
「さよなら私のクラマー」は新川直司による漫画作品。
月刊少年マガジンで2016年5月より連載を開始した。
33話は、蕨青南と興蓮館の試合がはじまる。
前回はこちら。
興蓮館戦の開始
来栖や九谷たちインターハイ組が強行出場することで静かになった観客席には、試合を終えたばかりの栄泉船橋の選手たちがやってきていた。
先の関東大会では久乃木学園の連覇を阻んだ経緯があるが、こちらは穏やかな交流が生まれているようだ。

「久乃木の天才ちゃん」こと井藤春名が、彼女たちの心をつかむことに成功している場面も見られる。
相手の興蓮館を知る者として、特に浦川キャプテンの解説役としての姿も期待できるだろう。
序盤は静かな立ち上がりとなったが、興蓮館にとっては確認のための時間。
事前情報とのすり合わせをおこないその後の対応に活かしてくる。

相手が無名のチームでも侮ってくる事は期待できなさそうだ。
そもそもカツオちゃんこと高萩数央が監督を務める学校である。
以前、深津監督を訪ねてきた彼に直接指導してもらったことすらあった。
ワラビーズの個々の能力も把握されていると考えたほうがいい。

インハイ得点王の来栖も、普段の高飛車な態度とは違い、堅実なプレーをしてきそうな印象。
栄泉船橋の国府のように絶対的なエースとしてではなく、おそらくは彼女の代わりを務められる選手もいるはず。
引率を任されていた3年生の藤江が本来のエースなのだと思われるが、怪我で不在にも関わらず、全国制覇は当然と高萩監督に言わせる高いチーム力を持っている。
それはインハイ組の1年生・九谷のこんな場面にも表れている。

フットサル大会の時のリベンジを狙う彼女のポジションは、深津監督に言わせると効果的な恩田対策になっているという。
攻撃時と守備時でのシステム変更が肝らしいのだが、付け焼き刃でもなく、更にバリエーションがあるのだろうと考えると不気味なチームである。
浦和戦での情報と九谷の思いを知る高萩監督の計算通りの展開としてならば、やりにくい戦いになりそうだ。

ちらっと出てきた藤江の過去のエピソードも気になる。
彼女は、無名校だった興蓮館を全国レベルに引き上げた張本人だった。
その姿に憧れて入学してきた選手も多いのだろうね。
そして、彼女が高萩監督の元にいるのにも意味がある。
怪我のために道を絶たれた元スター選手は、かつての深津監督と重なる。
将来的な復帰はともかく、再び高校サッカーのピッチに立つことはないだろう。
蕨青南訪問の理由には、その事の相談もあったのかも知れないね。
あとがき
小手調べ中とは言え、蕨青南の守備の成長が見て取れるのもいいね。
今月は最新の単行本8巻の発売が控えている。
今回の扉絵で使用された国府と越前のイラストが表紙。