「のーぷろぶれむ家族」は麦盛なぎによる漫画作品。
ヤングマガジンサードで先月まで連載されていたが、間もなく最終巻(2巻)が発売される。
中学生の織原心の秘密、それは母親が人形だということ。
あらすじ
家族? 友達? 心のキョリが、わからない――。 織原心は中学1年の12歳。心がクラスの誰も家に呼べない理由は、“パパとママ”。父親のまさとは、ただの「人形」を再婚相手のサラと思い込んでいるのだ。 「誰にも知られたくない」 そんな思いが災いして、クラスで孤立する心。だが、心をわかってくれる男の子・水島くんが現れて……。 新鋭・麦盛なぎが描く、“心”の成長ストーリー
織原心(おりはら こころ)は小学2年の弟と、変わり者の両親と暮らしている。
問題なのは、母親が人形であること。そして父がそのことに気づいていない(かのように見える)こと。
母は小説家である父まさとの再婚相手で、仲睦まじそうではあるのだが、娘の心にとっては悩みの種だ。
同級生に知られることを心配し、友達付き合いにも制限をしてしまう。
それ以外は普通なの
他所の家庭の習慣は他人からすれば変わっていると感じることもあったりするが、この織原家は明らかに普通ではない。
家庭訪問で訪れた担任もあまりのことに戸惑う。
普通に家族を紹介しただけだったのだ。
それが人形であったという以外は。
父には悪気はない。この笑顔である。
そして父を悲しませたくないためにフォローにまわる娘。
そんな子供たちを支えようと同じアパートの住人たち(おそらく先生も)が常に気にかけてくれているが救いだ。
ちなみに、1巻発売の際に第1話が書き直されている。
ヤンマガのサイトでは連載版の1話を読むことができるが、母親初登場時から近所のおばちゃんがよき理解者として一緒に登場しており、風変わりな家族の日常くらいの印象である。
修正版では、父娘と先生に絞って表情もよく見えるように変更されている。
出落ち的な設定から、描きたいテーマが定まってきたということなのかも。
コミック版の帯のコピーは「心が、痛い。」
その言葉どおり1話目からえぐってくる。
母親に感情をぶつける心。
だが何も答えてはくれない。
同時に、心にとってもただの人形というわけではないことがわかる。
他人から見れば変でも、当人たちには当たり前なのかもしれない。
鍵になってくるのは同級生の男の子、水島くんの存在。
家族とはうまくいっているがクラスメイトとの距離感に戸惑う心と、学校ではそつなくこなすが家族とはうまくいっていない水島くんと。
織原家の事情に理解を示しつつも、自分の家族のことには触れられたくない彼にはどんな理由があるのか。
2巻の表紙からいっていい方向に進むんだろうけど、ハッピーエンドであって欲しいな。
あとがき
しかしこの父親には狂気しか感じない。どんな背景があるのだろうか。
表紙の文字は切り絵作家(大橋忍)によるものだそう。
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