「いかづち遠く海が鳴る」は野田彩子による漫画作品である。
小学館ヒバナで連載、2巻完結。
街中で、冴えないおっさんを呼び止める声。その主は、セクシーな黒髪美女。あれよあれよとベッドイン、さて彼女の正体は…?
公式の作品紹介がけっこうひどい。
冴えないおっさんこと、鮫島晃一(28)。
神をも虜にする男
かおちゃんは神である。この世界を作った全知全能の存在。
すべてのものは彼女から生まれ、コントロール下にある。
そのかおちゃんを虜にする者がいる。
鮫島晃一、こーちゃんである。
こーちゃんに会いにいくために、かおちゃんは公務に手が付かない。
度々天上界を抜け出す彼女の奔放さに、配下の者たちも困り果てている。
何が彼女をそこまで惹きつけるのか。
すべてを統べるかおちゃんの唯一思い通りにならない存在。
あらゆる平行宇宙で彼をを探し当てて会いにいくが、奇妙なことに気づいていく。
それぞれ独立したこーちゃんであるはずなのに、記憶が引き継がれていたのだ。
こーちゃんとは何者か。
そして、かおちゃんの不在の間に天上界ではクーデターが起ころうとしていた。
正体不明の鮫島という名の男の存在の謎と、世界の存亡。
この宇宙の成り立ちに関わる秘密が隠されているという、表紙と紹介文のイメージからは想像できない内容の展開である。
作者のデビュー作は「鮫島さん」。
そして前作の「わたしの宇宙」でも同名のキャラが登場する。
二重の意味で気になる男、鮫島。
世界が漫画であることに登場人物たちが気付いてしまうというメタ設定の前作の要素が入ってきているのだろう。
そうなると現在連載が始まった「潜熱」にも登場するのかが気になるところ。
かおちゃんが神であることがより意識されるのは2巻。
変わりばえのしない世界の中で、あなただけは特別と思えたのよ。
それは世界の秘密。海が鳴る時、すべてが始まる。
ケーキを食べる時のかおちゃんがかわいい。
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