」を描くオムニバス。

博物館で働く田中久緒と、その周囲の人々に順にスポットを当てていく。

中でも、彼女の後輩の橘与(たちばな くみ)には大きくページが割かれている。

誘われて行ったライブハウスで、年上のチェロ奏者・諏訪内と出会った与。

彼のライブに通ううちに、心惹かれていくようになるのだが。

「はじめてのひと」(谷川史子)1巻より、諏訪内に惹かれていく橘与

(「はじめてのひと」1巻より)

年の離れた相手の時々見せる表情に、ある疑問が湧いてくる。

彼女の恋をしていく様子がとてもかわいくて、応援したい気持ちはやまやまなのだが…

95. 娘の家出(志村貴子)

母の再婚が決まり、高校生のまゆこは父の家に泊まりに来た。

父は年の離れた若い恋人と住んでいる、料理上手で、涙もろくて、同性愛者。

離婚の原因でもある。

だがそこは、まゆこにとって居心地のいい場所であった。

 

読み切り、短期連載を経て本格連載になった作品で、この1巻は連作短編のような作り。

現在と過去を交え、周囲の人々の悩みや人生の歩みが描かれる。

広義の家出は新しい生活の模索。

家族っていいな。 

96. 空気人形と妹(たみふる)

15歳の高校生、東あさみの部屋に住みついたダッチワイフは、彼女の兄に恋をしたらしい。

半年前買われてからずっと押し入れの中で放置されてきたのだが、恋を成就させる為に妹に協力を求めてきたのだった。

最初は乗り気じゃなかったあさみもダッチワイフのいる日常に馴染んできて、今では本当の姉妹のように見えなくもないかも知れない。

ピュアすぎる妹を前にダッチワイフもギリギリ健全なレベルを保っている。

「空気人形と妹」(たみふる)より、あさみとダッチワイフのシミュレーション
(「空気人形と妹」より)

この二人を見ていられるなら兄とかもうどうでもいいな。

97. 映画大好きポンポさん(杉谷庄吾【人間プラモ】)

ニャリウッドにある映画会社でプロデューサーを務めるポンポさん。

彼女の手にかかれば、どんなくだらない内容のものでも面白い作品に仕上がってくる。

「映画大好きポンポさん」(杉谷庄吾【人間プラモ】より、ポンポさんはB級映画好き
(「映画大好きポンポさん」より)

若くして人脈も才能も実績も持ち合わせている彼女と、彼女に見出された新人監督ジーンや新人女優ナタリーの成長の物語である。

が、一番好きなシーンは常連のコルベット監督や人気女優ミスティアと次回作についての話で熱中している場面。

またくだらなくて面白い作品が生まれそうだ。

ミスティアの仕事の選ばなさもすごいし、何だかんだ楽しそう。

ポンポさんへの信頼があっての事だけど。

98. 私を連れて逃げて、お願い(松田洋子)

これはずるい。この表紙の絵とタイトルを見たら思わずポチッと押してたよ。

福田日芽は夢見がちな女子大生。

過保護すぎる祖父母の干渉に毎日がシンデレラみたいと感じ、王子様との出会いを願っていた。

そんなある日、電車の中で王子様を見つける。

王子様のようなではない。どこから見ても王子様だ。

現代のおとぎ話的、禁断の逃避行。

99. 愚かな天使は悪魔と踊る(アズマサワヨシ)

天界に押され気味の悪魔たちの士気を上げるため、特命を帯びて人間界にやって来た阿久津は、とある高校に潜り込む。

彼の目的は、魔界のアイドルとなる人材を見つけ出しスカウトすること。

幸運にも、隣の席の女の子・天音リリーは適役であるかと思われたのだが、実は彼女はこの町で悪魔狩りをしている天使であった。

かくして、力のある悪魔を使役したい天音と彼女を連れ帰りたい阿久津との堕としあいバトルが幕を開ける。

「愚かな天使は悪魔と踊る」(アズマサワヨシ)1巻より、天音と阿久津の初対決
(「愚かな天使は悪魔と踊る」1巻より)

100. 雪花の虎(東村アキコ)

上杉謙信は女性であったとする説を元にした時代物。

毘沙門天のお告げで生まれた赤ん坊は虎千代と名付けられ、やんちゃに育った。

これもトンデモ説と切り捨てるのも惜しいくらいの根拠はあるようで、それもロマンがあっていいのかも。

歴史が苦手な人でも読み進められるようにミニコーナーも随時用意されている。

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