「エルフ湯つからば」は西義之による漫画作品。
月刊モーニング・ツーで2016年より不定期での連載を開始した。
帯の言葉は、「冒険者(たたかうキミ)に癒やしを。」「異世界風呂物語開幕!!」。
『ムヒョとロージーの魔法律相談事務所』や『ライカンスロープ冒険保険』の西義之による新境地! 冒険には心強い仲間や強い武器も必要だが、傷ついた時の癒やしも重要である。浸かればあらゆる疲れや汚れを洗い流してくれるという幻の移動温泉「エルフ湯」。たった一人で温泉を率いる番頭・ユフは、懸命に冒険者の「癒やし」のために風呂を入れてくれるという……。異世界を舞台に繰り広げられる、まったく新しい冒険物語、開幕!
(「エルフ湯つからば(1) (モーニングコミックス)」より)
幻の移動風呂屋
冒険者たちの間で語り継がれる一つの噂がある。
戦いの傷や旅の疲れを癒やしてくれる幻の移動風呂屋の存在。
その遭遇率は極めて低く、一度でも目にした事があるとすれば、それは幸運である。

風呂屋を営むのは若くて美しいエルフの娘・ユフ。
いつしか人々からはエルフ湯と呼ばれるようになっていた。
その特徴は、独自に入手した生薬を客の症状に合わせて配合してくれる薬湯にある。
それは、彼女の正確な見立てでより効能を発揮する。

豊富な素材と組み合わせを見るのも楽しみの一つ。
開放感あふれる入浴シーン
題材的に入浴シーンは欠かせない。
疲弊した冒険者に活力を与えるだけでなく、読者に夢も与えてくれる。
自然豊かなフィールドで、魔法の結界で外部からの干渉も遮断された開放感あふれる環境にあれば、張り詰めていた冒険者たちの心も解きほぐしてくれるだろう。

屈強な戦士も思わず声が漏れてしまうのも頷ける。
なぜかやたらと美少女ばかりが登場する異世界物に比べれば好感を持てる所でもあるだろうか。
むしろヒロイン枠はユフだからね。
そして、エルフ湯最大の恩恵は、彼らを縛っているトラウマや悩みから開放してくれること。

エルフ湯は人の人生を変えるとまで言われる所以である。
一生に一度あるかないかの出会いのきっかけは偶然なのかどうか。
その効果をより確かなものにするため、彼女は研究に余念がない。
月日の大半は素材探しの旅と研究に費やしているらしい。

彼女をここまで駆り立てるものは何だろうか。
終盤でちょっと不穏な様子が描かれていたが、今後判明していくのか気になるところだ。
あとがき
不定期連載で単行本化まで2年半の月日が掛かった。
「ムヒョとロージーの魔法律相談事務所」の続編やアニメ化によって、また定期連載化が遠のいた感があるので、個人的には複雑なところなのである。
2巻はもう少し短めでお願いしたい。