
「きみが死ぬまで恋をしたい」はあおのなちによる漫画作品。
コミック百合姫で2018年8月より連載を開始した。
前回はこちら。
返礼の日のこと
シーナたちの学校では「返礼の日」と呼ばれる行事がある。
言わばお片付けの日のことで、全学年が参加する一大イベントらしい。
この施設は孤児院も兼ねているため、養ってもらっているお返しをするとの名目のようだ。
今回の14クラスの担当は地下書庫。
ここの掃除は数年ぶりだそうで、シーナもその場所を知らないくらいであった。

逆に、ミミは詳しそうな様子。
他の生徒たちとの接触を禁じられていた頃は、人の出入りしなそうな場所が彼女の生活空間だったのだろうね。
普段の授業中はお絵かきや居眠りをしているミミが集中して本を読む姿が新鮮だった。
古い魔法書も多く、すぐに実践できてしまう彼女には楽しいものなのかもしれない。
加えて、今回は他のクラスの生徒とも交流できる貴重な機会である。

後輩たちに親切にするシーナにやきもちを焼いたりしていたミミも、先輩たちの間で人気者に。
出撃する機会が増える上級生たちのほうがミミの存在を実感することが多いはずであり、その正体が予想外にかわいらしい姿であったという事実に興味津々である様子がよくわかる。
シーナが少し目を離した隙に彼女の周りは人だかりができるほど。

きせかえ人形と化すミミ。
掃除のあとは先輩たちから不要になった品が提供されるフリマやバザーのような催しがあるのが特徴らしい。
施設の性質からして使うことができなくなった人の持ち物を必要とする人につなげるためのものである。
お片付けの日というのはそういうこと。
仲のいい相手がいついなくなるかも知れない環境なので、みな他人事ではなく協力的なんじゃないだろうか。
せめて大事にしてくれそうな相手に渡ってほしいという思いからはじまったのかも。
彼女たちなりの供養の仕方なのだろうね。

この日のためにクッキーを作るというのは慣例的なものではなく、シーナが個人でやっているものだった。
お礼代わりに渡すようにしていたらしい。
これが先輩たちの間で密かに話題になっていたことも判明。
ミミは帰ってからのお楽しみだったようだが、こっそりつまみ食いしようとしていたところがかわいかった。
律儀というか、気配りがしっかりしているところがシーナのよさなのだけど、じつは彼女の魔法特性にあらわれている可能性もある。

性格が能力に影響するのかは不明だが、戦闘に不向きな彼女がこっち側に特化した力を持っているのだとしたら…
保健のフラン先生も不良教師ながら代えのきかない治癒能力で学校側からも認められている部分がある。
シーナを保護者役に選んだ際に自分と同じ匂いを感じていたのだろうか。
フラン先生ってもしかしてここの卒業生だったりするのかな?
もしそうなら学生時代のエピソードも気になってくる。
単行本2巻は7月18日に発売決定。