「荒ぶる季節の乙女どもよ。」は岡田麿里(原作)、絵本奈央(作画)による漫画作品。
別冊少年マガジンで2016年12月より連載を開始した。
5巻は、それぞれの思惑を抱えて文化祭当日を迎える。
泉に想いを告げることを決意した和紗。しかし、「セックス」発言の新菜もまた、自らの中に起こる泉への想いを自覚し始める……。それぞれの"恋"と"性"、岐路となる文化祭が始まる。
前回はこちら。
文化祭の日、物語は動き出す
文化祭の当日、学校に伝わる“恋の伝説”の力を利用してそれぞれの思いを伝えようとする生徒たち。
そのためには朗読劇を成功させて認知度を上げる必要がある。
泉への告白を決意した和紗は、メインである役へ立候補するのだった。

今回、曾根崎先輩と同じクラスのギャル・十条さんの交流も描かれている。
恋愛ごとには潔癖なところのある曾根崎先輩は、オープンな性格の彼女を苦手としていて、以前教室で揉めたこともあった。
その後、十条さんの方から接触しようとしている姿も見られたが、いつのまにか仲良くなっているようだ。
雰囲気の変わった曾根崎先輩を真っ先に褒めてくれたのも彼女だったし、その恋愛への前向きな姿勢はいい影響を与えてくれそうなのである。

朗読劇も当初の予想より好評で、夜のイベントへの期待が高まる中、新菜の予定外の行動で思わぬ事態へ発展していく。
友達の事を応援しつつも次第に泉への気持ちが育っていることに戸惑う彼女であったのだけれど、和紗の擬似告白の機会を改変しての参戦の意思表示。
ここから彼女たちの関係も大きく動いていくだろう。
初めて芽生えた気持ちを、初めてできた友人を相手に貫こうとするからには、相応の覚悟をしているのである。
そうなった新菜が恋のライバルなんて、かなり手強いはず。
相手が泉じゃなければ強すぎると言ってもいい。
そしてそこに絡んできそうなのがもーちんである、という所がもうわくわくしてくる。

彼女の新菜を見つめる姿はもはや恋する乙女なのだ。
このまま本格的に百合の道へ進んでいくのだろうか。
リハーサル時の感想でも「胸が綺麗なのとかっこいいのって両立できるものですかね通常…」と発言していた彼女なので、そうなっていきそうである。
初めての恋心を自覚した新菜に新たな選択肢を提示する。
報われないポジションに思えるけど、男性に嫌悪感をもっていそうな新菜だと可能性がなくもないのかな?

幸いにも朗読劇の成果はあったらしく、そこそこ広めることはできたようだった。
まずは先陣として部長の曾根崎先輩がキャンプファイヤーで告白を実践。
一番めんどくさくて縁遠そうだった彼女が一番安定した位置に収まりそうというのもおもしろい。
変身前から彼女のかわいさを見抜いていた天城が相手なのもあるが、自らのコンプレックスをさらけ出した曾根崎先輩のクラス内での評価もこれで上がるだろう。

そして和紗と泉の運命の瞬間を迎える。