「シカバネチェリー」はこなみ詔子による漫画作品。
ひょんなことからゾンビになってしまった女の子・美雨の恋と友情と青春の日々。
超強力細胞活性化液「チェリースープ」を飲みほしてしまったせいで、ゾンビになってしまったオカルト大好き少女・美雨。ひょんなことから片想いの桃野くんと急接近するものの、彼は大のゾンビ嫌い! はたして…!?
ホラー好きの女の子
久良木美雨(きゅうらぎ みう)はホラー好きの女の子。
体力はあまりないにも関わらず、夜遅くまで心霊スポットめぐりをするほどだ。
おかげでクラスメイトからは「午前中は静止画みたい」と言われている。
そんな彼女がなんとか学校生活を送れているのは、隣に住む幼なじみの三吉羽瑠(みよし はる)のおかげである。
羽瑠は実験大好きな化学オタクな男の子で、最近新しい薬を完成させた。
超強力細胞活性化液、名付けて「チェリースープ」。
一滴飲むだけで、細胞が新鮮な状態を保ち、弱った状態が回復する画期的な代物だ。
その日、このチェリースープの効果で美雨は別人のように元気な一日を過ごすことになる。
同じクラスで気になるイケメン桃野(とうの) は校内の女子に人気で、学年一人気の女子、長谷川ですら相手にされない存在だったが、実は彼もホラー好き。
絶版になっていた幻のホラー雑誌を美雨が持っていたことから、彼の趣味仲間として認識され例外的に仲良くなることに成功する。
ゾンビになっちゃった
舞い上がる美雨だが、反動がないわけではない。
効果が切れたときは、いつもよりだるい時間がやってくる。
そしてここ数日はしゃぎすぎた彼女は、映画を観にいく日の朝、ついに熱でダウンしてしまう。
どうしてもデートに行きたい美雨は、羽瑠の止めるのも聞かずにチェリースープを飲み干してしまうのだった。
この時点で命が危ぶまれるが、死因はそこではなかった。
勢い余って部屋を飛び出した彼女は、途中で止まれずに電柱に頭をぶつけてしまう。
チェリースープの効果は絶大だった。
彼女は死んだはずなのに回復し続けていた。
多少の切り傷や骨折などはまたたく間に治ってしまう。
意識もあるし日常生活も送れるが、一つ問題なのは、心臓が動いていないことだ。
桃野と二人きりでドキドキのシチュエーションのはずだったのに、ドキドキするはずのものがない。
彼女はゾンビになってしまったのか?
いくらホラー好きの桃野でも友達、がゾンビなのは受け入れないだろう。
むしろ彼は和ホラー好きでゾンビは嫌いなのだ。
秘密にする? 告白する?
本作は変わり種のラブコメでどちらかというとギャグ寄りだ。
あせると変顔するし、鼻フックとかされる。
ヒロインなのに。
チェリースープのせいか底抜けにポジティブなため悲壮感はないが、いつか効果の切れる時がやってくる。
ここの解決の仕方と長谷川、羽瑠を加えた四人の関係がどうなるのかが見所。
ちなみに長谷川は潔くて行動力のある女の子だった。
彼女たちも仲良くなりそうな感じだね。
あとがき
この作者の漫画を読むのは「コインロッカーのネジ。」以来なんだけど、そのギャップに驚いている。
「TO-Y」(上條淳士)とか「眠兎」(浅田弘幸)と近いイメージを持っていたから。
絵柄に面影はないけど、これはこれで好きだな。
テンポが良くて一気に読んじゃった。
他の作品も追ってみることにする。
12日まで1巻が無料で試し読みできる。
全3巻。
文庫版全3巻、Kindle版全5巻。
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