
「ジョゼと虎と魚たち」は田辺聖子の小説で、2020年夏にアニメ映画の公開が発表されている。
2020年1月より、キャラクター原案の絵本奈央によるコミカライズ連載が開始した。
ちなみに映画の方のキャラデザは飯塚晴子(「クジラの子らは砂上に歌う」他)。
出版された当時の1980年代から、現代を舞台とした物語に置き換えているようだ。
原作は30pほどの短編であるため、先の実写映画はオリジナル要素の強いものとなったが、今回もそうなるのではないかと思われる。
予習をしておきたい場合は原作小説と今回の漫画版を読んでおけば十分だろう。
『ジョゼと虎と魚たち』劇場アニメ化&コミカライズ連載を記念し、絵本奈央さん描き下ろしイラスト公開🎨✨!コメントも到着!
— アニメ映画『ジョゼと虎と魚たち』 (@joseetora_movie) January 3, 2020
そして、
🐠2020年 夏🐯
劇場公開決定ー!✨✨https://t.co/nsan3He0Iy#ジョゼ虎pic.twitter.com/SEOtNhYomC
芥川賞作家・田辺聖子の名編で、2003年に妻夫木聡・池脇千鶴主演で実写映画化もされた『ジョゼと虎と魚たち』。長年にわたり愛され続ける名作小説が、アニメーション映画となってスクリーンに登場する。趣味の絵と本と想像の中で、自分の世界を生きる車椅子のジョゼ。自分の夢を追いかける、大学生の恒夫。ある晩、ジョゼは恒夫と出会い、意を決して彼とともに外の世界へ飛び出すことに決める——。瑞々しく真っすぐな純愛の中、誰かを通じて自分とお互いを知って前に進む姿を、楽しさと切なさ、痛みと喜びを交えて描き出す。
(「アニメ映画『ジョゼと虎と魚たち』公式サイト」より)
恒夫とジョゼの出会い
本日発売ダ・ヴィンチ2月号よりコミック『ジョゼと虎と魚たち』スタート!2020年夏の映画公開が待ち切れない皆さま、まずは絵本奈央さんによる「ジョゼ虎」の世界をぜひ! https://t.co/1UA4voGXGipic.twitter.com/4kdgbhOyJ8
— ダ・ヴィンチ編集部 (@davinci_editor) January 6, 2020
ダイビングショップで働いている恒夫は、留学のための費用を貯めている大学生。
夏休みに入ったからと言って浮かれた様子もなく、仕事を増やすために使っているようだ。
アルバイト先には好意を寄せてくれる後輩もいるのだが、そのことに気付いているのかどうか。

ジョゼとの出会いは、一人暮らしをしているアパートへの帰り道。
工事を避けて、いつもと違う通りから坂を上がっていく途中のことであった。
彼女の窮地を救った恒夫は、彼女の祖母に請われて家に通うようになるのである。
散歩の際の安全のためと、彼女のわがままな性格に影響を与えてくれるかもしれないと踏んでのことだろう。
実際、恒夫に対して少々きつめの扱いが目立つ。

命の、と言えば大袈裟かも知れないが、恩人に向ける態度としては不当なもの。
助け起こす際に不用意に触れてしまった彼を罵り、邪魔者呼ばわりをするのである。
ここから、どう距離を縮めていくのかが見ものだが、初対面の時からジョゼを名乗っている点がひっかかった。
この辺、実写版を意識してしまったのか別の計算があるのかどうか。
ジョゼも虎も魚も、彼女にとってはいいことであり、幸福の象徴なのである。
好きな小説のヒロインのように、何かいいことが起こりそうな期待感と、実際に起こった満足感からくる言葉。
「いいこと、というのは、彼女の前に恒夫が現れたことである。」
この一文をどう捉えているのか。

恒夫の方も大人しいだけではなく、言うことは言う芯の強さを持ち合わせているので、これまでの祖母と孫の二人の生活にも大きな変化を及ぼしてくるだろうと思われる。
1話は、ダ・ヴィンチ 2020年2月号に収録。
原作はKindle Unlimitedでも読むことができる。