「熱帯魚は雪に焦がれる」は萩埜まこと(はぎの まこと)による漫画作品。
月刊電撃マオウで2017年6月から連載を開始した。略称は「はにがれ」。
部員が増えてから初めての水族館部一般公開を迎えた小夏と帆波先輩の距離が近づいて…
この気持ちはどこから来たのか。君は何者か。私たちはどこへ行くのか。
海辺の町にある七浜高校に転校し、「水族館部」に入部した小夏。水族館部のひとり部員だった小雪との間には、優しい時間が流れる。お互いが抱える寂しさに共鳴し、しだいに惹かれ合ったふたりは――。
電子特別版には、作者萩埜まことがTwitterで更新中の描き下ろしイラストやコミックを11ページ追加収録!
前回はこちら。
悩める帆波先輩
小夏が入部してから初めての一般公開を迎えた水族館部。
彼女の姿に感極まって思わず抱きしめてしまった帆波先輩だったが、その行動に一番驚いているのも先輩自身なのである。

学校の人気者なのにぼっち属性な先輩は、スキンシップに耐性がないために、どうしていいか困惑してしまう。
後輩がかわいければハグくらいしたくもなるのが人情だけれど、帆波先輩は自分はそんな柄じゃないと考えている。
ここで一言添えさえすれば、ごく自然な労いの表現になるのに、恥ずかしさで逃げ出してしまうところが彼女らしい。

今回は、小夏と距離を縮めたくて悶々とする帆波先輩が多く見られる。
部の校外活動の際の連絡先の交換や、夏祭りへのお誘いを試みるも、最後の一言が出ない。
どちらかというと積極的な方なのだけれど、肝心なところでためらってしまうのだ。
過剰なほどの気の遣い方は、彼女の優しさの表れであり、そんな所が人気の秘密でもあるのだろうけど、自身の日常を窮屈にしてもいた。

連絡先を獲得した際の、帆波先輩のやりきった表情が尊い。
小夏のよき相談役であるクラスメイト広瀬楓は今回もいいキャラしていた。
帆波先輩とは正反対の距離感の近さ。
それが先輩を悩ませるところでもあり、成長させるところでもある。

彼女のメイン回もみてみたいな。
次の3巻にかけて重要そうなのは出会いの日に関すること。
水族館部の一般公開の日、引っ越したばかりでひとり不安だった小夏に先輩が声をかけてくれた理由。

それらしきものはすでに提示されてもいるのだが、そこに何らかの意味を見出したい気持ちがあるんだろうね。
先輩も無意識のうちに自分に近いものを感じていたかもしれないし。
あとがき
1巻と同様に、電子書籍版の巻末にはTwitterで公開されたおまけ漫画やイラストが収録されている。