「モブ子の恋」は田村茜による漫画作品。
月刊コミックゼノンで2017年3月より連載を開始した。
2018年8月より、Web雑誌「コミックタタン」での連載へ移行する。
帯の言葉は、「あなただから、恋をした。」「脇役同士で初恋同士。そんな二人だから、恋に落ちた。」。
季節は夏。
精一杯の勇気で手に入れたのは、「好きな人と普通に話せる」というささやかな「奇跡」。そんな日々がずっと続くようにと願う田中さんに対し、後輩の阿部さんは「恋の終着駅に”このままずっと”なんてないんです」と告げる。
脇役同士の恋物語は、「奇跡の距離」のその先へと向かう――。(「あらすじ:モブ子の恋 ③ | 徳間書店」より)
前回はこちら。
デート後の進展は?
入江君と信子の映画館デートの後、二人の関係が進展したのかどうかは周囲も気になるところであった。

同じスーパーでアルバイトをしている金子さんも興味津々、彼は入江君の恋心に気付いている一人。
もともと奥手な二人なので、彼らのようにフォローしてくれる存在は欠かせない。
実際、2ヶ月ほどが経過しても、次の予定は決まらぬままである。
それでも変化したことはあって、以前に比べると自然に話せるようになってきたようだ。

信子としては普通に話せるということ自体が奇跡のようなものではあったが、果たしてこのままでよいのか。
今回も背中を押してくれるのは安部さんの存在。
彼女は学生時代に、「このまま」を望み告白することもなく終わった苦い恋の経験をしていた。
それを踏まえて、現状に満足してしまっている信子に警告をしてくれる。
現在の二人は、実は両思いだという点を除けば、ただのバイト仲間であるに過ぎない。

動かないでいる間に、この居心地のいい距離が失われる可能性だって十分あるのだ。
大学や就活でシフトが合わなくなるかもしれないし、バイトをずっと続ける保証もない、そのうち彼女だってできるかもしれない。
照れや葛藤で悶える様子は彼女の魅力ではあるし、そういうところを応援したい気持ちになるわけだけど、結果として行動に表れていないのでは進むものも進まない。
「このまま」を変えるもの
かと言って、安部さんも高度な要求をしているわけではない。
信子が、入江君と手を繋げるようになりたいと小学生のような答えを出した時だって、とても喜んでくれていた。
未来の姿を思い描いて、それに向けて踏み出そうとする姿そのものを大事に思ってくれているのである。
なんていい子なのか。

まずはデートと堅苦しくならずに、バイトの時間外で一緒にいられる回数を増やしていけばいいのではとも思うのだけれど。
入江君も信子に負けず劣らず引っ込み思案なところがあるからね。
むしろお前が勇気出せよという場面も多々見られる。
でもゆっくり進んでほしいと思うのも確か。
ヤキモキするよね。

次の4巻では何かが起こりそう。
ついに告白か?
あとがき
コミックタタンは2018年4月にオープンした新しいWeb漫画雑誌で、佐原ミズ「尾かしら付き。」・まちた「ハルとアオのお弁当箱」の新連載が注目の女性向けマンガサイト。
本作も後追い連載でラインナップに入っていたのだが、この度完全移籍ということになった。
ゼノンよりこちらの方がカラーには合っているし、看板作品として期待されているのではと思う。