「恋情デスペラード」はアントンシクによる漫画作品。
荒野を一人、徒歩での旅を続ける女渡世人、紋子。
人呼んで「刃雷のお紋」。
第3巻は、紋子の義手を作った人物が登場。
前回はこちら。
ツチグモ族の村と恋のスタートライン
日本一の夫を探す旅で、ついに恋の相手を見つけたかと思われた矢先にそれを失った紋子。
自暴自棄になり、砂漠を彷徨っているところを怪物・砂乱(すなおどろ)に食われてしまっていた。
砂乱のシビレ毒にやられながらも自力で抜け出すが、同時にツチグモ族の子供を助けることになる。
その縁でツチグモ族の村に宿を決め、彼らが“サンダー・イーグル”と呼び信仰している人物に出会う。
普段は人の姿をしているが、その正体は巨鳥グレート・テング・イーグル。
彼は三年に一度、想い人に会うために湖を訪れる。
おそらく長い時を生きている彼からすれば、これまでの紋子の恋は童の恋なのだ。
まだ恋に恋している段階、“もう恋なんてしたくねえ” など小賢しい考えなのだろう。
汝はやっと恋する女のスタートラインに立ったのだ。絶望などしている時か!
失うことを経験して、また始まる。
”いくつになっても、どの淵にあっても変わらず輝く”
紋子の真の恋はこれからだ。
ということで、今回のトキメキはしばしお休み。
代わりに、キューピッド役を買って出る。
ツチグモ族は、土蜘蛛を駆る部族であることからその名がついている。
紋子の防弾合羽も土蜘蛛の糸を織り込むことで強化しているが、採取は危険を伴い高価なため自ら獲りに出かけたこともあった。
独自の文化を持つ彼らは、中央からはまつろわぬ民と呼ばれる存在。
そのため、幕府に従っているサムライとは相容れないのだ。
この部族の娘ジューンは、若いサムライと恋に落ちたという。
許されない恋路に悩む彼女を応援しようと、紋子はその相手、レナード・門太・呂澪を訪ねることに。
ツチグモ族を襲う小隊との戦いでは、少々無茶をする。
新しい右手
紋子の右手の鐵手甲(ガントレット)は、加速装置として、銃として、必殺の一撃を生む起爆装置として活躍してきた。
これまでも破損はあったものの、今回の征夷騎兵隊との戦いでついに大破してしまう。
間に合わせのナマクラ刀も折れ、右手も使えない丸腰の紋子が向かう先は箱根の山中。
ここには、紋子の義手を作った鍛冶屋がいた。
かつて駿府の城主アーサー・トクガワJr の手から逃れ、この地にたどり着いた紋子は、ここで鍛冶屋を営んでいた宗貞とバーバラの夫婦に助けられる。
衰弱しながらも、襲ってきた大蛇を左腕一本で切り伏せた。
切断された右腕は腐りかけ、息も絶え絶えだった彼女は、しばらくこの夫婦と共に暮らしたようだ。
新しい義手を用意できるのは、この親方しかいない。
最強の刺客?
紋子を追う幕府の役人・八州廻りだが、幕府側の狙いと駿府のアーサー側の狙いは別のようだ。
以前紋子を襲った八州廻りの一人、レイン文七が賞金稼ぎのディキシーお猟を雇っていたこともあったが、元々賞金をかけているのはアーサー側。
そしてアーサーは幕府に紋子を渡す気はない。
むしろ生きたまま捕らえたいようだが、この辺はまた複雑な事情が絡んでいそう。
アーサー直属の隠密部隊は八州廻りに先んじて紋子を見つける必要がある。
二つの勢力が裏でぶつかることも出てくるだろう。
駿府の目付役ダーク帯刀が送り込んできたのは、紋子にそっくりな格好をした刺客。
そして相当彼女を恨んでそうな様子。
黒装束の夜叉子。
あとがき
今度の刺客はなんだか強そうなの出てきたね。
紋子との間にどんな因縁があるのか。
アーサー・トクガワJr は、紋子に惚れている変態なだけの可能性も出てきた。
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