
「魔王城でおやすみ」は熊之股鍵次(くまのまた かぎじ)による漫画作品。
週刊少年サンデーで2016年より連載中。
平和の続いていた魔王城に事件が起こる。
彼らにとっての脅威は、人間の勇者だけではなかった。
囚われの姫はいただいた!! 真の魔王を名乗る魔物・ハデスによって魔王城から旧魔王城へ再びさらわれたスヤリス姫… 魔物たちは戸惑い、魔王軍は人質奪還のため立ち上がる!
(「魔王城でおやすみ 4 | 小学館」より)
前回はこちら。
さらわれた姫
魔王城において、姫の自由行動は黙認されていた。
見つかれば部屋に戻るように促されはするが、彼女が本気で脱出するとは思っていない。
事実、姫は今の快適になった自室を気に入っていて、たとえ城外に出ることがあっても自分の意志で戻ってくる。
そのため、勇者がこの地に現れるまでは心配事はないはずであった。

そんなある日、姫の姿が消えた。
人質のはずの彼女が何者かにさらわれてしまったのだ。
今の魔王城は、現魔王タソガレの代になってから使用されるようになったもので、先代の頃の城は別にある。
その旧魔王城で反乱を企てる者、十傑衆の一人ハデスが真の魔王に名乗りを上げた。
スヤリス姫は再び不自由な囚われの身となったのである。

デジャヴ。
時間をかけて整えていった部屋から、荒れた城の牢へ移された姫にできることと言えば、もはや寝ることくらい。
それでも安眠できるならまだよかったのだが、廃墟同然の旧魔王城でそれを期待するのは無理というもの。
枕は大事である。
そして姫は立ち上がった。
快適な寝具を手に入れ、安らかな眠りにつくために。
旧魔王城の冒険

4巻では、懐かさを感じさせる場面を交えながらも、新たな展開へと突入する。
魔王城において、睡眠を極めつつあったかに思われたスヤリス姫。
脱獄や探検も慣れたものである。
しかし、上には上がいた。
先代魔王の頃からこの城に住む眠気の化身、睡魔。
彼は一日20時間以上寝ないと死ぬため、どこでも寝れるよう研究しているという、まさに睡眠のプロであった。

最高の師匠に出会った姫の今後の成長も期待できるかもしれない。
すでに只事ではない無双っぷりなのではあるが。
そんな姫でも睡眠中はやはり無防備であり、今回さらわれたのもそこを狙われてのこと。
魔王城のセキュリティの甘さが露呈するとともに、魔物たちにとって姫の存在が欠かせないものになっていることがより鮮明になる出来事でもあった。

姫を外敵から守るため、強くなりたいと願う魔物たち。
今更人間に渡すわけにはいかないのだ。
勇者がたどり着いた時にどんな展開になるのか楽しみである。
先延ばしにして欲しいという気持ちもあるが。
巻末には、おまけのコラボ漫画「古見さんちでおやすみ」も収録されている。