
「PEZ」は浅田弘幸による漫画作品。
村田蓮爾責任編集フルカラーコミック「robot」で連載されていた。
2014年にDVDや特製ノートなども同梱したBOXセットとして販売されたが、今回は本編及び関連資料の電子書籍化である。
『テガミバチ』(ジャンプSQ.)の原型となった幻のフルカラーコミックが待望の電子化!
2018年春に英語版『PEZ』ペーパーバックバージョンの発売が決定! その表紙を河村康輔氏が新たにコラージュしました。作り下ろした最新の作品を今回のデジタル化で先行して初出掲載する特装版です!! 崩壊後の世界を舞台に描かれる少女ペッツと少年デコ助の「誰か」たちとの出逢いと記憶の旅物語。下絵線画・ラフ画を収録した冊子も付いた、浅田弘幸の魅力を十分に堪能できるように、高画質で収録。紙とは異なる奥行きを醸し出すデジタル版『PEZ』をご堪能ください。
(Amazon商品ページより)
夜の明けない中、ペッツとデコ助の二人は旅を続けている。

空には何処からか現れた飛行物が飛び、世界は滅びつつあるかに見える。
崩壊した建物と、見渡す限り無人の土地で、彼らは何を目指すのか。
「テガミバチ」の連載前に描かれた数十ページの断片的な物語。
ここはアンバーグラウンドなのかも知れないし、そうではないのかも知れない。
死の雪が降りつづき、人々はやがて姿を消し、出会えることもほとんどなくなった。
本作で登場するのは、ペッツの記憶の中にある出来事である。

ペッツとデコ助の二人は、気がつくといつも一緒にいるようになっていた。
今のように旅をする前、街で目を覚まさなくなったデコ助を救ってくれたのは、一人の老人である。
サンダーランド博士、一番の見せ場ではないだろうか。

ハードボイルドを感じさせる登場シーンがかっこよかった。
博士の研究で、世界の謎はどこまで解明されていたのか。
遠い空の向こうは赤く、地上をほんのり染めている。
空を飛ぶあれは、その場所を目指し集まっていく。

ペッツもまたその眼で見ることになるかもしれない。
そこには何があるのか、世界を変えたものの正体は…
人はみんな、本当は優しいよ、って。
もしかすると描きたいのは、それだけのことなのかもしれない。
(浅田弘幸)
さびしいけど、やさしくてあたたかみを感じる物語。
今では、人として生きているのはペッツだけとなっている。
そこに辿り着いたときに待っているのは希望かもしれないし絶望かもしれない。
でもやはり希望か。
このみちのさきには、なにかなにかあろうよ
(金子みすゞ)
あとがき
テガミバチの終了から2年。
新連載はまだかな…